あっぱれ晋三!<本澤二郎の「日本の風景」(3553)

<中東紛争地域に軍艦率いて介入する偏狭ナショナリズム>

 確か中曽根内閣か海部内閣のころだったろうか、中東紛争に金や太鼓で、あるいは掃海艇派遣などに対して、自民党内から「イケイケどんどんでいいのか」という厳しい批判が出た。


 いまどうか。安倍晋三は軍艦を率いて中東の紛争地域に乗り込んで、軍艦の中東での監視に関係国に理解を求めている。

 さすがはA級戦犯の孫である。親類には、国際連盟を脱退した松岡洋介がいたはずだ。


 偏狭ナショナリズムがうなりを上げていることに、野党も言論界も高みの見物を決め込んでいる。因果は巡るというが、本当なのだ。70年前のことをすっかりと忘れ去った、安倍・自公・日本会議のスキャンダル逃亡作戦に矮小化していいのだろうか。警鐘を乱打しなければなるまい。


<戦後の日本人・アジア諸国民が想定さえもできなかった重大事態>

 アメリカの森林、アマゾンンの原始林、いまオーストラリアで山という山が4か月も燃え続けている。地球が災害で燃え尽きようとしているが、大国先進国も無関心を決め込んでいる。


 地球温暖化の速度は急進展している。しかし、人類は平然と見守っているだけのようだ。国連が作動していない。それは中東紛争にもいえる。


 健全なナショナリズムが喪失した地球・人類なのか。


<台湾・香港問題にも隠れての介入説も?>

 安倍ナショナリズムは、隣国にも容赦しない。背後で米英と協力して香港問題と台湾総統選挙を支援していた可能性を見て取れる。内政干渉であろう。


 独立派の蔡英文総統の再選に、安倍が期待する茂木という外相は、祝意を伝えたという。日本の台湾窓口の代表も、真っ先に蔡英文を表敬している。


 香港問題は、どうみても台湾の選挙を想定して、仕組まれた可能性もあるといわざるを得ないだろう。安倍と李登輝、蔡英文と安倍の実弟・岸の関係は、知る人ぞ知る、である。



<歴史認識で韓国第二の併合論は暴論か>

 春秋の筆法をもってすれば、安倍・日本会議の対韓外交は「まるで第二の併合を仕掛けているようにも見える」という専門家もいるという。歴史認識と経済圧力を連動させているためだろうが、それにしてもやり口が汚い。


 日本人の多くが韓国嫌いになっている。これこそが安倍が仕組んだ、日本の偏狭ナショナリズムの成果と言えなくもないだろう。


 日本のナショナリズムは、どうみても健全なそれとは違う。この重大な事態を野党も、新聞テレビも、週刊誌でさえも取り上げていない。異常・異様な日本で、大衆いじめの10%消費税がうなりを上げている。


 人々の覚醒は、女性も若者も起きていない。安倍改憲の2019年危機は回避できたが、2020年もまたより強力な危機が迫ってきている。


 共同世論調査では、34・4%の国民が、海自の軍艦派兵を評価していた。国民に戦争の覚悟があるのか?危機は急に起こるものではない。徐々に、である。警鐘を乱打しなければなるまい。日本人とアジア諸国民に対して!

2020年1月13日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)

安倍4選論を笑う<本澤二郎の「日本の風景」(3552)

<改憲はったり発言にかこつけた右翼マスコミの無責任記事>

 安倍4選論が、一部右翼マスコミが喧伝している。理由は昨年暮れの記者会見で「改憲を私の手でやり遂げる」とはったりをかましたことから、4選狙いと宣伝したものだが、目の前の120日からの予算国会の先が見えない。冒頭解散は依然として消えていない。

 野党弱体化の分断がしたはっきりしたことから、再び冒頭解散は浮上しているものの、かつての勢いはない。スキャンダルまみれと公明党創価学会の失墜も、悲願の3分の2議席確保は危うい。


 ゴルフ休日をたっぷりとらないと、体調管理さえままならない。安倍家の家庭騒動も、精神を悪化させている。安倍4選論を笑うしかない。


<死に体論に必死で抵抗した記者会見引用>

 「私の手で9条改憲をやり遂げる」と叫んだことに、永田町や平河町、信濃町で興奮した者は一人もいないだろう。「いつもの枕詞に過ぎない」というのが、大方の受け止め方であろう。第一、日本国民の多数は安倍改憲による戦争体制に反対している。


 沈下する一方の公明党は、ポーズに過ぎないが、改憲に慎重論を繰り返している。同党は冒頭解散どころではない。


 以下の状況の下では、文字通りの死に体政権である。党内や右翼から「中国の国賓招待反対」の声さえ上がっている。安倍4選論は、ためにする安倍・御用記者の作文にすぎない。


