安倍1・5億円の核心<本澤二郎の「日本の風景」(3650)

<国民の血税である政党助成金による大掛かりな買収金権選挙>

 新聞テレビの報道には、悲しいかな河井案里に投入された安倍投入選挙資金の1・5億円の原資についての言及が全くない。自民党関係者が腰を抜かして驚いている核心は、それが国民の血税である点である。稲田検察が重視する理由でもあろう。血税すなわち、政党助成金だという一点に、選挙関係者はうろたえている点である。


 血税を使っての、大掛かりな買収金権選挙に、もはや弁解の余地はない。国会議員であれば、誰でも知っている。野党がいつ追及するのか。安倍はコロナ禍を口実に逃げているが、これは逃げられない。


 NHKの岩田という女性記者のなじみの安倍邸をネットで見たが、驚いてしまった。実に頑丈なつくりである。やくざの親分が住んでいるような、一見して牢獄のような堅固な造りなのだ。外部からの銃弾を想定しているのか、本当にびっくりしてしまった。昨年は、千葉県知事の別荘のような豪邸に仰天したばかりだが、安倍邸のそれは、御殿というか21世紀の城である。


 金庫がいくつあるのか。


<4人の安倍秘書によるテコ入れと河井夫妻の巨額謝礼>

 やくざまがいの視線からだと、アビガンや笹川競艇の日本財団が登場する理由も理解できる。昭和の妖怪・岸信介や平成の妖怪・中曽根康弘も、こと邸宅の造りにおいては、形無しである。


 安倍首相兼自民党総裁による河井選挙テコ入れ事件は、それが宏池会の本陣ともいえる岸田文雄の広島で、大胆不敵に敢行されたことである。自民党広島県連の頭ごなしに、安倍―二階ルートによって強行したものである。


 土台を破壊する安倍工作を、全く気づかなかった岸田のノーテンキにあきれるばかりだが、それも表向き岸田に対して「次は岸田さんに任せたい」といって油断をさせておいて、他方で、河井夫妻を刺客に送り込んで、宏池会現職の溝手のみならず、岸田と宏池会を永田町と平河町から墜落させるという強行作戦に舌を巻く。


 安倍は1・5億円の投入でも安心できずに、4人の秘書を河井選挙のテコ入れに送り込んだ。これもすごい安倍流なのか。

 自民党選挙を経験した清和会OBに解説してもらうと、これもすさまじいやり口で、これでは現職の防戦不可能である。

 「総理の名代でお邪魔しました、といって、各種の団体、組織のみならず、大手の企業回りを徹底して、現職の地盤を根こそぎひっくり返してしまう。それは実に効果的な戦術で、団体も企業も逃げることが出来ない。これを水面下で演じるため、表面ではわからない。隠密作戦だ。それを4人で手分けすれば、大半を河井票にすることが出来る」「当然、河井夫妻は、4人に大金を払った。公選法違反事件となる」


 「もう一つは、公明党創価学会工作だ。これには、官房長官の菅も動員していることも分かっている。公明党創価学会の河井一本化だ。当然、莫大な謝礼金が出ている。稲田検察は、ここにも注目しているはずだ。金の原資は政党助成金だけではなく、官房機密費も出ているだろう。ともに国民の血税である」



<公明党創価学会への多額の謝礼金疑惑も>

 かつての公明党創価学会は、金について清潔さを売り込んで、一部の国民を味方につけてきた。創価学会員の献身的な戸別訪問と、電話・手紙などによる、執拗な選挙運動に屈する人たちもいたらしい。


 公明党の候補は、金がなくても当選出来たため、概して不正と腐敗にまみれることなどなかったというのだが、自民党候補を応援した一部の選挙区では、当然のことながら支援を受けた自民党から、相応の金が流れた。その金の処理について、いまだに当事者の証言がないので不明である。


 今日、自公連立体制下、自民党からの金が大掛かりに流れ込んでいる、という事実は、自民党関係者が証言している。したがって、そのためか近年、公明党は「清潔」という看板を外してしまっている。

 「腐敗と不正まみれが、常態化している」と清和会OBも指摘している。

 それが広島でも起きたのか。


<壮大なる河井事件は即安倍晋三首相・総裁事件>

 「河井夫妻の大胆すぎる買収事件は、いかにもすさまじい。前法務大臣が直接、県議や首長に金を渡している。なぜこんな大それた買収をしたかというと、それは背後に安倍と菅がついているので、たとえばれても事件にならないという考えが、夫妻にあったのではないか。通常ではありえない」

 自民党の元ベテラン秘書の鋭い分析である。


 前代未聞の1・5億円巨額買収事件は、即安倍首相総裁事件ということになる。自民党を瓦解させる起爆力がある。自公とも崩壊の淵に立たされている、といってもいい。

 極右の長期政権のなれの果てか。

 消費税10%の庶民いじめの大増税に、新たにコロナ禍が急襲し、悲願の五輪開催が消し飛んでしまった、同時に経済は株と不動産がバブルにまみれている現在、沈下する実体経済下、デフレの進行深化が押し寄せている。


