2025年10月

本澤二郎の「日本の風景」(5691)
<医療費暴騰で家計深刻>
10月30日の韓国でのトランプ・習近平の米中首脳会談は、想定された以上に両者は歩み寄り、しっかりと成果を収めた。経済的に追い込まれている両雄は、傷をなめあって握手したものか。帰国につく機内でトランプは「すばらしかった」「10点満点中12点だ」と成果を強調したほどである。米中対立を願うような日本の極右政府と右傾化した言論界が期待した「台湾問題」は、議題にもならなかった。

さてと中国人の家庭の悩みに触れる。それは、ずばり大病の治療費・薬代。
もう10数年前に聞いたことだが、家庭の中にがん患者が出ると、家庭が崩壊するというものだった。日本でもそうだった。55歳の時、次男が風邪で入院した際、東大医学部OB医師が「ガン」と診断した。それを聞いた筆者は「家計破綻」を覚悟して青くなった。
結果は医師の重大な誤診。命拾いしたが、誤診は患者を不治の植物人間にした。しかも、帝京大学病院(市原市)は医療事故を認めようとしなかった。同じ病院の善良な医師が真相を明かしてくれたので、なんとかケリをつけることが出来た。
病院での医療事故死は、いたるところで起きている。問題は関係医師や病院が事実を認めない点にある。次男は2010年4月7日に誤嚥性肺炎診断で、東京・品川区の東芝経営の病院に緊急入院したが、数時間後に命を奪われた。明白な窒息死。担当看護師が100分も個室に放置していて、タンがのどに詰まっての明白な事故死だったが、いま現在も反省も謝罪もしない。
東芝は原子炉や武器弾薬を製造する悪徳財閥企業である。どうしてそうなのか!東芝製品は311フクシマ東電原発3号機の製造メーカーだ。核爆発し、多くの市民の命を奪っているが、いまだに真実を隠している。当時の首相の菅直人と官房長官の枝野幸男は怪しい。彼らと東芝の関係が知りたい。恐ろしい反社会的悪徳企業で知られる東芝はいらない。
我が家から東芝製品が消えて当然である。刑事告訴したが、東芝の政治力によって排除された。正義が反映されない交通事故が、いま木更津市の法廷で繰り広げられていることが、新たに発覚している。日本も問題山積だ。


<増加する保険適用なしの漢方薬>
今回の北京散見で、中国の重大深刻な問題が、医療に集約されていることを再確認することが出来た。物価高の食料は節約して、なんとかやり過ごすことが出来るが、病気はそうもいかない。
日本に比べると不十分な保険では対応できないのだ。「保険のきかない高額すぎる薬と診察費」に人民は泣かされている。
日本の西洋医学もアテにならないが、一部で期待されている漢方薬・漢方治療についても最近は、中国でも懸念されている。中国革命で伝統文化の漢方も軽視され、いうところの名医も排除されたという。結果、数千年の伝統と治療技術がすたれてしまった。
大学では漢方と西洋医学双方を教えていると聞くが、名医がいるのかどうか。さらに問題は、薬草生産である。農薬を使用しているらしい。
そして「名医」が推奨する多くの漢方薬は「保険がきかない」という、患者殺しの風潮が、昨今問題になっている。「暴騰する漢方薬」によって、数万円から数十万円を毎月支払うと、たちまち預金は底をつく。家計・家庭破綻が待ち受けている。

<国も地方も財政危機>
国が衰退する、経済が落ち込む場面の為政者の対応は、真っ先に武器弾薬を捨てる。これが為政者の当然すぎる手段だが、現実は逆だ。経済危機において武器弾薬に特化すると、事態はますます悪化する。愚かな高市や小泉は、大軍拡の前倒しをすると公言して、武器弾薬株を高騰させ、その株式に手を出す政治屋・官僚・言論界の「今だけカネだけ自分だけ」の腐敗勢力は、聞く耳をもたない。
物価の番人の日本銀行が、率先して物価を高騰させて10数年になるが、いまの植田という悪党も円安路線を改めようとはしない。

