本澤二郎の「日本の風景」(5522)

<経済学者・野口悠紀雄は宇都宮徳馬の後継者か>

現在の日本にはエコノミストはいない。そう思っていたら、一人見つかった。野口悠紀雄だ。彼は敗戦後の間もなく、宇都宮が生きた経済人として公表した日本政府の「官僚統制経済」を真っ向から批判した。彼は「官僚統制経済批判」を学んで、日本経済を分析していたと思われるのだが。

「東大法学部の官僚経済統制は、生きた経済がまるで分っていない。無理なのだ」と常日頃政府の経済政策を批判していた宇都宮。経済を熟知していない官僚の思い込みで、経済政策を進める愚を厳しく指摘していた。その頂点に、戦時経済を担当した東条英機の戦争内閣の商工大臣・岸信介ら、商工官僚の無能・無責任に怒りの矛先を向けていた。


商工省は戦後に通産省、いまの経済産業省であるが、東大法学部の経済を知らない経済官僚は、戦前と変わらずに財閥と連携し、現在も継続している。日本経済崩壊は、結局のところ、東大法学部敗れたりか。官僚統制経済の崩壊なのだ。韓国という小国にも肩を並べることが出来なくなった「経済大国」は、過去の亡霊に相違ない。筆者は「天皇の官僚」(データハウス)で抵抗を試みたが、無駄なことだった。


野口は「1940年体制」と決めつけて、これがいま崩壊してしまったと分析している。政界では保守合同の「1955年体制」が「反共の砦」として表面化、戦前のA級戦犯が大挙復権する。すなわち米CIAの策略「反共の砦」路線が実現する。平和憲法に反して中ソに対抗するという間違いを犯す。それに対して自民党リベラル派の大角連合は、日中国交正常化を実現し、風穴を開けるという成果を挙げたが、清和会体制の下でいまは元の木阿弥。極右の森・小泉・安倍の清和会に押し切られ、岸田文雄は護憲リベラルの宏池会を投げ捨ててしまった。

岸田の祖父は、岸の配下として満州国傀儡政権の下で金もうけ、孫の岸田は宏池会の全ての遺産を投げ捨てて、清和会の改憲軍拡路線に屈した裏切者だ。政治の逆転が、負の官僚統制経済を崩壊させる。

戦前の日本侵略戦争を主導した天皇制神道国家主義は、財閥のための官僚統制経済として機能してきた。戦前戦後の日本経済を主導してきたが、戦後80年にして日米とも国債乱発の超大型放漫予算で、とうとう崩壊の時期を迎えてしまった。それでも守銭奴投資家は米国の復活にかけるが、世界経済はドル離れへと突入している。


ドル基軸体制の衰退とは、日本同様に財政危機のアメリカを意味する。日本では、すでに10余年前から、野口が言うように「日銀が引き金を引く日本崩壊」が始まっていた。円もドルも紙切れの時代に入った。国民生活の崩壊は、1%の勝ち組がコメ農家でも起きている。異様な物価の高騰は、日銀が物価の番人を放棄したアベノミクス効果(アメリカ化)である。


官僚統制経済は財閥主導、財閥のための経済政策だ。消費者である国民の奴隷化に他ならない。

国民救済のせめてもの策は、購買力平価という当たり前の金融政策に戻すしかない。アベノミクスを推進した日銀の黒田・植田は罪人である。1ドル100円にすれば、国民のための消費経済は回転する。消費増税の立民は分裂崩壊する。清和会も崩壊するだろう。西田も生き残れない政治屋でしかない。

日本を安倍と共に推進した公明党創価学会は、既にネット社会の世論調査では、生き残りは困難だ。万博とカジノに突進した笹川ギャンブル財団配下の維新も。


<1940年体制の崩壊は宇都宮の官僚統制経済批判が原点>

<読んでみたい野口悠紀雄「日銀が引き金を引く日本崩壊」 - ダイヤモンド・オンライン>

<宇都宮・水田・後藤田の水戸高OB復活は幻か>

2025年5月11日記(茅野村の仙人・日本記者クラブ会員)

「時給1200円の日本より1700円の韓国」残念な現実野口 悠紀雄