 検査をしないコロナウイルス対策も、もはや許されなくなって、感染者が急増しているが、心臓を直撃している真犯人は、むしろ河井事件捜査のゆくえであろう。


<稲田検察と500万円賄賂疑惑の黒川弘務の攻防戦>

 永田町から伝えられる情報では、河井事件の徹底追及の稲田検察に、世論の支持は拡大している。「稲田頑張れ」の合唱は、列島から燎原の火のようになって高まり、聞こえてきている。


 対して、500万円賄賂疑惑の東京高検・黒川検事長の定年延長問題に対して、日本弁護士連合会も、会長名で「撤回せよ」と声明を出した。これも稲田検察への支持の表れだ。日本の法曹界が、あげて黒川の検事総長人事にNOを突き付けたことになる。


 黒川の辞任必至の流れである。軍配は、稲田検察に上がると見るのが、国民的常識というものであろう。すでに自民党内では、ポスト安倍の動きも浮上しつつある。「五輪中止は政局に発展する」と公言した総務会長・鈴木俊一の、予見通りの展開になるかもしれない。

2020年4月10日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)

NHKショック<本澤二郎の「日本の風景」(3649)

<政府に操られていたNHKを特措法が明示していた!>

 昨晩、意外なネット情報をみて、我が無知に衝撃を受けてしまった。朝日新聞が、パリに本部を置く「国境なき記者団」が、政府寄りのNHK報道に疑念を抱く中で、安倍首相に対して「報道の自由」を守るよう警告を発していた、と報じた。


 なんと新型インフルエンザ等特別措置法に、NHKの地位と役割を明記してある、というのである。知らぬは主権者である日本国民だけだった!国際社会は、日本の民主主義の基礎である報道の自由が、この7年有余の間に奪われてしまったことを知っている。歴史認識の危うさは、国粋・国家主義の右翼政権のもとで常態化していることは、国連でも有名である。

 国民のための公共放送が、実は政府の犬のような機関であるというのである。それが法律に明記されていた!


<「国境なき記者団」が安倍に「報道の自由」を守れと警告>

 権力に屈しない言論が存在しない限り、日本の民主主義は、正常に機能することはできない。恩師・宇都宮徳馬さんが、口を酸っぱくして叫んでいた言葉である。

 主権者である国民が、健全に生活するための基盤である。そうしてこそ、日本は多少、貧困化しても外国人の人気が落ちない。


 先日も、日本に帰化して、娘をスイスに留学させた中国人の働き者の事務所に出かけた。そこには、10数人の東北や山東省出身の若者たちがいた。「もう2か月も仕事がない」とぼやいていたが、彼は決して、祖国に戻りたいと悲鳴を上げようとはしなかった。


 彼は東京の恵まれた住宅から、千葉県内の事業所兼出稼ぎ労働者のための古民家で、一緒に暮らしていた。「時間を持て余した若者が、近所の店で飲み食いして、コロナに感染することを警戒しての対応なので」という責任ある説明に納得した。


 純朴な人間を、NHKがコロナ戦争について、戦前の大本営発表報道に徹していることへの、国境なき記者団の安倍警告に日本人として感謝したい。


NHKは政府の「公共機関」だった!>

 筆者だけではあるまい。NHKが政府のための「公共機関」として、言論の自由を放棄して、大本営報道に徹している!

 この恐ろしい事実、法律に明記された現実に、NHKの不正を指摘してきたジャーナリストも、愕然として天を仰ぐ心境である。


 このことを、何人の日本国民が理解しているのであろうか。朝日新聞は、事実を知っていて、沈黙していたのか。


<マスコミ・共産党など言論・議会もグルか?>

 「議会と言論が健全でないと、日本の民主主義は崩壊してしまう」という宇都宮さんの至言は、戦前の軍国主義下、軍国政策を批判して培った、史的な大原則であって、学者の机上論ではない。


 安倍がすでに存在する特措法を、あえて改正した理由を暴露した「国境なき記者団」の指摘に、改めて敬意を表したい。

 新聞テレビが問題にしなかったのか、はたまた共産党を含めた議会が、瞬時に成立させたのか?いま責任が問われている。

 

<電波は公共の電波・国民のものである>

 電波は国民、主権者に存在するもので、特定の政党や、一時的な政府のものではない。

 まともな官僚・公僕がいれば、ブレーキをかけなければならならなかった。清和会OBのいう「小僧」ごときに、なぜ屈したのか。理解できない。議会も言論も死んでしまっている。

 検査をしないで、コロナの暴走を許してきた政府・言論・議会のもとで、見えない敵とどう戦っていくのか?民意を代表していない宗教カルト勢力のもとで、これからどう推移してゆくのか。国民は覚悟を求められている。

 以下は、朝日デジタルの記事である。

2020年4月9日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)