不動産バブルで経済を動かしてきた中国の財政は悪化している。国も地方も銀行も金がない。貧すれば鈍する。医療の分野も腐敗して、保険のきかない薬と高額治療で人民の生活を苦境に貶めている。
中国で大病になる外国人は、直ちに帰国を余儀なくされるという。
腐敗は官僚・軍・医療にも及んで、人民を苦境に貶めている。そのことを今回は身近に見てきた。

<がん患者は一家破綻>
要するに現在の中国でがんなど大病になると、それで家族の人生は破壊される。
なんとしても武器弾薬から軍縮へと移行させないと、国滅ぶことになる。これは今の日本もアメリカもそうである。米国の財政危機もドルの時代の終わりの始まりを象徴している。
トランプは「米国の武器弾薬を買え」と今回のアジア訪問で叫び、日本と韓国が応じた。日韓とも亡国へと突っ込んだのだが、おろかな日本国民と国会は認識していないから驚く。

ガンなど大病の治療費で家庭が崩壊する中国を、筆者は10数年前から聞いているが、いまはさらにそれが深刻になってきている。

<病気にならない環境・食事に大金賭ける人々>
中国人は一時、南の海南島に押し掛けた。自然と海の幸にあこがれた。その後に雲南省など僻地に移転するものも。北京を離れる風潮は今も続く。海外ではシンガポールに金持ちが。いま空白地の香港にも、そして一部の金持ちは、東京の高層ビルから北海道にも足を延ばしている。大金持ちはじっとしていない。
居残り組は病気にかからない環境の良い場所や、健康にいい食事、運動も心掛ける。
マンション内の小さな運動器具の設置や庭内の樹木化は、日本を超えている。

6年ぶりの北京の変化の一つは、大型犬のペットが姿を消していたことだ。
日本では見られない誰でも乗れる小型の電動バイクが、駒鼠のように音もなく走り回って、中国経済を支えていたことも変化の一つだった。
2025年10月31日記(茅野村の仙人・日本記者クラブ会員)

本澤二郎の「日本の風景」(5690)
<訪中111回6年ぶりの北京散見>10
人も動物も、胃袋が暖められると沈黙するという。人間社会に革命は起きない!そうかもしれないが、食にブレーキがかかると、人は生きようとして動く。それは動物も。熊もそうである。自然豊かな山林であれば、人間がいたずらしなければ、熊も民家に押し掛けることをしない。
全ては人間が暴れだして、動物を恐怖に陥れ、その結果、熊も暴走する。やたら科学を振り回す連中が、やくざを動員して自然を破壊し、争いの火の粉を地上に振りまいている。人が自然と共に生きている限り、自然や動物が人間に襲い掛かることはない。

平和は力では手にすることなどできない。安倍昭恵がトランプに「平和」の絵をプレゼントしたという。その心は、力による平和である。大軍拡・核武装論は安倍晋三らA級戦犯後継者の、歴史を直視しない輩の発想である。安倍の信念を、側近の女性首相があっけらかんとして、大軍拡をワシントンの主に約束するものだから、善人は一段と警戒することになる。大増税に耐えられる庶民は少ない。消費税ゼロが民意である。

<北京の大型スーパーに客は少ない>
以前の中国には、地域の台所をまかなうための青空市場が存在し、人々は安心してそこに群がって衣食を解決してきた。ほかにも路上では野菜や果物、それに包丁研ぎの職人、それに散髪職人もいた。出稼ぎ農民も活躍していた。そこに活力のある巨大都市・北京が存在したのだったが。大中国が扉を開くと、経済は急成長する。その様子をこの目でずっと見てきた、数少ない日本人になってしまった。
次いで、新たに欧米大型店舗が誕生する。小さな茶菓子を売る小売店は消えてゆく。大きな数店舗による競争が始まる。
外国の百貨店なども参戦する。激しい競争経済が世界第二位の経済大国に押し上げてゆくのだが、人々の精神は金に呑み込まれてゆく。
そこにコロナ事件と不動産バブルで、庶民生活は傷つき破壊される。先行き不透明な経済に消費は落ち込んでゆく。6年ぶりに見た目の前の大型店舗の一つは消えて役所に変わっていた。米国のウォルマートも撤退していた。 
残っていた一軒の大型店に入ってみた。
目の前には、木々が成長して森になった巨大公園と、高級な戸建ての別荘がある。6年前はいつもにぎわっていた店だが、今回は全く違った。1階は宝石や化粧品と食堂、2階がお目当ての野菜・果物・魚肉類、3階は家庭用品。この店で何でも買いそろえることが出来るのだが、確かに客が少ない。

