2019年危機(10)狼社会<本澤二郎の「日本の風景」(3277)
<在日中国人のパワーと助け合い>
昨日のことである。中国人の建築屋が1日前に現場を見て「やれる」と判断、5人の労働者を連れてきて、我が家の大木を安く伐採してくれることになった。年金生活者にとって、願ってもないことなので、同意して任せることにした。ただし、一つの懸念は、彼らは伐採業者ではない。器具がない。万一の事故を心配した。
8時半に大型の非工事用の車2台で東京から来てくれたが、やはり無理だった。挑戦・スピード・安さでもって、日本社会で成功を収めてきたのであろう彼らは、すぐに帰らなかった。それ以外の樹木を伐採すると、挨拶もせずに、妻が用意した豪勢な食事もしないで帰ってしまった。
彼らが引き上げた後に積み上げられた伐採木は、山のように積まれていた。父が将来のために植えてくれた杉以外の樹木も切り倒され、息子の心は痛む。ただ、彼らはできることを、一銭も取らずに、風のように姿を消した。これぞ昔の「助け合い」の精神である。
住宅を建てる時などは、周囲の人たちが無報酬で、こぞって協力した。この美しい精神を、19歳で来日、苦労と努力で、今では年商2億円、息子をスイスに留学させている42歳の建築屋が実践、人々に喜ばれている。困っている人がいれば、遠慮なく助けるのである。彼の名前も知らない。
<中国本土は人心の乱れ>
中国本土で、このような素晴らしい業者を探すことは不可能である。
数年前の体験だが、汚染空気の北京を逃れようと、山東省龍口に移転しようと考えた。虎の子の5万元を手付け金として、建設会社に支払った後、そこが期待に反する場所であること、建設会社が問題会社とわかり、キャンセルしようとしたが、人手に渡った金は戻らない中国なのだ。
裁判すると、日本でもそうだが、弁護士に騙される。友人に助けを求めたが、心底支援してくれる中国人はいない。中日友好協会に相談を持ち掛けると、なんと門前払いである。
この場面で、人間を信じられなくなってしまった。一部の中国人にとって、5万元ははした金に違いないが、収入のないものには、まさに大金この上ない。中国社会は腐ってしまったが、在日の中国人は「助け合いビジネス」で成果を上げていたのである。
彼らにどう感謝の意を表していいのか、思案中である。年金生活者は、彼らに注文するといい。
<不況下に暴利の日本人業者>
なぜ中国人に樹木の伐採を依頼したかというと、日本人も今はいい加減である。不況が災いしているため、仕事が入ると、法外な金を要求する。参考までに、最近、我が家の一部屋根の清掃と雨どいの交換に、なんと30万円かかったことを、中国人は仰天して、樹木の伐採を中国人の友人に依頼したものである。期待外れに終わったが、それでも助け合いの精神を発揮して、日本人ジャーナリストを感動させてくれた。
<無気力と守銭奴と泥棒弁護士と>
2019年危機には、無気力な人間の存在がある。特定秘密保護法や共謀罪が災いして、新聞テレビが委縮、反骨精神を喪失してしまっている。本日、投開票の41道府県議選で、実に612人が無投票当選、この割合は26・9%。
他方、日本政府は自らの失政をよそに「G20を日本が主導、世界景気減速を打開する」と新聞に大嘘を合唱させている。
ゴーン事件では、守銭奴とそこにへばりつく弁護士と国策捜査を派手に報じるマスコミである。筆者は東芝事件に関して、弁護士に依頼して損失を出してしまった。弁護士も無気力だ。友人は「泥棒弁護士」と断罪している。
2019年危機の土壌・土台が壊れている。
<年金生活者は中国人に声をかけ、頼め>
このような場面で年金生活者の自己防衛は、家の修理などは中国人に声をかけるといい。彼らのネットワークはすごい。建築に限らない。
何でも屋がいっぱい存在するようだ。なにかを手掛ける場合、一度は声をかけるといい。相談する価値がある。早い・安い・親切・サービス助け合い精神を期待できる。
「木更津レイプ殺人事件」の美人栄養士のK・T子さんは、本物の狼やくざ浜名に食い殺されてしまった。狼社会を無事に生き抜くことは至難である。かつて永田町を大手を振って歩いてきた人物でさえ、いま千葉県警と千葉県公安委員会と真正面から対決している。
筆者は、ライブドアによってブログをつぶされてしまった。狼は至る所にいる。
日本人ビジネスマンや大工などの建築業者は、助け合いの精神を喪失してしまっている。利己主義がこの国の危機を増大させている。
2019年4月7日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)