本澤二郎の「日本の風景」(5371)
<生き残りを図る萩生田の保守傍流=岸信介・森喜朗・小泉純一郎の大罪>
ワシントンの反共右翼に問題があるのだが、彼らによって政権を手にした自民党保守傍流による右翼片肺体制のもとで、日本沈没は現実のものになってきている。アベノミクスで財閥・武器弾薬メーカーは、円安と豊富な血税投入で肥満体質に。その一方で、国民生活は物価高で困窮を極めている。たとえば1リッター180円185円で車に乗れない時が目の前に迫っている。
永田町では、安倍・清和会残党の萩生田光一や高市早苗らは生き残りにかけているのだが、どうなるのか?
改憲軍拡をかき鳴らしてきた安倍一族のルーツである保守傍流の危険な右翼体質は、旧田中派の書生だった石破茂にまで及んでいる。「金が政策を決める」という反民主的な企業団体献金禁止世論を、彼は「憲法に抵触する」などという陳論を吐いて、国民を欺こうとしている。
戒厳令を発動した隣国の大統領と大差ない、怖い石破ではないか。
43兆円の戦争準備で、ウケに入る財閥から大金を巻き上げている石破の反撃もたかが知れている。元軍需産業として「ナショナル」を成功させた松下幸之助の薫陶を受けた立民の野田佳彦が、どう抑え込むのか注目したい。同じ穴のムジナでないことを祈りたい。
<保守本流が氷解した日本政治の前途と小泉の大罪>
最近の政治屋や政治評論をする者たちは、戦後政治の根っこについて無知である。戦後体制は、歴史の教訓を踏まえた日本国憲法によって規定されている。憲法を尊重し擁護する責任が、特に政治家・官僚・裁判所判事・言論人の行動の原点である。
いわゆる対立する護憲リベラルの保守本流は、戦争を拒否する非戦の立場を貫いて、もっぱら国民のための平和政治に徹してきた。他方で改憲派の保守傍流は、A級戦犯内閣の岸信介が源流だ。改憲の狙いは戦争のできる日本、すなわち戦前体制の復活にかけている。歴史認識は皇国史観という時代がかったものだから、国際社会のそれを否定するため、善良な憲法人間は受け入れられない。筆者流の分析は天皇制国家主義。そこには神道・靖国が登場し、武器弾薬による天皇国家。21世紀の国民も国際社会も受け入れることは出来ない。
国連の敵国条項が存在する理由であろう。すなわち、日本をとことん信用する国も国民もいない。南京大虐殺やハルビンの731部隊を知らない日本人は少なくない。それは学校で教えないためだ。同時に平和憲法さえも知らない日本人がいる。これは恐ろしいことである。油断すると戦争にのめりかねない。それゆえ老いてもペンを放棄しない、できない理由なのだ。
それにしても小泉純一郎の罪は重い。前任者の森は「日本は神の国」と断じて、国民を驚愕させたが、彼ら清和会の政治屋は、戦前の国家神道かぶれであることを裏付けた。これも恐ろしい。そんな森を、東京五輪で莫大な利権あさりをしても、検察は捜査せずに逃した。検察もまた保守傍流勢力に羽交い絞めされている証拠か。例の袴田事件の冤罪に真摯に向き合えない検事総長が、そのことを全国民に知らしめている。本当に怖い、恐ろしい日本であることが理解できよう。
小泉の大罪というと、後継者に安倍という岸の生まれ変わりのような小僧を押し出したことと、もう一つは竹中平蔵という学者詐欺を重用して、労働者を奴隷のように酷使し、いつでも首にする体制を構築した点である。安倍もそうだが、両者とも国民いじめで共通している。言い換えると、財閥の召使といえるだろう。行動基準は金・カネである。人権軽視も甚だしい。戦前のヒロヒトもしかりだ。
<岸政治の核心は児玉や笹川などやくざ暴力団の存在>
保守本流の宏池会の伝統は「右翼やくざ暴力団排除」とまともだ。前尾繁三郎・大平正芳・鈴木善幸・宮澤喜一のブレーンだった安田正治(元京都新聞記者)は、駆け出しの政治記者を捕まえて「宏池会にやくざ暴力団はいない」と宣言した。当時は岸政治について不勉強だったため、その重い意味を理解できなかった。
