本澤二郎の「日本の風景」(5243)
<朝鮮半島から明るいニュース?=日朝正常化と拉致解決>
朝鮮半島から久しぶりに明るいニュースが飛び込んできた。韓国に亡命した北朝鮮外交官が、ロイター通信のインタビューに対して「拉致と国交正常化解決に前向き」との北朝鮮外交の基本方針を明らかにした。疑心暗鬼の日本の抵抗する右翼も説得できるだろう。国交正常化と拉致を掛ければ双方に異存などない。
死に体政権の岸田は、藁をもつかむ思いで飛びつくだろう。
<ワシントンは反対しない!民主共和党とも>
日朝外交最大のカギは、米国ワシントンが握っている。現在は、右派の共和党と中道民主の両党とも異論はない。トランプが11月大統領選挙の共和党候補になっている。米朝の関係正常化に突っ込んだ共和党に異論などない。
バイデンの民主党は、二つの戦争で身動きが取れない。次期民主党の大統領候補のハリスは、アジア系である。日朝の関係正常化に反対などできない。岸田のNATO寄りの危険な外交に借りもあるワシントンである。
米国外交の主導権は議会が握っている。韓国の右翼政権が猛烈に反対するかどうか。これも考えにくい。内政で動きが取れないユン政権である。岸田は、珍しく日朝外交を推進できる最良ポジションを手にしたようである。
大阪の中山正あき(太郎の弟・母親マサ=池田内閣厚生大臣)の言葉を思い出した。「日朝関係は日本政府の決断で1日あれば実現できる」ほどの軽い問題なのである。こじらせた原因は日本政府・アメリカである。
<拉致問題の原因は日本政府の怠慢=田中内閣は日中に次いで処理する計画だった!>
田中角栄は決断する実行内閣で知られる。即断即決だ。盟友の大平正芳に日中を任せると、直ちに日朝国交正常化を具体化させた。佐藤栄作の側近・木村俊夫に任せた。一気呵成に戦後外交の処理をする手はずだったのだが。
台湾派の時代錯誤の岸・福田の抵抗(文春の金脈問題)がなければ、拉致問題そのものが起きなかったのだが。
思い出すと筆者にもその役割が回ってきた。1993年に宮澤喜一内閣に対して、平壌はボールを投げてきた。直ちに宮澤とやり取りしたのだが、彼の足元には自民党右派が「政治改革」「小選挙区制断行」で揺さぶりをかけてきていた。小沢一郎の政治責任は重い。改憲軍拡の悪しき輩の抵抗である。
宮澤には余裕がなかった。結局、外務省が反対してお蔵入りしてしまった。誰も知らない1993年の日朝秘密交渉は、役人を排除することで決着を図ろうとするものだったのだが。
<金日成が信用した人物は陸軍参謀本部解明派・反山縣有朋派の総帥=佐賀の宇都宮太郎陸軍大将の息子・徳馬>
朝鮮半島の悲劇の元凶は、日本の天皇制国家主義による侵略・植民地支配にある。誰も否定できない史実である。日本敗戦で半島は二つに分裂した。敗戦国の日本は、ワシントンの指令にしたがって韓国と正常化したが、北朝鮮とは米国に対抗するソ連の影響を受けてることから後回しされる。
田中ー大平外交が、まずは中国と、ついで北朝鮮と正常化する手はずだったが、無念にも自民党岸・福田派による抵抗に屈して、日朝関係は棚上げされてしまった。自民党派閥抗争に起因する。
そうした北朝鮮を、機会を見ては平壌を往来した人物が、宇都宮徳馬だった。世界・人類との友好に賭ける宇都宮の政治信念は、憲法の要請以前に父親の薫陶を受けていた。すごい政治家だった。
陸軍参謀本部時代から長州の軍閥・山縣に対抗する解明派佐賀藩の陸軍大将は、革命派との接点を重視してきた。時代の潮流に掉さす人物で、現に朝鮮総督時代には事実上、発砲を禁じたことで知られる。金日成はそのことを知っていたらしく、息子の徳馬を信用して喜んで平壌に招待した。
