驕る平家は久しからず<本澤二郎の「日本の風景」(3712)

<壇ノ浦の戦いに勝てない安倍晋三か>

 平家物語の「驕る平家は久しからず」を地で行くような、目下の「日本の風景」と言わねばならないだろう。嘘・虚言で逃亡してきた安倍晋三の心臓は、2020年の今年中に止まる、と医者でなくとも診断できそうだ。最後の決戦場・壇ノ浦の戦いに、勝利することはできない。令和天皇を擁立したものの、大災害と世界不況に続く新型コロナウイルスの襲来は、いにしえの蒙古襲来とは全然違う。愚かすぎる人間に、真正面から耐えがたいお灸をすえているのであろう。


 安倍の田布施は、国民投票法改正案を強行して、戦後体制の基軸である日本国憲法の基盤を、自公維で破壊しようとしたが、野党が結束して今回も阻止した。快挙と称賛したい。日本国民もアジア諸国民も平和の破壊者を許さない。

 安倍晋三は公明党創価学会を操って、あと一歩のところで失敗した。同改正案を強行成立させていれば、戦前回帰をほぼ手中に入れることが出来たのだが、コロナ政局が助けてくれた幸運に感謝したい!


 いまは会期を延長させないで、一目散逃亡に次ぐ逃亡で、その間に鋭気を養い、夏から秋に勝負をかける「壇ノ浦」の決戦を目指しているが、歴史は安倍・平家を容赦しないだろう。安倍つぶしは、自民党内の反乱によるものか、それとも野党が一本化して解散に追い込むのか、あるいは双方が連携してか、いずれにしても壇ノ浦の戦いに勝利することは不可能である。


 戦いの鋭気は、狭い家庭の環境に左右される。古来より為政者たるものは、修身斉家治国平天下を教えられてきた。伝えられる安倍家は、斉家どころではない。



<厳しい小池百合子の再選戦略、トランプも>

 人種差別主義者のトランプは、アメリカ国内の共和党重鎮どころか、人類から非難されている。白人警察官による黒人暴行殺人事件は、地球上で人々の怒りを買っている。

 コロナでの中国攻撃は、トランプ自身を直撃、彼の獰猛な頭脳を混乱させて、国内の支持を著しく低下させている。11月には、ワシントンの主は、民主党リベラル穏健派のバイデンに取って代わられる、とごく一般的に信じられている。


 東京でも異変が起きている。都知事再選必至とみられてきた小池百合子に、突如、赤ランプが点滅している。現在は、伏魔殿の都政を大改革することが急務であろうが、現状では、無所属穏健派の元日弁連会長の宇都宮健児に軍配が上がる気配である。


 それにしても、小池の相次ぐ醜聞は、4年前から周到に計画されてきた成果ではないだろうか。一人の人間を丸裸にすることは不可能であろうが、それにしても文庫本まで出版されている。経歴詐称は公選法に違反する。不出馬する場面であろう。

 6月10日に出馬宣言は、見送られている。陣営の混迷を印象付けている。


 知らなかったが、自民党都連は「カイロ大学卒業証書提出決議案」を都議会に提出、否決されていたという。自民都議の怒りの執念は、選挙の恨みの大きさを裏付けて余りあろう。



<東京高検の黒川に次いで日銀破壊の黒田も>

 安倍暴政の立役者の一人で知られる日銀の黒田も、黒川に次いで、弓矢の的にされている。

 「7年前からの金融政策は余りにもひどい。禁じ手である株買い占めなどで、日本の中央銀行を破綻させている。ハイパーインフレに追い込んでいる。円の価値を著しく落下さている。地方銀行は窒息寸前だ」と今朝も事情通が怒りの告発を、無知なジャーナリストに向かって発射してきた。


<どうする吸血鬼・電通の不正腐敗=政治改革の本丸>

 政府与党に、ヒルのようにぴったりと食らいついて悪事を働いてきた電通が、今回のコロナ対策予算関連に絡んで表面化した。これは望外の成果といっていい。


 金の動くところにやくざが跋扈するものだが、電通の場合は、政府与党と一体で利権アサリをしてきた。安倍の暴政を支え、補完してきた知能的やくざ機関と言っていいだろう。検察メスの一番の標的であろう。


