本澤二郎の「日本の風景」(5791)
<ナベツネ御用新聞化に単身抵抗した反骨秘史>9
第二次安倍内閣を手とり足取り支援を惜しまなかったナベツネのポピュリズム政策が、安倍二号政権でも継続している。その結果、内政も外交も破綻寸前であるが、そんな危うい極右・自民党内閣を有権者は支持した!
財務省は2月10日、国債や借入金、政府短期証券を合わせた「国の借金」が、2025年12月末時点で1342兆1720億円だったと発表した。同9月末から8兆5806億円増え、過去最大を更新した、と明らかにした。「高市首相による解散総選挙は855億円もの予算を使う。議員一人誕生に2億円」。
<内政干渉どこ吹く風の早苗>
「一国の指導者(米トランプ)が他国の選挙に際し、特定の人物や政治勢力を支持することは主権国家への内政干渉であり、許されない」(2月7日/朝日新聞)。
「昨年10月の日米首脳会談で、大統領専用ヘリに同乗するという厚遇を受けて横須賀米軍基地に赴き、基地で行った演説では、トランプ氏の横で飛び跳ねるなど“仲良しぶり”を印象づけた高市氏」を当時の新聞テレビは追及しなかった。これこそがナベツネ言論そのものだった。
1972年の日中国交回復の戦後保守リベラル派の政治的遺産を、ぶち壊した早苗の台湾有事発言は、典型的な内政干渉だったが、新聞テレビは追及しないどころか、中国たたきを全面的に開始して、14億人の北京にいやしがたい精神的な災難をもたらした。
「右翼は、緊張がなければ緊張をつくる輩だ」とは宇都宮徳馬の指摘を早くから理解してきた筆者は、それを露骨に宣伝し、追い打ちをかける右翼言論に衝撃を受け、それは今も継続している。そこには80年前の加害責任を忘却した、戦前の軍国主義・国家神道の鎧兜をちらつかせるものだった。
<ナベツネ・徳間の岸の娘婿擁立に東京タイムズ退社で反発>
思い起こすと、ナベツネが右翼のドン・児玉と連携して、国家主義者の中曽根康弘を自民党総裁に仕立て上げ、その後に勇んでワシントンに参勤交代よろしく飛び込むと、彼は「日本は不沈空母」と発言し、日本国民どころか世界を驚かせた。
すでにナベツネの読売は、中曽根新聞に変身していた。それまで朝日、毎日同様に大事な政界の動きを鋏を使って切り抜いていたが、中曽根読売のそれをやめた。中曽根は持論の改憲を口にした。とうとう筆者も、それまでの中曽根政治の評価を変え、批判記事を書き始める。
それにしても「ワシントンでの不沈空母」発言に腰を抜かした。日本国民の多くもそうだった。右翼政治屋の改憲論とワシントンべったりは、A級戦犯の手口を印象付けた。ナベツネを読売新聞に送り込んだ宇都宮徳馬は、この時点でナベツネの本性に気付いて怒り狂った。
宇都宮の反岸活動は、反中曽根へと転進することになる。ナベツネはまんまと恩師を裏切ったのだ。宇都宮は岸を「昭和の妖怪」と断じたが、筆者は中曽根を「平成の妖怪」と弾劾し、ナベツネとの対決に腹をくくることになる。
それが中曽根後継人事で表面化する。政界では宮澤喜一・竹下登・安倍晋太郎をニューリーダーとはやし立てていた。自民党総裁が首相になる時代だ。誰が民意に沿ういい政治家か、の派閥抗争の勃発だ。筆者はA級戦犯の岸の娘婿を嫌った。しかし、彼こそが本命だとする保守派の評価が圧倒していた。
護憲リベラルの保守本流派閥の宏池会が推薦する宮澤こそが、国民に幸いするはずだが、保守系の読売産経フジテレビは安倍を本命と決めつけていた。
選挙ではなく中曽根指名選挙で決着するという不思議な総裁選だった。中曽根が誰を指名するか?中曽根改憲論を批判する宮澤にチャンスは低い。まずありえなかったが、民意を重視する筆者は、それでも宮澤に賭ける。対してナベツネは岸の娘婿だ。安倍は毎日新聞出身で仲間である。