<清和会も四分五裂、二階も菅も失墜>

 安倍の足元の細田派からして、四分五裂、バラバラである。90余人の派閥だといいながら、入閣するのは、ごく一部の側近ばかりだから、派内の空気は乱れ切っている。

 「安倍に忠誠を尽くすのは、女性の幹事長代行くらいだ。代行から入閣した萩生田文科相は、大学入試問題でミソをつけて元気がない。派内はガタガタ」と清和会OBは指摘している。


 人事の直後に法相と経済産業相の二人が公選法、政治資金規正法違反で首を斬られた。その責任は安倍・菅・二階の3人だが、今もって誰も責任を取っていない。「無能・無責任内閣を露呈したままだ」と非難されている。

 二人を押し込んだ菅官房長官と二階幹事長の足腰も弱り切ってしまって、取り巻きの記者団に声を荒げるという、哀れな姿態をさらけ出している。

 内閣支持率の大幅ダウンを契機に、新聞テレビも元気が出てきたことも、北風が安倍と菅・二階に吹きまくり始めた。 


<日本会議ひとりわめく>

 要するに、先にふれたように安倍4選論を吹聴しているのは、極右の秘密結社の日本会議のみ。「日本会議の広報担当者の桜井という女性は、ベトナム華僑の反共主義者」ということも分かってきた。


 

 靖国神社・伊勢神宮・出雲大社などの神社神道が主体であるが、そこに統一教会、生長の家などカルト天皇狂がまとわりついている日本会議。ただし、資金面を財閥が面倒を見ている、との分析もある。


<安倍の公金横領事件追及>

 安倍の支持率低下の元凶は、政府の「桜を見る会」を、実際は安倍の公金横領よろしく、詐欺師や入れ墨やくざ、地元の運動員ばかりを、国の功労者として招待していたことが発覚した。

 この事件発覚は共産党など野党の成果だが、事件の性格からして一般の市民もよく理解できるところから、支持率が落下したため、安倍の衝撃は大きかった。引き続き通常国会冒頭から「桜」追及が開始される。


 従来の追及と異なる点は、野党が一本化して、集中して問題を効果的に責め立てる。これに世論が強く期待していることも注目点だ。 


<カジノ汚職で緊張する二階と菅と公明党>

 安倍スキャンダルは、次いで安倍内閣が公明党国交相と強行したカジノ法の汚職事件が発覚したことだ。カジノ法に世論は反対したが、3分の2で押し切ったとの経緯がある。


 すでに当選3回の秋元という国会議員が逮捕され、それ以外の議員に対する検察の事情聴取も行われている。贈賄側の中国企業関係者は、賄賂の時期と金額を明かしているため、金を懐に入れた議員は逃げることができない。


 事件は拡大するかもしれない。ただし、安倍事件に蓋をするための検察捜査、との見方もある。ただし、新聞テレビはこぞって報道を強めている。カジノ法強行に熱心だった菅と二階の周辺もあわただしい。 


<ゴーン国策捜査疑惑>

 そこに降ってわいたカルロス・ゴーン被告のレバノンへの逃亡事件が発生、世論はこの事件の行く方に振り回されている。


 ゴーンは「日本政府と日産のクーデター」と記者会見でぶちまけたが、裏付けるように安倍が、日産がゴーン追放をやらないので、日本政府が強行した、と受け止められかねないコメントを、18日夜の宴席でぶちまけた。


 一転してゴーン事件は、日本の司法制度のみならず、日本政府と財閥一体の事件化と両者の腐敗・汚職構造を暴露してしまった。野党は、新たな追及の材料を手にしたことになる。


<「予算国会」乗り切れず>

 以上のことだけでも、難問山積の安倍スキャンダル内閣・腐敗自民党と決めつけられるだろう。

 清和会OBは「予算国会を乗り切ることは不可能。文字通りの死に体政権」と断じている。筆者も素直に受け止めようと思う。


 安倍4選論がいかに荒唐無稽であるか、小学生でも理解できるだろう。「私の手で、9条改憲を成し遂げる」という言葉を信じる国民は少ない。五輪花道引退論は、かなり甘い見通しであろう。


<ストレスで悪化する持病の行く方>

 政治屋の健康問題は報道しない、という自主規制をしている新聞テレビは、それゆえに安倍の健康問題について報道しない。

 議会質問中によく便所へと抜け出す安倍の姿を、特にNHKは映さないようにしている。彼の持病を伏せるようにしている。確かに、大腸炎治療のいい薬が見つかったとはいえ、ストレスに耐えられる特効薬はない。

