本澤二郎の「日本の風景」(5072)
<列島汚染!小櫃川汚染疑惑の日高金属の開き直りに住民衝撃>
国会に政治家らしい政治家が姿を消して、裏金自民党・安倍清和会事件が発覚した。自公政権は、大渋滞の車列にはまり込み身動きできないでいる。要である改革の好機という認識がない。同じことが地方でも起きている。やくざが跋扈する房総半島・袖ヶ浦市の核汚染ごみ事件と銅線リサイクル工場の日高金属(本社埼玉県)による有毒汚染水垂れ流し問題で、林・高谷地区の住民の心はやや疲弊している。
2月9日の日高金属と住民の初の対話では、何も前進しなかった。汚濁水を目の前にして日高金属の「オウ」という部長は、御園豊対策委員長に向かって「あなたが飲まないのであれば、自分も飲まない」と開き直って、反省も謝罪もしなかった。
反省も謝罪もしないという姿勢は、財閥の手口であることを東芝医療事故死事件(2010年4月7日)に体験させられたのだが、この中国人経営の日高金属も同じなのか。昨日、御園氏が自宅に寄って説明してくれた。
核汚染ごみでは、木更津市の産廃業者のワコーは逃げ隠れ、そして日高金属は企業利益優先で、地元住民と環境破壊を否定して、真摯に問題解決に向き合う姿勢を見せない。住民の成果というと、日高金属とのやり取りの様子を動画撮影して記録できたことだけだった。案の定、日高の担当者は名刺交換もしなかった。無責任にもほどがあろう。
改革開放以後の中国でも環境が破壊され、河川も湖水も汚染されて、そこで生活する人々の生きる権利を奪ったが、同じことを日本の水源地でも強行しているつもりなのだろうか?
<清流・松川に魚も蟹もいなくなって数年=議会も沈黙!>
住民の説明では、国道沿いのすぐそばの文化財が眠る山林を購入した日高金属は、地元住民を無視して工場を黒い塀で囲んで作業を開始した。袖ヶ浦市環境部と何があったのか?
市議会議員の誰もが、議会で追及しない。同市では年内に市議会選挙が実施される。各党とも宣伝のチラシを新聞折込で配布している。自民党の市長派はいうに及ばず、公明党も共産党も、泣き叫んでいる林・高谷地区の、空前ともいえる環境破壊に対して沈黙している。
知らないためか?そうではない。住民は何度も現場と資料で、実情を紹介してきた。その都度「大変なことだ」といって事態の大きさを感じながら、それでも議会に戻ると、質問しない。
これはどういうことか。議会に言論の自由は存在しない。やくざに監視されて身動きできない市議会議員ばかりなのか。それが共産党や公明党にまで伝染している。業者との関係かもっと大きな原子力マフィアに党本部が懐柔され、上からの指示なのか。
<共産党のアンケート結果?松川汚染は小櫃川40万市民飲み水だが完全無視の不思議>
共産党のアンケート調査結果というチラシが手元にある。80%の市民が「暮らしが悪くなった」と回答しているが、なんと18%は「変わらない」。悪くなった理由は物価高73%、水光熱費増60%。取り組んでほしいベスト5に環境・暮らし・街づくりとあるが、大事な残土・産廃・スクラップヤード規制は、32%と最下位。林問題を回避しているのである。
ワコーによる陣場台周辺のガン多発地区についても排除している。御園対策委員長の衝撃は大きい。
共産党の命と暮らしを守るというスローガンは死んでいるのだろう!知り合いの自由法曹団弁護士は、いつも「信じられない」と泣いているのだが。
<朝日新聞が初めて報道=しかし日高金属を「袖ヶ浦施設」>
日高金属の環境汚染事件を初めて朝日新聞の堤記者が取材し、千葉版(2月11日付)で大きく報道された。これは林・高谷地区の最初の成果といえるだろう。住民の怒りが大手新聞に反映された政治的意義は大きい。
ただし「白濁の排水 用水へ流出」「袖ヶ浦の施設、危険性は否定」との見出しに、肝心の日高金属の名前も、黒ずくめの工場もなかった。「住民が検査要望 市対応せず」との袖見出しは袖ヶ浦市と業者の関係を暗示している。
<戦略の立て直し必至=見学会開催で世論喚起、衆参での追及>
核汚染ごみと足尾の鉱毒の可能性を秘めた住民運動も、かれこれ3年が経過した。県も市も隠蔽に必死だ。これを打ち破る2024年にしなければならない。
悲しいかなアナログでは、対応は困難だ。ネットを活用し、世論を喚起するためにもデジタル広報チラシ作戦が不可欠だろう。市内から若者を動員する必要もあろう。女性の運動員も重要である。
臨機応変に、林公会堂を利用して住民との茶会・懇親会も必要であろう。幽谷の原状回復闘争は、地球環境を未来に相続させる偉大な住民運動として位置づけられ、そのための覚悟が求められている。9日の集会の現場には、才能と行動力のある市民運動家の姿も見られた。永田町改革ともリンクしていることも銘記したい!
2024年2月12日記(日本記者クラブ会員・反骨ジャーナリスト・政治評論家)
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