本澤二郎の「日本の風景」(5364)

<米国の属国化と核禁条約締約国会議不参加の石破茂内閣>

戦後80年経つというのに日本は独立していない。米国の属国に甘んじて恥じない。自立しない。自立できない日本政府。地球から核を廃絶する運動体のヒロシマ・ナガサキの被団協にノーベル平和賞が贈られたが、一体どれほどの価値があるのだろうか。第一、核兵器ゼロを呼びかける国連の核兵器禁止条約締約国会議に参加しようとしない日本政府を、石破少数与党内閣も踏襲し、依然として国際社会から冷ややかな目で見られている。

国際舞台で胸を張れない日本は、自立した独立国とは到底いえないだろう。日本に右翼は存在しても愛国者はいない。これも不思議なことである。米国の属国化がそれほど素晴らしいことなのか。米国の力の源泉であるドル体制も、今日ではBRICS +αの挑戦を受けて揺らぎ始めている。それでも?不思議なことである。


<核兵器のプルトニウム生産大国の原発推進の大矛盾>

日中間の平和条約ならともかく、日米安保のような軍事同盟条約は必要なのか。外国に軍事基地を提供する、まるでモグラのように地中に潜り込む三等国ではあまりにも情けない。

なぜ堂々と平和国家の旗を高く掲げ、武器弾薬ではない平和外交で打って出ようとしないのか。神社神道の限界か。


ヒロシマ・ナガサキの被爆国でありながら、核兵器の材料となるプルトニウム生産大国を目指そうとするのか。国際社会は日本を準核兵器大国と受け止めている。

原発推進がフクシマの東電核爆発を引き起こした。しかも、核汚染水や同汚染ごみを太平洋に垂れ流し、後者を房総半島の水源地に埋設させたのか。袖ヶ浦市陣場台の現場からは、高い数値の放射線が地上に噴き出ている。地中深く測定すれば、東電フクシマの現地とは変わらないはずだ。

東北復興資金の32兆円の一部がそこに使われ、大金を手にした木更津市の産廃業者は雲隠れしている。袖ヶ浦市も千葉県もそれに蓋をするのに必死である。こんな不条理が放任されていいのか。


原子力マフィアの横暴は計り知れない。アメリカの属国・日米安保の行き着く先であろうが、その腐り切った土壌はA級戦犯内閣とそれを世論操作した正力松太郎の読売・日本テレビの恐ろしい野望とが結びついている。


<問題の核心は岸信介・児玉誉士夫・笹川良一のA級戦犯内閣>

日本の朽ちた戦後史は、ワシントンの策略とそれに屈した政治と国民の低級さによる。言及するまでもなく、日本を反共の基地にするために米CIAは、戦争犯罪者を権力の座につけた。岸・児玉・笹川・正力らA級戦犯の官僚と右翼暴力団。そこから平和憲法の破壊が始まった。その線上に天皇制国家主義が復活し、開花する。ワシントンの手口には、倫理も道理もない。


対抗する野党は、国家主義の強権主義に対抗できなかった。今からすると、ワシントンの暴挙を理解できなかったのかもしれない。ここ40年、30年の日本政治における野党の力量不足は、目を覆いたくなるほどである。


戦後教育に重大な問題が存在したのだが、日本の革新勢力はその危険性を見逃してしまった。現在、気が付くと歴史も知らない。憲法さえも読んでいない国民が多数である。さらに言論界の腐敗が災いした点が重大である。


<世論操作は正力松太郎の読売・日テレグループ>

CIA期待の人物は、反共の政治部門の人物や、それを強固に支える暴力右翼だけではなかった。反共主義を正当化するために世論操作をする新聞人も、CIAにとってもっとも重要なことだった。


アメリカの西部劇を見ていると、そこでも新聞の役割の重さを感じる。人々は新聞から世の中の動向を知り、その判断で動く動物だからである。その点でCIAの期待の星が、旧内務官僚の正力だった。

正力は自治体の役人をからめとり、スポーツ新聞を使って無知の大衆を釣る。そのためにいち早く巨人軍を抱え込んで大衆を抑え込んだ。野球はアメリカのスポーツである。現在も米大リーグの日本人選手の大活躍が、国民の脳裏を抑え込んで離さない。


正力の思惑は、現在の渡辺恒雄にも継承、強化されてきた。彼は児玉と提携することで、読売の実権を握り、老いてもその地位を死守し、米国の反共主義と改憲軍拡と原発推進を公然と推進してきた。これをNHKから朝日・毎日にも押し付けてきたという事実は、信じられないことだ。しかも、政権を背後で操ることに長け、財閥の広告費を懐に入れて、高級紙の朝日新聞を墜落させてしまった。それでも日本国民の平和主義は、ナベツネを上回る。


もっとも新聞テレビの右傾化が、自衛隊の戦争を可能にさせ、アメリカの属国化を決定的にさせたといえるだろう。売国奴・国賊の最たる日本人は、安倍晋三よりも渡辺恒雄であろう。恩師・宇都宮徳馬の呻吟が耳をつく。


亀井静香が期待した石破茂は、核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加さえも事実上、拒否した。朽ちた言論の日本は、いつまで続くのであろうか?

2024年12月4日記(茅野村の仙人・日本記者クラブ会員)


ICCピンチ 総会は7日までで、日本を含む124か国・地域の代表が出席した。米国やロシア、イスラエルは非加盟国だ。ICCの赤根智子所長は冒頭、「国際法と国際司法は今、危機に面している。加盟国は法的な義務を果たす必要がある」と演説した。