豊富な食料品は、この国の豊かさを誇っている。いかんせん買い手が少なすぎる。新鮮な野菜類は日本のスーパーを上回る。果物の豊富さは日本を優に上回り値段も安い。客の反応はというと「値段が高くなった」「肉が高い」と財布は開かない。不況下の物価高である。

<嫌われる魚介類>
魚介類に客は少ない。一人で見物していると、店員が声をかけてきたので、そこから去るしかなかった。
フクシマの核汚染水垂れ流し事件は、政治的に解決したが、消費者イメージは変わっていない。
それこそ「日本産」とわかれば、まず手を出す人は少ないのではないか。
筆者は一度だけ贅沢をした。核垂れ流しの直前に札幌に飛んだ。刺身をたくさん食べて満足した。最近はたまに海苔巻きを買ったりしているが、刺身には手を出さない。値段が高いのも理由だ。
東電の責任と原発推進の読売の責任は特に重い。しかし、漁民は32兆円の東北復興資金にごまかされたのか、おとなしすぎる。被害は甚大であろう。

<競争による割安商品は少ない>
日本でのコメの高騰が北京にも伝染していた。
中国人は地域にもよるが、日本食と違ってコメに執着していない。穀物や麺類や饅頭など中国料理は、もともとすそ野は幅広い。日本はおいしいコメをいっぱい生産し、それを食糧難の地域に支援するという道義的外交を展開すれば、どれほど喜ばれるか。「今だけカネだけの農林族」の無能さにあきれるばかりである。

ともあれ競争のない店舗経営は、確実に衰退を約束するだろう。中国政府にしても、大量の米国債の一部を売却し、金の保有に力を入れているという。米ドル衰退は歴史の必然である。経済不況下の米中首脳会談が、本日、韓国で行われる。双方喧嘩はできない。喧嘩両成敗である。争いは人類を破滅させる。まだプーチンもゼレンスキーもネタニアフも戦いに明け暮れている。
戦争ほど悲惨なことはない。高市の大軍拡は戦争への予兆であろう。いえることは米中戦争はない!
2025年10月30日記(茅野村の仙人・日本記者クラブ会員)

本澤二郎の「日本の風景」(5689)
<訪中111回6年ぶりの北京散見>9
確認したわけではないが、中国人の多くは国営のテレビ放送を見ていないかもしれない。ただし、民営の生々しい人民によるネット放送を見ている。地下鉄には国営のテレビが流れているが、まず一人も見ていない。民度ははるかに中国人が高い。

友人宅にはコロナ騒動でテレビはない、WI-FIなし。そのためネット音痴の筆者は、記事を書いてもそれを日本の読者に伝えることが出来なかった。帰国後に慌ててまとめて発信した。ありがたいことに大半の読者は離反しなかった。日本に戻ると相変わらず、民放までが「官営放送」に徹していた。昨日などは、二人の日米の歌舞伎役者?が東京発の猿芝居を演じ、それを大々的に宣伝放送をしていた。
筆者は若いころの高市を知っている。彼女のトレードマークは胸の大きさで、そこに男どもが群がっていた。昨日テレビに映ったものをネットで見ると、ひどくやつれていた。昔とは全く違った。声だけが威勢がよかっただけだ。
日本のナベツネ言論界は、戦前のそれと変わらなかった。朝日新聞の見識は、とうの昔になかった。戦前はすべてが官営軍閥財閥放送に一本化され、国民に総動員を煽り続けた。国家神道に屈した。結果、きのうの猿芝居に警鐘を鳴らす言論は存在しなかった。反骨の言論人は、ひとり田舎芝居にNOを突き付ける!

