本澤二郎の「日本の風景」(5816)
<ナベツネ御用新聞化に単身抵抗した反骨秘史>33
太平洋を挟んで東のトランプは、エプスタイン文書で振り回され、西のサナエは統一教会のTM特別報告書で
ハラハラしている。似た者同士か。安倍と統一教会は、サナエと統一教会だ。日本国民の多くの常識である。ただし、アメリカの新聞テレビはエプスタイン文書でトランプ追及に必死だが、日本のそれは報道しない大手新聞もある。
このことについて日本の夕刊紙記者は、筆者に謎解き質問してきた。昨夜のことである。筆者が初めて単独で「ナベツネ御用新聞化」を取り上げて、目下、連載を始めている理由である。第三者は信じられないだろうが、権力監視をやめた日本の言論界は、ナベツネ主導のもとで具体化し、実現してしまった。
それが議会の野党にまで波及してしまった。政府の暴走審議にも審議拒否をやめた野党と、反対にやりたい放題の政府与党の関係が定着し、悪法が次々と実現、国民の政治離れに拍車をかけた。その悪の土台が小選挙区制にあるのだが。

一方、民意を背景に政府を厳しく監視して国民の支持をうけてきた朝日新聞は、右翼の襲撃事件に屈してしまい、国民の朝日離れを現実化してしてしまった。言論と議会の墜落が、戦後手にした日本の民主主義と世界に冠たる平和憲法を墜落させてしまった。新聞界のナベツネ独裁が、自民党総裁首相の独裁を可能にしている。

<「平成の妖怪 中曽根康弘の大野望」でナベツネと激突!>
誰かがA級戦犯の岸信介を「昭和の妖怪」と命名した。おそらく平和軍縮派の戦闘的りベラリストの宇都宮徳馬であろう。筆者の恩師・政治指南役である。
「権力に屈するな。屈したらジャーナリスト失格だ」!恩師は最愛の弟子と信じた渡辺恒雄に裏切られた。ツネは左翼から右翼に転じた人間失格者だ。その読売を私物化し、右翼政権の守護神となり、平和憲法破壊運動に突進した。野球好きの多くは、自然に平和憲法破壊者・ナショナリストに変身させていった。

ツネの親分の正力は、戦前の悪しき内務官僚だ。敗戦後の日本を裏切って、米国謀略機関CIAの手先となった。読売を武器に日本テレビを立ち上げた。その継承者が渡辺だ。また、彼は内務官僚の後輩・中曽根康弘の面倒を渡辺に指示する。言論を武器にした中曽根の国盗りの黒幕が、渡辺である。
新聞発行部数日本一を背景にして、闇将軍とされた越後の馬喰上がりの田中角栄を攻略して、天下人になる。ナベツネは小生が所属した首都圏紙東京タイムズ政治部の先輩・早坂茂三に土下座までしている。中曽根は、ナベツネの仲間の右翼のドン児玉の靴磨きまでする。

早坂は筆者に「本澤君、俺はあのじゃじゃ馬を天下人に押し上げたんだよ」と二人で新潟県長岡市の温泉につかりながら後輩記者に胸を張った。
「キミもやってみろ」と言いたかったのか?しかし、宇都宮は反骨の正義の政治家。一匹オオカミで本人にそうした野心は皆無。国際政治家として、戦争をさせない平和の使徒として、世界をかけずりまわることに生きがいを抱いていた。
筆者もバッジをつけたりすれば、必然的に腐敗にそまる確率が高い。そんな人生よりも不偏不党是々非々で、世のため国民のために生きるジャーナリストが、どんなにか素晴らしいことか。「ボロは着てても心は錦」がいいに決まっている。しかし、先輩にはいえなかった。

ともあれ「平成の妖怪 中曽根康弘も大野望」執筆で、公然とナベツネに喧嘩を売ったことになるわけだから、この本はある意味で大変な自信作である。むろん、中国語にも翻訳された。

<真正面から渡辺私物化の読売新聞叩き!>
夏目漱石の「坊ちゃん」ではないが、人によっては無鉄砲人間の最たるものと評されるかもしれない。しかし、日本人のひとりぐらい国家主義者の代表である、まさしく「平成の妖怪」として闇権力を行使する中曽根と彼の黒幕ナベツネに対しての宣戦布告本が出てもおかしくない。
他方で、宇都宮の薫陶を受けてジャーナリストらしいジャーナリストとして生きている証であろう。自らの勇気をほめたい。
「よくぞ書いた」と本気でほめたい。前書きの冒頭は「国家主義の亡霊が永田町を徘徊している」。次いで「2000年に82歳になった元首相の中曽根康弘こそが、日本で最も活躍している政治家だという事実が、その象徴である」と。いたたまれずに筆を執った当時の心情が浮かんでくる。
これは言外に彼を操るナベツネに対するNOという護憲リベラル派の一撃を込めたものだ。

駆け出し記者のころは、事情に疎いせいで、まるで中曽根応援団のような記事を書いてきたことに対する反省もあった。それにしても背後で、読売新聞を私物化したナベツネの暴走を許容できなかった。これまた言論の自由のなせる技であろう。

<元首相の意外な政治力と右翼的読売人脈>
派閥記者は強い。政治家に対して、いい意味でのアドバイスが可能である。いい政治家は、いい耳を駆使して世間の様子を知ろうとする。いい政治家はいい新聞人を近くに置いて、それぞれにいい価値判断をする。
この地球に完全人間はいない。不完全な人間が政治権力を行使しているわけだから、いい人間の側近から公正な意見を聞くことが不可欠だ。
独裁者は道を誤ることは多い。いまのトランプやネタニアフなど戦争にくらいつく輩は典型的な独裁者である。日本特有の世襲人間は池にはまる。国民より国家に価値を置く国家主義者は、確実に墓穴を掘る。リベラルな権力者は、決まって公平な新聞人を秘書官に置く。ただし、中曽根のような本物の天皇制国家主義者は、公平な新聞人を排して、邪悪な元新聞人を周囲に置いて固める。とりわけ彼らには平和国民の思いについて無能である。サナエにはいい新聞人はそばにいない。現在の官邸は、右翼的な官僚で占拠されている。

権力を監視しない言論は、言論に値しない。権力監視をしない読売は新聞に値しない。読者は離れる。国民は必ず目を覚ます。その時に内部から変革の嵐が起きてくるはずだ。
2026年3月6日記(評論家)