 安倍家の騒動だけでも厳しい。一番の薬は、政府専用機での遊びのような外遊である。屁理屈をつけての外遊を、昨日からイラン、イラクではないサウジアラビアに飛んだ。

 中東訪問で一息つけるだろうが、通常国会は甘くない。冒頭解散のゆくえはともかく、足元は来年秋の4選どころでない。

2020112日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)

日本株式会社の汚職構造<本澤二郎の「日本の風景」(3551)

<ゴーン事件の真相=安倍発言=河村建夫紹介=前川喜平解説>

 元雑誌編集者がメール送信してくれた。ご存知モリカケ事件を暴いてくれた第一人者の、元文科事務次官の正義派・前川喜平解説である。18日夜の安倍とキャノン会長・御手洗富士夫らとの宴席で、例のカルロス・ゴーン逃亡事件の真相を明かしたのだ。


 「安倍関与」の国策捜査を裏付けたのだ。この安倍発言を、同席していた河村建夫元官房長官が明かしてくれたらしい。この河村コメントを前川が正確に解説して、国民は仰天している。それが110日の大ニュースとなった。


 日本株式会社の汚職の構造は、カジノ汚職となって新たな疑獄を招来させている。検察が自民党派閥実力者に手を伸ばせるか?無理だろう。国民は検察を告訴しないと、この国は変わらない。


<本来は日産が処理すべきことだった=法務検察にさせた>

 安倍晋三は、大好きな日本料理店で軽口をたたいた。財界のゴルフ仲間の大御所を前にして、日産の元CEOのレバノンへの逃亡事件の、そもそもの真相を打ち明けた。


 「本来は、日産が処理すべきことだった」と打ち明けたのだ。安倍は意外と軽口人間なのだ。

 「ゴーンを逮捕しないと、日産をフランスに取られてしまう。やむなく法務検察に指示して、ゴーン逮捕に踏み切った」というのである。これぞ安倍関与の国策捜査であろう。そこには財閥と政府与党・霞が関が一体であることを、愚かな国民向けに打ち明けてくれたのだ。

 成蹊大学の安倍の恩師が「心臓は無知で,無恥でずるい人間」と分析公開したことの証拠を、自ら露呈してくれたことになろう。

 トランプに限らず、プーチンにも手玉に取られる安倍晋三ということでもある。


<政府与党=霞が関エリート=財閥エリート>

 自民党の議員連盟は、族議員として定評がある。死刑廃止議員連盟のようなまじめなものは少ない。ほとんどは利権と結びついている。


 汚職の構造は、政府与党と政策立案する霞が関も一体として動く。これに財閥も仲間である。霞が関と財閥のエリートは、常に一体として動く。

 筆者は自民党派閥取材、権力抗争に実に20年、気楽に仕事をしてきたので、ストレスが溜まるということはなかった。族議員のことは知っていたが、霞が関と財閥の、政策レベルから一体化していたことについては、不勉強どころか、全く気付かなかった。

 ここにこそ日本株式会社の汚職の構造が存在している。しかし、それゆえに発覚しない。発覚しても法務検察はそっぽを向いて捜査をしない。


<東芝医療事故死=政府・議会・霞が関=司法=検察不起訴>

 三権分立・法の下の平等・法の適切な手続きなどという、法治国家の大原則が空文化していたことに気づかされたのは、次男の東芝病院の医療事故死事件だった。


 東芝への恨み骨髄が、生涯、消えることはない。理由は反省も謝罪もしない、それゆえである。したがって中国・韓国の、歴史認識にこだわる原因と事情を、痛いほど理解できる。


 被害者は、相手が非を認め、反省と謝罪することで許せるのだが、そうでない場合、決して許すことはしない。東芝は重過失でもって、次男を事実上、殺しておきながら、一片の反省謝罪をしない。問題はどこにあるのか、という疑問を、ずっと抱き続けて生きてきた。これはジャーナリスト以前の、子を思う親の責任である。


 現在の経産省に相当する通産大臣秘書官が教えてくれたのだが、それは「東芝は役所の中では別格の存在」というものだった。ということは、政府与党と一体関係にあるのだと。

 文字通りの構造的な汚職関係を象徴しているわけだから、たとえ刑事告訴されても法務検察が弾き飛ばしてくれる。実際、その通りに検察は、次男の業務上重過失事件を不起訴にした。検察審査会も検事の意のままだった。