<北京地下鉄=中国人の親切に両手合わせる>
北京の地下鉄網はすごい。無数のネットに駅名を記憶できない。以前、学生にOO駅を伝えても、調べないと確認できなかった。利用者はなんとなく見当をつける。その程度だ。
日米の地下鉄利用者は、北京のそれを体験すれば驚くに違いない。衛生面は完ぺきだし、車内に涼風が流れる。空気の滞留がない。

ニューヨーク地下鉄を利用する外国人は少ない。怖くて乗れない。米国の治安は最低で、やくざギャングが横行し、彼はそれに軍隊を投入して退治している。秋田県が熊退治に自衛隊を投入するのは当たり前だ。人殺しをやめさせ、人を襲う熊退治は当然であろう。房総半島ではやくざ暴力団退治に自衛隊を投入する場面が出てきている。それは警察が逃げまくるというか、仲間関係にあるからだ。

筆者は何度も地下鉄内で両手を合わせて、老人に席を譲ってくれた若者に感謝した。気恥ずかしいが、人間らしく謝意を表現した。老いた外国人を親切にしてくれる北京の若者の態度に、内心涙を流してしまった。
歴代の日本首相やトランプの政治ショーに利用される拉致被害者、彼らの中にもそれをよしとする関係者がいるという?ことは簡単だ、首相自ら平壌に飛び込んで直談判すれば即解決する事案である。政治ショーに利用されることにためらいはないのか。被害者自ら飛び込めばいいではないか。

敬老の精神は政界には存在しない。露骨すぎる円安アベノミクスをやめない日本政府と国会は、物価の高騰で国民生活を破綻に追い込んでいる。それを10数年も継続し、財閥と株屋を狂喜させている。改憲大軍拡と核武装化のための積極財政(空前の借金)で、日本の財政を破綻して、いままさに亡国へと沈没寸前だ。日本の国会議員はすべて軍需産業株でぼろ儲けしている!事実かもしれない。

<午前8時台のすし詰め状態を体験>
約束の時間を守ろうとして午前8時過ぎの地下鉄に飛び乗った。乗れなかったのだ。わずか4つ目の駅であるが、駅員がホームで整理していた。目の前で見送るしかなかった。
東京でも総武線でよくある朝の通勤列車の風景である。それが北京郊外の駅でも起きていた。

次の地下鉄に何とかもぐりこんだが、入り口の反対側に追いやられ、それから身動きが出来なくなった。ひょっとして初めての経験かもしれない。東京では10時から12時前後の移動であったため、経験することがなかった。
混雑の理由の一つを発見した。いまの日本人もそうかもしれないが、中国人の大男は背中に荷物を背負っている。これがすし詰めの理由の一つだった。か弱き女性は大変だろうが、いかんせん助けることが出来ない。動くことが出来ないのだから。
さすがにこのような場合、携帯を取り出してゲームや映画、友人とのやり取りをする状況ではない。ただし、ここは北京。20分ほど辛抱すれば乗り換える乗客が多い。日本だと1時間近くだから、なかなか耐えるのは大変だ。中には痴漢もいると聞く。

真冬になると、これに着膨れが加わる。確かこの日、初霜が降りたという。誰一人手袋をする通勤客はいなかった。寒さに強い北京っ子なのだ。中国の集団暖房は11月中旬である。地方の貧者はどうだろうか?

<タバコ好きとタン吐き?>
中国人はタバコ好きの男性が多い。今回の北京訪問でもそれを確認した。歩きタバコとポイ捨てタバコはなかなかやめられない。これは世界的ではないだろうか。ストレス満載の社会がそれを止めることが出来ない。筆者はわからない。タバコは健康によくないことぐらい、小さい時からわかっていた。吸うといい気分になる?信じられない。
記者もタバコ好きが多かった。相手とおしゃべりする時の間合いを取るのに便利なのだが、次々と速射砲のように質問する人間には、間合いは時間の無駄でしかなかった。電車内での原稿書きを得意としてきた人間には、タバコは邪魔だった。政治家では福田赳夫は人前でタバコを吸っていた。三木武夫や大平正芳、中曽根康弘のタバコは見なかった。田中角栄は吸っていた。福田参謀の松野頼三のそれはひどく、部屋がかすむほどだった。しかし、彼の証言でA級戦犯内閣の正体を知った。秘書の平井君は同窓だった。