このころ東京タイムズ社内で異変が起きていた。毎日OBが二人も編集幹部として入社していた。元毎日の外信部長・大森実が関与していた。彼は徳間書店から数冊本を出していた関係を悪用して、外信部の後輩を東京タイムズ社長を兼務していた徳間康快に押し付けてきた。要するに安倍晋太郎内閣工作だ。
他方で、徳間は元読売新聞社会部記者から出版社を経営、東京タイムズや映画の「大映」を買収して、それなりに羽振りの良さを内外に振りまいていた。しかし、彼の主力銀行の平和相互銀行の経営が、不正発覚で住友銀行に買収される事態に発展もしていた。
「何かとナベツネの政治力」に期待していた徳間。ナベツネは知る人ぞ知る岸・正力・児玉・笹川との関係が深い。中曽根に次ぐ安倍内閣に期待をかけていた。最近山上事件で判明したのだが、統一教会の文鮮明も岸との関係で、安倍内閣実現に狂奔していたことが判明した。
ただ、唯一の弱点は中曽根と福田が犬猿の仲だったことだ。旧群馬3区で中曽根と福田赳夫は犬猿の仲で知られていた。福田は岸の後継者だ。安倍応援団長である。この時点で、ナベツネと中曽根は後継選びで一致していなかった。内外政において秀でる宮澤を中曽根はNO。同時にライバルの福田を喜ばせる安倍もNO。結果は竹下に軍配は上がった。
東京タイムズ社内では政治部長の筆者が宮澤、社長の徳間と毎日からの編集局長が安倍支援。これでは勝負にならない。潔く退社することに決めた。自主退社には退職金は雀の涙。相談する相手はわが恩師・宇都宮徳馬だ。さすがは恩師。「最低生活は俺が面倒を見てやる」といううれしい提案に一決。政治評論家人生に駒を進めるしかなかった。
ナベツネ・徳間の読売と毎日に屈した、人生初めての人間社会の複雑な運命に翻弄されることになる。宇都宮の反骨人生が、わが身にも伝染する。
そうはいっても、在京政治部長会8年9か月の暮らしは、実に貴重で素晴らしいものだった。その先に日中友好の花が開花していた。「日本の悲惨すぎる加害で、中国人は辛酸をなめてきた。彼らの悩みや問題を、できることは何でもしてあげなさい。中国の歴史、文化は深い」という恩師の後押しが、日中友好派へと突き進む。思えば人生は、何事も人間精神を変え、成長させてくれる恩人に違いない。
ナベツネとの単身での抵抗もまた、わが人生に花?を添えてくれる。
死んだ言論を何としても、生かさないと、この国は亡国へと突っ込んでいるのだから。
2026年2月11日記(茅野村の仙人・日本記者クラブ会員)
亡国の神道政治!
© 東洋経済オンライン
トランプ、習近平、プーチンといった世界の指導者たちは宗教を「大切」にしているといいます。トランプは牧師と祈りを捧げ、習近平は仏教寺院の再建を支援し、プーチンはロシア正教会を称えるなど、密接な関係を見せているようです。なぜ指導者たちは宗教に近づくのでしょうか。また、それによる影響はどのようなものでしょうか。ポール・シーブライト『ビジネスとしての宗教』から一部抜粋。宗教は、アダム・スミスが予測したとおり、政治にも大きな影響を及ぼしている。アゼルバイジャンからブラジル、イエメン、ジンバブエまで、宗教の権威からお墨つきをもらおうとする政治指導者は世界中に見られる。
最終的には有害なものにもなりうる
したがって、熱心な信者の獲得を通じて、すでに力を手に入れていなければ、政治指導者から特権を授けられても、宗教団体は自分たちの力を盤石なものにはできない。政治指導者が自分に都合のよくない宗教の弱体化を図ろうとして、ライバル組織に特権を与えても、その組織がみずから信者を増やすという基本条件を満たしていなければうまくいかないのだ。
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