国境なき記者団(本部パリ)は7日、安倍晋三首相が新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言を出したことについて、首相によるNHKへの指示が可能になるのではないかとの懸念を表明し、安倍首相に報道の自由を守るよう求めた。 同法では、首相が必要な指示を出せる「指定公共機関」としてNHKが明示されている。同記者団は声明で、「公衆衛生の危機に際しては、市民は政府がとる対策について、独立した情報を大いに必要としている」と指摘。日本国憲法に規定されている報道の自由が保障されるよう、ただちに指定公共機関からNHKを除外するよう安倍首相に求めた。(パリ=疋田多揚)

稲田検察の正念場<本澤二郎の「日本の風景」(3648)

<1・5億円河井金権選挙を支援した安倍秘書4人への数百万円疑惑>

 あと3か月と後がない検事総長・稲田が、広島高検・同地検を指揮する、河井夫妻1・5億円金権選挙捜査の本丸というとそれは、地元の中国新聞社も報道していないが、元自民党本部のベテラン職員によると、安倍の意向を受けて、河井選対を支援した4人の安倍秘書に流れた数百万円、いうところの還流金疑惑捜査である。

 稲田検察に熱い視線が集まる理由である。河井夫妻の逮捕は言うまでもないことだが、その先に血税である政党助成金1・5億円による買収資金の一部が、安倍秘書から安倍自身へ還流されているかもしれない、という極め付きの公選法・政治資金規正法違反疑惑だ。


 安倍が法相の森雅子を操り、500万円わいろ疑惑のある元法務事務次官で現在、東京高検検事長の黒川弘務を、定年延長させ、次期検事総長に起用する本当の理由であろう。多くの国民は、そう見ているようだ。


<公明党創価学会工作資金疑惑も>

 もう一つの疑惑も浮上してきている。事情通は「河井の参院選挙に地元入りした官房長官の菅工作も、疑惑に浮上してきている。菅の、公明党創価学会工作もあったろう」と指摘している。


 「現職の溝手を落選させた原動力は、広島県内の公明党創価学会票を、河井支持に一本化させたことだ。集票マシーンの創価学会票によって、河井は勝つことが出来た。菅と公明党創価学会の連携に、当然、金が動いている。これは官房機密費とみたい」という。

 頷ける分析であろう。


<判明した首長・県議への前法相手渡した買収資金>

 今回の河井夫妻の大掛かりな選挙違反事件に対して、広島を地元とするブロック紙・中国新聞の大活躍が、買収工作を次々と明らかにしている。

 ジャーナリズムを垣間見ているような新聞である。余談だが、東京新聞を買収した中日新聞、そして東京タイムズを中国新聞が子会社化すれば、たとえNHKが暴れまくっても、国政を自公の言いなりにさせることはなかったろう。


 東京タイムズは、徳間書店の徳間康快が平和相互事件に巻き込まれてしまい、そこに手を出してきた住友銀行の野望に吸い込まれて、無念にも廃刊を余儀なくさせられてしまった。権力に屈しない東京新聞・東京タイムズ・日刊ゲンダイの3社共闘が実現していれば、国粋主義を擁立する自公維体制を叩き潰すことが出来たろうから、何とも悔やまれる。財閥と国家主義の連携は、戦前からである。


 話を元に戻すと、中国新聞のお陰で、河井夫妻による県議や首長への買収が発覚した。一部の首長や県議は、買収金額を明らかにしている。町長を辞任する者も現れている。2020年の日本記者クラブ賞間違いなしだ。


 菅工作の行くへにもメスを入れてほしい。中国新聞の健在ぶりに、多少安堵することが出来る。新聞がまともであれば、悪党をのさばらせることはできないのだから。


<岸田・宏池会撃滅作戦の恐怖>

 それにしても、安倍の宏池会撲滅作戦はすさまじかった。側近の麻生太郎などの口車に乗せられて、安倍後継をさんざん匂わされた岸田。安倍自らも、後追いして、安倍外交を演じしてしまった。

 岸田は、人がいいだけの二世議員だから、その気にさせて、走らせてきたのだが、昨年の参院選で、安倍は大きな罠を仕掛けた。主役は河井夫妻である。岸田は地元で、現職の溝手を落選させてしまった。宏池会のボス失格で、派内は言うに及ばず、党内でも相手にされなくなってしまった。


 国粋主義者の天下は続くことになる。もっとも、溝手は怒り狂った。河井夫妻憎しの行動を開始した。1・5億円の、党本部からの政党助成金の事実をつかんだのだろう。彼の怒りは、いま安倍へと向かっている。


<コロナ禍口実の大掛かりな選挙運動と桜事件の共通点>

 昨日の安倍は、史上初のコロナ禍対策の緊急事態宣言会見となったが、そこで身内の富士フィルムのアビガン支援や笹川競艇賭博の日本財団を売り込む一方で、永遠に返却できそうもない天文学的な借金での大風呂敷披露は、さしずめ一大選挙運動そのものとなった。

 桜事件も公費を使っての選挙運動だった。今回はコロナを利用して、空前の借金で、500兆円保有の財閥から、一部貧者に金をばらまくという選挙運動である。

 この1か月の行方を注視しなければならないが、合わせて稲田検察の鋭い切れ味を見せてもらいたい。

2020年4月8日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)

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