本澤二郎の「日本の風景」(5634)

<「南京に立つ」14>

80年前の日本は、天皇制国家主義すなわち神道軍国主義を放棄し、歴史を直視する誓いを立てた記念日だったはずだ。昨日の中国での抗日記念日は、歴史を直視し、二度と同じ過ちを繰り返さない平和戦略を再確認する日のはずだったのだが、日本は違った。

天安門を訪れた政治家は鳩山由紀夫ただ一人。日本のナベツネ言論は、過ちを繰り返さないという論調は皆無だった。代わって読売新聞の誤報の連発が突出するという、無残な正体を暴露する日となった。30年前の戦後50年の「南京に立つ」という、貴重な思い出の記録を再現してることを正当化させた。


北京では、直前に上海協力機構の首脳会議と、続く天安門での中国・ロシア・北朝鮮の首脳が、日本軍国主義とファシズムの過ちにくぎを刺す大掛かりな軍事パレード。永田町では石破首相に対抗する極右・日本会議の好戦的皇国史観論者の女を擁立する不気味な動きを加速させていた。


<日本兵の蛮行に泣いた看護師・佐藤美智子さん>

木更津市の規模の大きな病院の婦長をしていた佐藤美智子さんを南京訪問に誘ったのは、親類の影山友子さんだったと記憶している。実家が同市七曲りの旧姓松本。友子さんの母親の戦争未亡人(助産婦)の生家のはずだ。

幼いころ、歩いて1時間かけて七曲りの祖父母の放し飼いの健康卵を念頭に、貧しい小作農の筆者は、よく一人で泊まりに出かけた。忘れがたい記憶は、生涯続くことになろう。豊かな自然は、人間を善人にして世に送り出す。不正腐敗に関しては、人並み以上だから、それが平和軍縮派の宇都宮徳馬に筆者を結び付けたのだろう。


看護婦長の佐藤さんはどうか。日々人の命と向き合って生きてきた善人は、中国訪問で、同胞の信じがたい動物以下の蛮行に泣いてしまった。戦争は人を変える、しかし、そうだとしても!南京大虐殺記念館の史実を伝える資料の数々は、日本兵にとってあまりにもひどすぎた。彼女の言う「緊張と重苦しい視察」は、想像を絶するものだった。

それでも「上海ジャズや京劇が、昼間の感情を少しの間、忘れさせてくれた」と日中平和交流21の事務局の配慮を感じ取ってくれた。この辺は男は理解できないだろう。

彼女は記念館前の広場で、全員が輪になって手をつなぎ、心を一つにして中国人も交えての交流に「私たちを受け入れてくれた」と直感した。「熱いものがこみ上げてきた」「この時の感動は一生忘れられない」「子供たちに伝える時まで大切に胸にしまっておきたい」などとメモ書きした。


<戦争写真家ロバート・ギャバを思い出した首切り日本兵>

「中国人の首を切り落とした日本兵は、笑っている」という生々しい映像に、誰もが衝撃を受ける。彼女のそれは言葉にならない。報道戦争写真家のロバート・ギャバのことが脳裏に浮かんだ。ギャバについて、資料には「スペイン内戦日中戦争第二次世界大戦ヨーロッパ戦線第一次中東戦争、および第一次インドシナ戦争の5つの戦争を取材した20世紀を代表する戦場カメラマン」。


殺人鬼・日本兵は、やくざレベルかそれ以下だった。無抵抗の中国人の首を、天皇を象徴する日本刀で切り落として笑う!ギャバでもこんな写真はないだろう。このほか大きな穴を掘らせて、そのあと生き埋めにする日本兵。ヒロヒトは?

「ユダヤ人狩りを表現不可能と分析する人がいる。日本兵も同じではないか」と嘆く。いやもっとひどい!


<人民日報総副編集長との対談=この先どうなるのか?>

張虎生さんとの緊張した対談も彼女にとって、先のことを考えると深刻この上ないものだった。彼は「ある意味では日本人も被害者」と語った。対して彼女は「それでも謝罪できない日本、教育に取り入れられない日本の現状は、この先どうなるのだろうか」「当時の帰還兵はどんな思いで昭和を生き抜いたのか。多くの元日本兵は個々の歴史を語らない。胸に押し込んでいると聞く。心の中で謝罪しているとも推察できるが。しかし、戦後50年のマスコミ報道や耳に入る内容は?」



<感謝の言葉に感謝!>

眼の大きなきりっとした美形の佐藤美智子さんは、計画から実行までの計画者の苦労についても配慮してくれた。

「大学生から86歳の老若男女50人の研修旅行は、口には言い表せないご苦労があったはず、訪中2日目には9人が体調を崩し、心配しましたが、素早い対処で、翌日には一緒に移動することができた。今回に懲りずこれからもこのような企画を続けてほしい」

さすがは千葉県を代表するような佐藤婦長に、団長としてこの機会に敬意を表したい。戦後80年の事態は彼女の不安を的中させている。永田町の改憲軍拡の新聞と政治屋の潮流に懸念するばかりだ。

2025年9月4日記(茅野村の仙人・日本記者クラブ会員)


史実はだれもが忘れない!

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