鄧小平も吸っていた。尊敬する中国きっての日本通の肖向前は、吸わなかった。そういえば人前で吸う中国人の学者は、いなかった。中国でも教養のある人は概して吸わない。庶民はよく吸う。たばこ産業は庶民で成り立つビジネスなのだ。

「痰を吐く中国人」もまたタバコ好きと結びついているようだ。しかし、これは理由がある。恐ろしいほどの大気汚染である。北京市内には石炭や石油を使用する工場や車で埋まっていた。排気ガスには苦労したものだ。それが痰を吐く動機となったのではないか。ともかく恐ろしいほどの大気汚染は、その後にPM2・5騒動に発展した。加えてモンゴルの黄塵万丈が古来より続いていた。

黄塵万丈はともかく、車の排ガスがほぼ収まった。北京市内の汚染工場はすべて移転させた。6年ぶりの
北京訪問では、すべて電動化した車に驚かされた。この一点で北京は東京や欧米の大都市を超えた。これはまさに革命的である。
かならずや「痰を吐く北京人」はいなくなるに違いない。

<羊肉の串刺しが消えていた>
今回の中国訪問の目的の一つは、イスラム系の回族村での羊肉の串刺しを食べながら、ビールを飲もうというものだったが、本物の串刺し羊肉はなかった。
代わりの串刺しはあったが、お目当てのものはなかった。原因は、煙にあった。大気汚染の元凶とされてしまったのである。
いえることは、それほど煙はNOなのだ。大気汚染阻止にかける北京当局の意気込みに驚くほかなかった。

日本では袖ヶ浦市の水源地に、311フクシマ東電原発の核爆発放射能汚染土やゴミが、およそ60万立方メートルも違法・不法投棄されている。建設会社も産廃業者も地元住民の調査で判明している。しかし、地元の自治体も千葉県も蓋をかけて、しらを切っている。
おとなしすぎる住民運動を、当局は小ばかにしている。それに屈する不甲斐なさすぎる地元と地方議員と国会議員の無様すぎる行動しない市民が、もう4年も放置している!
この深刻な事態を黙認する極右政府と議会と日本の言論界、学者・文化人の愚かすぎる日本を、なんとするのか!
2025年10月29日記(茅野村の仙人・日本記者クラブ会員)

本澤二郎の「日本の風景」(5688)
<訪中111回6年ぶりの北京散見>8
日本の新聞テレビは、中国が不動産バブル崩壊で若者の就職はなくなり、何もかもが「崩壊」「崩壊」という文字が、数年前から現在も続いている。中国を批判することが日本言論の使命と言わぬばかりの、意図的な不公正な対応である。
1960年ごろの岸内閣に逆戻りした日本を、意図的に「宣伝」しているかのようだ。一種の排外主義である。困ったことに日本人は、まるで政治の世界を知らない。それは市民運動に携わっているまじめな人でさえも?憲法さえもよく読んでいない。政教分離の国になって80年経つが、国家神道の恐怖さえ忘れてしまっている。異常な物価高の原因さえも理解していない。
筆者の本業である政治評論さえも存在しない。

それをよいことに国家神道かぶれの高市早苗を、まるで英雄のように祭り上げる昨今の世論操作に気付かず、老いも若きも酔いしれている。愚民政策の右翼メディア・ナベツネ言論に操られていることに気付いていない。
およそ1か月、北京の首都国際空港近くで暮らしてみたのだが、肌で感じるような悲劇的な市民生活を目撃することはなかった。日本では、特にYOUTUBEで垂れ流す、露骨すぎる中国攻撃による「権力の崩壊」など感じることはなかった。権力闘争は日本でもアメリカでも繰り広げられている。中南海もそうかもしれないが、一般人はそれを感じ取ることはない。多くはつくられた抗争かもしれない。
中国共産党の致命的な欠陥は、腐敗につきる。海外に逃げ出す腐敗官僚や脱税資産家を退治しなければなるまい。格差は日本も同様である。まともな・正直者が損をする極右政治・政党退治が、この国のガンとして善良な市民の重い責任であろう。