のちに中曽根内閣で飛ぶ鳥落とす勢いの金丸信が訪朝した際、宇都宮の功績を知り、帰国すると、宇都宮を都内の料亭に招き入れ、頭を垂れたほどだ。次いで金丸側近の石井一が全国の地方議員約300人を率いる大訪朝団を編成した。この時、佐賀県の愛野興一郎(中大先輩)が「代わりに訪朝してほしい」と席を譲ってくれた。
佐賀の人が、予想もできない金日成会見をプレゼントしてくれたのだ。北朝鮮のボスの「我が国は地球と共に歩む」という名言に感動してしまった。
政治も常識で動くという。筆者の宮澤工作は、その直後のことだった。日本政治が安定していれば、護憲リベラルの政府が存在していれば、とうの昔に国交は正常化し、半島との経済交流は東アジアを元気にさせていた。拉致などは起きなかった。犯人は日本の右翼だ。
愚かすぎる改憲軍拡で、利権あさりの右翼政権に肩入れするナベツネ読売言論に怒りを覚える理由である。この点について、いつか理解してくれる国民が出てくれるかもしれない。愚鈍な利権言論とカネ亡者の財閥とカルト教団が、国民生活を危うくさせている三悪であろう。
<台湾有事の安倍・清和会崩壊の反動か>
いま新たな北朝鮮外交の攻勢は、安倍・清和会崩壊と無関係ではないだろう。岸田は、既に改憲軍拡派に塩を送り続けて来ている。それも十分すぎる量である。悪しき木原誠二の成果でもあろう。
宏池会の理念まで放棄してしまった。
台湾有事も右翼とペンタゴンの野望に過ぎないことも分かってきている。つくられた緊張策略だが、肝心のペンタゴンにその余裕などない。地対空ミサイルを日本の軍需産業に依存しなければならないほど、ワシントンの武器弾薬が枯渇している。
ワシントンが手を出せる「台湾有事」ではない。経済的に疲弊している核大国に手を出す愚か者など、ペンタゴンには一人もいない。
何とか生き延びた森喜朗の足場を支える笹川ギャンブル財団も、正義の刃には無力である。萩生田光一や世耕も落馬して力を失った。安倍側近の女を支援する勢力はわずかだ。清和会は名存実亡である。平壌の分析は実に完璧な分析だとみたい。
<岸田文雄の最後の決断>
首相の座に座りたい、ただそれだけの岸田文雄に期待する国民はほとんどいないだろう。岸田解散を喜ぶのは野党の一部でもある。維新・公明はごみ箱政党に落ち込んでしまっている。
これこそが解散の好機か。しかし、何か材料が欲しい?
岸田の最後の実績になるのは、日朝国交正常化実現である。日朝首脳の利害の一致だと見たい。
<それでも国民は43兆円戦争準備金阻止だ!>
アベノミクスもようやく崩壊した。1ドル80円に向かって突き進めば、国民生活は安定する。財閥も株屋も豚のように太っている。トヨタに目を向けなくても理解できる。
国民はそれでも43兆円の戦争準備に反対である。日本国憲法を定着させる時である。
2024年8月3日記(茅野村の仙人・日本記者クラブ会員)
アベノミクス崩壊で1ドル80円時代到来??【日本市況】日経平均ブラックマンデー以来の下げ幅、米景気懸念直撃長谷川敏郎、船曳三郎、酒井大輔2024年8月2日 14:12 JST 更新日時 2024年8月2日 15:51 JST2日の日本市場では株式相場が大幅続落し、日経平均株価はブラックマンデー以来、約37年ぶりの下げ幅となった。相次ぐ経済指標の悪化で米国景気の先行き懸念が広がり、投資家の間でリスク資産の保有を減らす動きが強まった。業種別33指数は全て安く、東証株価指数(TOPIX)は直近高値からの下落率が10%を超え、テクニカル分析上は調整局面入りとなった。
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