アメリカも怪しいところがあるが、それでもホワイトハウスに出入りするギャングがいるという話は聞かない。岸の流れは、いまも残っている。オウム真理教の武器工場は、岸の仲間の笹川の山梨県の広大な領地に存在していたではないか。笹川ギャンブル財団の暴走が、森と萩生田・高市を擁護している、と見られている。
岸の政治後継者は、福田赳夫である。清和会は福田が立ち上げたものだが、実態は岸派と福田派の合体である。東京タイムズ社会部長だった斎藤弘治は、右翼やくざ暴力団関係については、警視庁記者クラブで最有力の社会部記者だった。彼は福田とやくざの大物との映像を入手し、1面のトップ記事で公開した。
筆者は記事にしなかったが、福田派の集金パーティーで岸の盟友・笹川良一が公然と壇上に登ってあいさつする姿を目撃した。岸の傍流政治は、やくざ暴力団を当たり前のように利用し、利用されていた。笹川の隆盛は、現在も裏表とも政界随一である。これは恐ろしい日本を印象付けている。角福戦争では田中も、笹川モーターボート運輸ギャンブル利権を排除できなかった。清和会最大のスポンサーである。むろん、統一教会も。今そこに公明党が鎮座して手放さない。
<児玉を利用した中曽根も渡辺恒雄も同罪>
宇都宮徳馬にかわいがられた政治記者は、年代は少しずれるが渡辺恒雄と筆者。渡辺の暴走を宇都宮から直接聞いた。渡辺の政治部長前任者の多田実からも、彼の所業を詳しく耳にした。元衆院議長の伊藤宗一郎(読売OB)もよく話をしてくれた。お陰で渡辺を知る言論人となってしまった。
彼は右翼暴力団の児玉とつるんで、読売の階段を昇りつめた。同じく盟友の中曽根康弘を天下人にさせた。右翼暴力団の威力は、敵対する相手の素性をつかんで、暴力的に容赦なく攻撃する。今はだれ一人渡辺の真実を語れる人物はいない。だが筆者は違う。お陰で大分意地悪された。渡辺は、恩師が言うように善良な言論人では全くない。もはや清和会の首の皮一枚も支えることは出来ないようだ。萩生田の動向がどうなるのかが、占えるかもしれない。
2024年12月11日記(茅野村の仙人・日本記者クラブ会員)
自民党東京都連が2023年1月に開催した政治資金パーティーを巡り、20万円超のパーティー券を購入した団体の名称や金額を政治資金収支報告書に記載していなかったなどとして、神戸学院大の上脇博之教授は6日付で、都連の代表だった萩生田光一・党元政調会長や会計責任者らに対する政治資金規正法違反容疑の告発状を東京地検に提出した。
ヒロヒトの人間性!
「拝謁記」によると1950年4月19日の天皇の発言にはこうある。湯川博士と共に、長崎の永井隆をも表彰するのが銀盃(ぎんぱい)で出て来た。私はこんな宣伝屋はいやだが、そして湯川博士にもわるいと思ふが、裁可せぬ訳には行かぬと思ふが日本人初のノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹とともに永井への国家表彰が決まり、政府から裁可を求められた天皇が田島に対し、内々にもらした言葉だ。田島は「憲法七条の栄典授与は内閣の助言と承認によるもの故(ゆえ)(略)ご裁可願ふより外(ほか)なく」と裁可を促した。侍従の入江相政(いりえすけまさ)は、天皇と永井の面会について「(天皇が)永井隆博士にお会ひになる。二人の子供を御引合せしたりして少し宣伝が過ぎるやうだ」と日記に書いていた。永井が被爆者のなかでも目立った存在だったのには、理由があった。終戦に伴い45~52年に日本を占領したGHQは、プレスコード(報道統制)を発令して秘密裏に検閲を行った。米国など連合国への批判、とくに原爆に関する報道や出版を厳しく制限していた。(朝日)
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