<圧倒される宅配サービス社会>
周辺を散策して気づくのは、戸建ての2、3階建ての住宅である。腐敗官僚の一族かもしれない。有名な芸能人や言論人かもしれない。
筆者は過去に知り合いの大学教授の家に一泊したことがある。普通のマンションの2LDKだったと記憶している。中国外交部OBの肖向前さんの最初の四合院住宅に入ったことも。その後にマンションに移った。多分、2LDか3LDだったと思う。実にまじめな同部きっての日本通で、行くといつも近くの庶民的な食堂でビールで乾杯したものだ。
したがって住宅を100戸所有してるとか、女性を100人も囲っているという、信じられない人物にお目にかかったことはない。一度困ったことがある。教え子が日本に留学、先生の家に遊びに行きたいと懇願してきた。「ジャーナリストなら別荘があるはず。そこでいい」という要望に驚いた。断るしかなかった。

いま中国のマンションには、電動バイクが無数に走っている。車の荷台の四角い容器の中には、配達するものが、それも普通は食事だ。エレベーターに乗ると、必ず配達する若者と出会う。片手に食事の入った袋、片方の手には携帯。ドアが開くと目的の部屋に走りながら飛び込んで、温かい食事を届けるのだ。
これの配達人が大学を卒業したばかりの若者という。
青白いエリートではない。体力のあるたくましい若者である。この配達電動バイクが、昼も夜も突っ走っている北京なのだ。

<完璧なネット社会>
近くの公園で散歩してお腹が空いた。友人が新彊麺の店に案内してくれた。18元の無添加麺が気にいったのだ。麺の上に味付きの肉のコマ切れが、たっぷり乗っている。緑の野菜も。麺が程よく柔らかい。実においしかった。
料理人は一人、二人で店内を切り盛りしている。店は新しく清潔だ。昆布のスープはタダ。
店内の客は6人ほど。しかし、ネット注文が入る。うるさい電話はない。できると即座に容器に入れると、まもなく配達する若者が飛び込んでくる。温かい麺が電動バイクで音もなく客の自宅に届けられる。

まるでロボット社会のようなのだ。携帯一つで注文し、それが即座に届く。あっけにとられる。これほど効率の良い社会を知らない。10億人の中国のネット革命である。

<注文品が不都合だと即返品OK社会>
日本では携帯やパソコンに誇大広告が目立つ。一度引っかかったことがある。宣伝には「技術のドイツ製」で引っ掛ける暖房器具だった。自宅に届いた商品はイカさま。この返品に一苦労させられた。
消費者庁と連絡を取り、間に入ってもらい、ようやくのことで返品することが出来た。日本では安心して携帯やパソコンで注文すると、ほぼ確実にヤケドする。
パソコンのメールには詐欺的メールが氾濫、これを消すのに一苦労させられる。

こうした不安は北京にはないようだ。友人は取り寄せた充電器の力が弱いことに気付いた。すると直ちに返品とメーカーに通告、それを玄関先に置いておけば、それですべてが終わる。これには驚いた。違反すれば大変なことになるらしい。

また注文品を届けてきたとき留守をしていた。日本だと持ち帰りだが、中国ではその心配はない。玄関先に置いておけばそれでOK。携帯で常時連絡できる。
中国のデジタル化の速度の速さは、日本では考えられない。6年ぶりの中国の北京の変化には、正直なところ腰を抜かしてしまった。
2025年10月28日記(茅野村の仙人・日本記者クラブ会員)

本澤二郎の「日本の風景」(5687)
<訪中111回6年ぶりの北京散見>7
各国とも自国の治安対策に力を入れている。日本でも筆者の記事に対して、文章が忽然と消さりたり何度も経験している。当局の点検に違いないと最近は感じている。
その点、若者の失業が高い中国の治安対策は、かなり強力でアメリカのトランプなどは参考にしたいと思うかもしれない。地下鉄の乗降口の荷物の点検は、以前から続いてきている。最近は高速道路でも行われていたことがわかった。

