本澤二郎の「日本の風景」(5481)
<企業団体献金廃止は天の声>
「小選挙区制は腐敗を生む」(エール出版)は1993年11月に書いた懐かしい思い出深い本である。もう32年前にもなる自画自賛本だ。ナベツネの前の読売新聞政治部長の多田実(千葉県出身・硫黄島学徒出陣の生き残り・中央大学法学部OB)が、本気で「よく書いたね」とほめてくれた。彼は今は天界で「企業団体献金は禁止せよ」と叫んでいるに違いない。
ナベツネはロッキード事件で児玉誉士夫と共に墜落するはずだったが、なんと児玉の暴力を活用して読売の人事権を掌握して、多田を追い落とした。正力松太郎の改憲軍拡派が読売を支配していたのであろう。悪人は悪運が強いのだろうか。ナベツネは正力の指示で中曽根支援に突っ込んでいた。児玉はつぶれたが、ナベツネと中曽根は生き残った。
我が東京タイムズ政治部OBの早坂茂三(田中角栄秘書)に土下座までして、改憲軍拡派の中曽根政権を誕生させるナベツネ。読売新聞は中曽根新聞を見事に変質させた。以来筆者は、国会記者会館での読売の新聞切り抜きを止めた。
多田はその後、日本テレビキャスター、ついで二松学舎大学教授、母校中央大学講師になって活躍する。中曽根後継問題では、護憲リベラルの宮澤喜一を推す政治部長の筆者と、岸の娘婿・安倍晋太郎にテコ入れする当時の東京タイムズ社長の徳間康快(徳間書店オーナー)と対立すると、多田は二松学舎に筆者を呼んだ。講師から教授になる時点で、ナベツネの横やりが入って追い出されてしまった。しかし、今も護憲リベラリストの多田には感謝している。読売の多田派は一掃される。
ちなみに徳間は、早稲田を卒業して読売社会部記者になったという関係で、ナベツネとの関係はよかった。彼が安倍支援を約束した理由ともなった。安倍は元毎日新聞記者。日経の田中六助と共に岸派を担当、岸は長女の洋子を安倍に託したとの経緯もあり、毎日は安倍支援。そこで岸・安倍は、首都県紙・東京タイムズを安倍新聞に変質させようとして、次々と毎日OBを東京タイムズ編集局幹部に入社させる。
毎日のOBである大森実のために大森本を徳間書店から出版させる徳間。さらにいうと、徳間書店の主銀行は首都圏銀行の平和相互銀行だったが、同行は醜聞発覚で落ち込んでいた。元大蔵省の福田赳夫と関係が深かったことから、徳間は福田派との関係が深かった。
それでも、平和相互銀行スキャンダルで大蔵省の行政指導がはいり、関東進出を狙っていた関西の住友銀行に吸収される。その時の蔵相が田中派の竹下登。徳間は慌てて住友にいち早く飛び乗ろうとして「竹下に会わせてくれ」と何度も頼まれた。
無事に住友に乗り換えると、赤字会社の東京タイムズを倒産させる。敗戦後の新橋界隈で生き残った当時高層の7階建てのビルで、首都県紙として産声を上げた。住友は東京タイムズを倒産させて、ビルを住友ビルとして再建する。
筆者は既に宇都宮徳馬の日中友好と平和軍縮論に傾倒していた。20年の政治派閥記者として派閥のすべてをマスターしていたが、政治思想としては護憲リベラル派の宏池会と三木派、水田派のボスとの関係に執着していた。政権を取る前までは、中曽根の嘘に騙されて期待した時もあった。しかし、結局は彼を「平成の妖怪」と命名して、彼の改憲軍拡論を批判する本を次々と出版、怒ったナベツネが糧道を断ってきた。お陰で現在も、袖ヶ浦市のS君に言わせると「こんなぼろっちい家に防犯カメラが付いている」と評価してくれている。昔話はこの辺にして、政党への企業団体献金は厳禁が当たり前である。
<金で動く政治は民主政治の破壊元凶>
古い話を披露する。岸の別動隊の血盟団・青嵐会の友人に「政治は何で動く」と聞いてみた。「それはカネか票。両方なら全く問題ない」と即答した。自民党派閥記者も無知の人間だった。
自民党政治はカネで動く。自公民3党も、である。
誰もが知っているようで知らないことは、市民との交流で理解できる。日本の政治はカネで動いている。そんな政治を20年間、追いかけてきて、結果は「ぼろっちい家」に住む政治評論家は、大馬鹿に違いない?対して300億円貯め貯め込んだといわれるナベツネは善人ではない。本当の悪党だ。一人息子の銀行マンは、いま相続税対策で苦労しているに違いない。
<主権者は自公民を叩き潰す責任>
自公民3党は企業団体献金を禁止しないと決めた。恐ろしい政党を内外に誇示している。靖国参拝派の小泉進次郎が、先頭を切って国民の声を抑え込んだのか。やくざ暴力団も、カネと票を政治屋に提供して、地域社会を制圧している。横須賀一家を知らないが、広域暴力団・稲川会の一味なのであろう。主権者は自公民を叩きつぶす勇気と行動力が不可欠だ。
<30年前の廃止公約を守れない政党はいらない>
宏池会の池田淳秘書だった御園豊は、小選挙区制を強行する際の会合に池田の代わりに出席した。彼の記憶では「当面様子見で実施。駄目だったら元に戻せばいい」という合意の下で実施する。その際に血税を政党に配るという条件で、企業団体の献金廃止も決めた様子を目の前で見ていた。だが、すべて反故。たっぷりと血税を懐に入れながら、企業団体献金パーティーを与野党こぞって実施している。しかも、世界一の高給を血税からも。これほど優雅な議員活動は地球に存在しない。国民は奴隷そのものだ。それでも廃止しない自公民は、世界的な守銭奴政党と断罪するほかない。
<超物価高阻止もしない財閥・官僚任せで国民生活は破綻>
昨日はスーパーで買い物をしていると、野菜コーナーでおばあさんの悲鳴が聞こえてきた。「たけーい(値段が高い)」と。客の買い物かごを覗くと、野菜は少ない。露骨な物価高政策が驀進している。財閥・企業・農林官僚・農協・日本銀行が関与している。自民党族議員も。日本にトランプやイーロンマスクはいないのか。
2025年3月31日記(茅野村の仙人・日本記者クラブ会員)
変化なし?中谷はワルの元宏池会議員
(ブルームバーグ): 中谷元防衛相と来日中のヘグセス米国防長官は30日、初めて東京都内で会談し、日米同盟の抑止力、対処力強化の取り組みを進めていくことで一致した。