本澤二郎の「日本の風景」(5763)
<戦後の財政通・水田三喜男が泉下で極右政権を叱る!>
彼方に冠雪富士の山がくっきりと美しく映る房総路を、ベテランの運転手・柴崎翔平の車で南下、水田三喜男と池田淳に仕えた御園豊が、両雄の墓前に、老いて現役の日本記者クラブ最古参・反骨ジャーナリストを案内してくれた。2026年1月12日だ。保守本流の政治家には、安倍の遺影を持ち歩くなどというこざかしい演技は不要だ。むろん、首脳会談を利用する選挙運動なども。彼は戦争犯罪人のA級戦犯・岸信介の亡霊を引きずる、安倍・高市の傍流・清和会極右政権の実情を報告し、涙を流した。

鴨川市山奥の地滑り地区で、おいしい日本米で知られる長狭米地帯の景勝地の、なだらかな嶺の頂上に、苔むしたかやぶき屋根の水田家が、いまもどっしりとした風情を周囲に漂わせていた。彼が創立した城西大学が、いまも管理している。
水田の後継者・池田淳のそれは、富津市竹岡の和蔵酒造は、東京湾と富士山の美しさを、さも借景にしたこれまた風光明媚な場所で創業を継続していた。いただいた4合瓶を開けて房総随一の名酒を口に含んで大満足。現在の竹岡蔵の蔵主は池田亨。池田家の長男は学者で労働法の大家。3男は敗戦後の全国酒造組合会長を歴任している。長狭地区の清流と米を使って、健康と味一番の日本酒つくりはさすがだ。隣国との関係が正常化すれば、日本酒人気が沸騰し、輸出で元気が出る、と蔵主に激励した。

<保守本流は財政法4条死守=日銀は物価の番人>
誰が首相でも変わらない、と思いがちだが、全然違う。為政者のかじ取りで国も暮らしも変わる。それは歴史の教訓を死守することで決まる。戦争はやたら紙切れ(国債)を乱発する。アメリカのトランプは、それによる負の遺産処理で四苦八苦している。
日本では保守傍流の極右政権下、国債乱発による大軍拡(新日本軍国主義)と物価の高騰で財政危機の状態にある。結果、円の激安で超物価高騰へと追い込んでいる。負の遺産は地雷となって2026年に相次いで暴発する。100%の確率で。その前に衆院議員の首をはねるという乱暴解散で延命する、が高市と御用新聞の策略なのだ。

対して保守本流の宏池会・大平正芳は、日々物価の動向に注目していた。特に日銀は物価の番人ゆえに監視の目を怠らなかった。ゆえに国債乱発を禁じ、物価の安定に力を尽くしてきた。水田もまたそうだった。

<「御園!日本は360円だが実際は160円だよ」と水田蔵相>
正確な時期は不明だが、当時は1ドル360円。このころ駆け出しの水田家の書生兼秘書は、御大水田からの一言を記憶していた。
筆者は1972年ごろの水田を知っている。彼は中間派の水田派を率いていた。今も覚えているが「水田さんがOOと言っているが」と大平派を率いる大平懇談の場で質問すると、彼は「それは水田さんに聞いてくれ」と逃げられてしまった。財政通同士の微妙な発言の真意を確認しようとした質問だっが、慎重居士の大平は体を交わした。そんな大平を田中角栄は信頼した。
水田と角栄を蔵相に起用した政権は、吉田茂直系の池田勇人内閣。人事を官房長官の大平に委ねられていた。このころから大平の日中国交回復路線が浮上するのだが、彼は財政を水田に任せた。
次の佐藤栄作内閣も。1972年のニクソンショックのころに違いない。御園は水田の「日本円は360円ではない。本来は160円だよ」と明かしていた。

<1970年ごろの日本に落下させた安倍・高市の極右・国家神道内閣>
1976年71歳で亡くなった水田を、新聞は「巨星墜つ」と報じた。夫人の清子は100歳まで生きたのだが。中間派のボスも苦労が多かったに違いない。旧制水戸高、京都帝大時代の水田の盟友は、宇都宮徳馬だ。彼のボディガードに徹し、学生運動に飛び込んでいた正義派は、マルクス経済学者の河上肇に師事した。そのための京都入りだった。

佐藤栄作夫人の寛子は、水田の追悼集で「戦後の大蔵大臣は水田三喜男と言われた」と書いている。
余談だが、もう一人の房総の偉人・千葉三郎は、東京帝大で岸や佐藤の先輩。よく「岸君、佐藤君と呼んでいた」。そんな関係で、それまでの長期政権を担った佐藤が退陣したあと、筆者は日中友好を断行した田中ー大平体制に対して、背後の佐藤の真意を聞く単独インタビューを敢行したが、実は千葉と秘書の寺部かつのお陰であった。そのころ統一教会勝共連合のことは、千葉事務所で聞いていたが、その危険な反共カルト教団を岸や笹川良一が育て上げていたことは、まったく知らなかった。
偶然だが、水田の彼女がわが故郷にいたことを知った。

いえることは、今の日本経済の実力は1971年ごろ。落ちるところまで落下した日本は、さらなる物価高騰に泣かされ、地獄へと落ちてゆく。戦争体制にハマっているためだ。戦後最大の危機である。岸が狙った小選挙区制で、房総半島はやくざに掌握され、警察も行政も窒息寸前である。
ゆでガエル いつまで続く ぬかるみぞ!公正な選挙と健全な言論と健全な野党の存在が、民主主義にとって不可欠である。
国家神道と財閥の復活は、盲目政治の暗転を予感させている!
2026年1月13日記(茅野村の仙人・日本記者クラブ会員)