それは北京郊外を抜けて河北省にバスで出かけたさい、帰路北京の入り口でバスは止められ、乗客は一斉に降ろされた。その後に中国人は身分証明書を警察官に提出させられた。外国人の筆者はパスポートだが、その扱いに対してやや反発してしまった。

<ゆがんだ日本人パスポート>
提出したピンとしたパスポートが、返った時にはゆがんでいた。数人の警官が放り投げたりしたためである。想像するに彼らは日本のパスポートをみて、内心面白くなかったのかもしれない。
昨今の日中関係の悪化と関係しているのではないか。
小泉純一郎の靖国参拝のときは、市内の床屋に追い返されてしまった。筆者は子供のころから床屋が苦手だった。髭剃りがくすぐったくてたまらず、声を出てしまいそうになる。特に女性の手で触られるのが苦手で、たまらなくいやだった。
日本では東京駅や有楽町、新橋、品川の1000円散髪床屋をよく利用した。理由はひげをそらないことと、短時間に終わるし、安いからだ。中国では講義先の大学内の床屋をよく利用した。安い時は3元とか5元だ。信じられない安さに驚くばかりだが、髭剃りをしないので大満足だった。昨今は高級な床屋が増えてしまったが、正直昔が懐かしい。

俄然、小泉批判のトーンは跳ね上がった。中国随一のエリート大学の清華大学での講演会には、400席ほどの大教室に500人以上の学生が押しかけてきた。立見席までできた。通路も埋まった。この時の学生の拍手のものすごさを忘れることはない。終わると万雷の拍手なのだ。人生一度の貴重な体験となった。ことほど靖国参拝は歴史の冒涜といえる。その靖国戦争神社を閣僚として毎回参拝する、戦前の国家神道かぶれの好戦派・高市早苗に反発する中国人民の心情が、わがパスポートにも被害が及んだものかもしれない?
松下政経塾が塾生に神社参拝を強要していたことは、知る人ぞ知るである。偏狭なナショナル・民族主義教育に汚染された野田佳彦もしかりだ。

日本人が井の中の蛙大海を知らず、から抜け出せない最大の理由は、皇国史観にある。侵略戦争を「アジア解放戦争」などとぬけぬけという輩は、とうてい国際人といえない。外国の首脳で靖国参拝派はいない。日本の文化?とんでもない屁理屈だ。せめて政教分離に徹することが肝心要である。女性をけがれと捉える原始のカルト信仰は、男女平等の現代社会においてお話にならないだろう。
自民党に巣食う神道政治連盟は即座に解体すべきだ。国民の代表ではない。

中国の老人施設は日本と違う>
最近開設した老人施設を見学するための河北省行きだった。北京の西山に沿って北上するのだが、バスの窓から眺める景色は悪くない。日本と違って岩石の多い山。樹木も低いものが目立つ。雨水の浸透もわるく、豪雨になると洪水被害も出るかもしれない。

そこの施設は800人が暮らせるという規模の大きなもので、3LDや2LD、1LDと様々。いざという場合の医療施設も併合していることで、安心安全が販売の特徴。病院には寝たきり用の病室も用意してある。むろん、運動はできる、自由に外出や買い物も。歌や楽器など趣味のコーナーなど盛りだくさん。ホテル並みの居住施設だ。「人生最後を楽しみながら過ごす場所」なのだ。従来はホテルやマンションを手掛けてきた不動産企業が、老人施設建設という新たなビジネスに転進している様子を見て取れた。
不動産バブル崩壊で二束三文になったビル・マンションの転用なのかもしれない。問題はお値段。日本でも老人マンションが出てきているようだが、住まいを購入するのではなく、部屋を貸すのである。北京市内の住宅を売り払い、それに年金や預金を足して長期滞在というシステムらしい。
肝心の食事は自炊もOK。家族や仲間と一緒も。短期滞在もいい。自由にのびのびと、晩年を楽しく過ごす施設であって、日本のように「姥捨て山」と異なる。一見の価値がある。問題はカネである。
2025年10月27日記(茅野村の仙人・日本記者クラブ会員)

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