 日本の法治主義は、神社の賽銭箱から10円取っても警察は逮捕するが、財閥の犯罪に適用しない。財閥首脳が逮捕されたことがない日本である。


 自らの被害者体験と財閥と政府与党の濃密関係から、はっきりと断罪できる。自由と民主主義の日本を信じてきたジャーナリストも、この厚い壁を破壊することはできなかった。以来、取材対象としてきた政府与党に対して、当たり前のことながら、厳しく対峙することがジャーナリストの責任である、という自覚をより強めた。

 弱者・民意をとことん重視するジャーナリスト、宇都宮徳馬のいう「権力に屈するな」に改めて重視するジャーナリストたらんと心がけている。同じような体験者は少ないだろうが、体験者であれば、筆者の思いを理解できるだろう。


<経産省関与=東芝WH買収=311東電福島核爆発>

 日本の財閥の航路は、霞が関の官僚・政府与党が関与している。ゴーン追放事件がまさにそうである。安倍によってゴーンは追放、犯罪者に仕立て上げられたのだ。

 彼の弁護士もよく理解している。ならばイチかバチかに賭けるのが、ゴーンの残された道だった。それを見事に実行して見せた。日本の司法の実態を知る者であれば、彼は英雄であろう。


 東芝はというと、政府の意向を受けて原発に特化した。その先にアメリカのWHを、途方もない金額で買収して、破綻してしまった。東芝はババ抜きのババを引いたのだ。国策企業の運命をモロにかぶったことになる。


 次男が亡くなった翌年に、311が起きた。福島の東電原発が爆発炎上した。3号機は東芝製である。核爆発したのだが、政府も東電も「水素爆発」と現在も嘘をついたままだ。


 福島から放射能が無くなるのはいつのことか。100年ほどかかるだろう。原発は、高価で危険な、地球を破壊するエネルギーである。これを核兵器にしようと画策してきたという中曽根康弘は、もういない。

 安倍も財閥も、これを後進国に輸出して、経済発展にしようとしてきたのだから、心は悪魔であろう。


<官民エリート=米国留学=帰国後に共同で新政策>

 財閥と霞が関と永田町・平河町は、一体関係にある。これが強みであり、大いなる弱点ともなっている。

 官民のエリートは、そろって米国の大学や研究機関へと留学する。そこで同志的関係ができる。日本のエリート人脈であるが、帰国すると、大手町と霞が関は、共同で新政策のプロジェクトを立ち上げる。

 ここに与党の族議員が介入すると、それが法案となって議会で成立する。背後で闇の金が動く。汚職を前提とした新政策である。


 安倍内閣が強行したカジノ法は、公明党の国交相を巻き込んで実現したものだが、その前に霞が関と自民党族議員が活発に行動を起こしていた。

 官僚と民間財閥企業が、連携して浮上させたものだ。3分の2議席の前に野党は屈した。汚職発覚しても、逮捕者はいうところの雑魚でしかない。法務検察は、安倍事件に蓋をかけるための捜査の可能性が強い。

 「国交相への闇献金はどれくらいか」という声が飛び交っているという。幹事長・政調会長はどうか?

 国民は法務検察を監視するしかない。手抜きをさせない野党の鋭い国政調査権の行使が不可欠なのだ。


<財閥=政府与党は一体=自立していない民間企業>

 韓国で話題になっている徴用工問題は、財閥最大の恥部である。これに日本の新聞テレビが大騒ぎして報道するのは、財閥擁護にある。財閥傀儡政権もまた、これに怒り狂うしかないのだ。


 財閥の政府与党への闇献金は、莫大である。粉飾決算で事件化した東芝も、この闇献金は天文学的だった、という指摘も出ている。新聞テレビが「粉飾決算」と事実を報道しなかったが、マスコミにも東芝の金が流れていた証拠である。断言できる。


<本物の技術開発ゼロ=沈下する日本企業>

 ゴーン事件の真相を明かした安倍によって、はしなくも日本株式会社の正体が暴き出された。誰も書かない日本の真実である。ゴーンは、前近代の司法制度を世界に紹介しただけでなく、日本株式会社の秘事も暴露したことになろう。国民の側からすると、望外な成果である。


 次男の医療事故死事件が、助け舟を出してくれたお陰の小論である。息子に感謝したい。


 日本株式会社は、アメリカ留学のエリートが培った、物まねの成果でしかなかったことが、よく理解できるだろう。日本の将来的限界を裏付けている。アメリカに従属するエリート集団が指揮する日本であるかぎり。


 アメリカ従属は政治ばかりではない。経済も従属していた。自立しない日本の前途は暗い。貧困から後進国化する日本である。原発の廃炉費用だけでも沈下する。この悲しい日本の壁を破る、政治経済指導者が誕生する日本にしなければならない。ゴーン事件がさらけ出した日本課題は大きい。

2020111日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)

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