2019年危機(2)<本澤二郎の「日本の風景」(3270)

<秘密・神秘主義の皇位継承は時代錯誤>

 なぜ2019年に皇位継承に持ち込んだのか。明らかに政治的意図が存在した、と判断するのが、当然であろう。平成天皇は元気だし、英国の女王は、はるかに高齢である。筆者だけではないだろう。戦後の平和憲法を葬り去ろうとの野心・野望を見て取れる。平和の象徴である帆船・日本丸から、空母「出雲」への切り替えである。それを強行しようとしている2019年ではないのか。違うだろうか。

 かくして、皇位継承は秘密と神秘主義でもって、41日に新元号が公表されるという。一部のものが、秘密裡理に政府と相談して、決めたものである。一部のものとは、不気味な秘密組織の日本会議である。この組織は、いまだに覆面をかぶったままで、主権者の前に姿を見せていない。

 おかしい、断じておかしい。小学生でも、そう思うだろう。こうした指摘をする「ジャーナリスト同盟」通信を封鎖に追い込んだものである。だれも気付かない言論弾圧事件であろう。

<元号は主権者たる国民の衆知で、公開が原則>

 この国の主権者は、戦後、天皇から国民に移った。近代のルールに従ったものである。皇室典範は、したがって開かれた、民主的な装いをする必要があるが、戦前派が抵抗して、依然として秘密と神秘主義に覆われていて、国民と無縁である。

 本来であれば、天皇制廃止論が巻き起こる場面である。「万世一系」という偽りの主張も、今では信じる者は少ない。

 150年前の「田布施」で創造された代物であることも、わかってきている。150年前の明治維新政府が、武器弾薬などで格好をつけるために、無数の女性を性奴隷にして、海外に売り飛ばしたことも分かってきた。


 時代は大きく前進した。従軍慰安婦は、国際社会の非難轟々である。日本の女性は、いまだに人権は確立していない。レイプ文化がまかり通っている。そうした中で、伊藤詩織さん事件が発覚した。彼女の勇気ある「声上げ」で、TBS強姦魔が摘発されたものの、官邸の圧力でチャラにされてしまった。


 この大事件は、ワシントンでもロンドン、パリでも知れ渡っている。官邸の不正腐敗は、森友事件・加計事件に限らない。2020東京五輪は、そうして実現したことも国際社会は理解している。


 せめて元号は、国民の衆知を集めて決めるのが、民主国家の在り方であろう。秘密裡に処理する政府は、独裁・ファシズムを象徴するものである。

 そして何よりも公開が原則である。

<気になる166億円投入の原始的宗教儀式>

 声をあげよ、が昨年ノーベル平和賞を手にした二人の叫びである。


 「木更津レイプ殺人事件」の美人栄養士のKT子さんはやくざ浜名の強姦・性奴隷に対して、それでも声を上げなかった。入れ墨やくざが跋扈する日本列島を象徴しているのだが、根本は女性の自立にかかっている。

 国民の半数を占める女性が自立しない日本は、150年前を引きずっている。敗戦後も変わっていない。そこに復古主義・秘密・神秘主義がはびこることになる。

 一部の賢者がわめいても、政治も社会も変わらない。166億円はそうして予算化された。声を上げる女性、声を上げる日本人、自立した日本人のもとで、世の中に変化が起きてくる。


 自立しない日本人のもとで、元号が決まり、150年前のルールが進行する。これこそが2019年危機なのだ。


 余談だが、昨日夕、散歩中に木更津市の有線放送が鳴り響いた。47日の県議選について投票がないという報道である。競争のない選挙というのだ。人々は深く病んでしまっているのかもしれないが、これも2019年危機を象徴している!

 他方、入院中のNさんは電話をしてきた。「権力に屈しないで」と叫んでいた。ありがたい激励である。自立人間の叫びを大事にするフリーランス・ジャーナリストであり続けたい。

2019330日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)