 日本の政治改革の本丸が電通なのだ。息子の医療事故死を刑事告訴した時点で、初めて電通の悪辣さを教えられたものだが、実態はそんな小さなレベルではなかった。このことを教えてくれた安倍に感謝したい気分である。

2020年6月12日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)

王道と覇道<本澤二郎の「日本の風景」(3711)

<江戸の徳川独裁―明治の天皇独裁―戦後のアベ独裁>

 古来儒者は、覇者が武力や策略で国を治める悪しき覇道と、反対に帝王が仁徳で政治を行う王道とを区別、後者を政治の基本・要諦としてきた。今の安倍政治は、憲法や法律を軽視する文字通り前者の覇道である。今では万人共通の理解であろう。

 そこでは、特に言論を統制し、国民世論を操るという策略に徹することで、4割前後の無知な民衆を味方につけて、暴政を繰り返してきた、と総括できる。


 振り返って日本の近代前後の統治方法を検討して見てみると、藩制を軸に均衡を心がけながらの徳川幕府の独裁は、他方で鎖国政策で外部の介入を阻止することで、およそ300年の歴史を築いた。


 続く明治政府は、海洋を背景にした地方の武士団が、外国の先進武器を導入、支援を受けて、藩制国家(徳川幕府)を打倒して実現した。最大の精神的武器は、京都に蟄居させられていた皇族・天皇族を、異様ともいえる尊王論をひけらかして擁立、開国による武器の近代化と、人民を一本に束ねる戦闘的な教育・宗教と、それらを統括する帝国憲法で、しっかりと固めて、最後は覇道の極みともいえる侵略戦争に突入して滅びた。


 侵略の手段は、したがって野獣のように獰猛で、残酷無残であったがために、戦後の現在も国際社会で問われ続けている。かくして、天皇制国家主義を否定した平和憲法の下で、長く反省自粛してきた戦後政治として記録されてきた。これに反発、果敢に挑戦、戦前の大日本帝国の復活野望に賭ける自民党清和会主導の覇道戦略は、公明党創価学会が賛同、同時に外から大阪の維新が支援する体制構築に成功、安倍独裁の暴政が開花した現在ということになろう。


 この戦前回帰路線の標的は、軍国主義化と平和憲法の解体にある。


<福田・清和会と安倍・清和会は異質である!>

 ここで清和会の創設者の福田赳夫と、安倍の祖父・岸信介の政治理想の大きな違いを、あえて指摘しておく必要がある。全く同一ではない。それを具体的な事例で見ると、歴史を正当化する靖国参拝と、もう一つが中国問題の視点である。


 筆者は当初、福田・清和会と安倍(森喜朗・小泉純一郎)の清和会を同一線上で論じてきたが、正確には、岸の流れを継承する森や安倍の清和会と、福田のそれは異なる。特に靖国参拝と日中関係で、むしろ対極に立つ。

 日中関係とは、すなわち台湾問題の対応にもなるのだが、岸や安倍の台湾認識は、ほぼ同一線上にある。今の台湾独立派の蔡英文総統との関係は特別で、安倍はそのために実弟の参院議員の岸信夫を、日本台湾派の名代として活動させているほどだ。


 言及するまでもなく、日中平和友好条約は福田赳夫内閣のもとで実現している。息子の康夫元首相は、鳩山由紀夫元首相と共に、日本を代表する親中派を任じている。岸の流れは、国家主義・反共主義が顕著だが、福田家にはそれがない。

 清和会を語るときの大事な要点である。


 昨今の安倍の中国接近は、かなりの策略が背景に踊っていると見るのが、1972年から日本政治を見聞してきたジャーナリストの確たる分析である。それを承知したうえでの、北京の対応なのだ。いうところの同床異夢である。


<一国一城レベルの馬鹿殿コロナ暴政乱舞に衰退する日本国>

 国民が支配するという建前の日本での、現代の覇道政治を主導する重要な役割は、いうまでもなく第四の権力と言われる言論機関である。国民の意識構造の決め手が、報道の中身で決まるからだ。ゆえに言論の自由が不可欠なのだが、安倍・自公内閣はこれを事実上、封じ込めている。


 指摘するまでもなく、それは首相官邸のNHK支配である。安倍内閣が真っ先に手を付けた仕事がNHKを、公共放送から安倍内閣のための放送に切り替えることだった。

 ことあるごとにNHK放送に関与、有能なジャーナリストを排除する一方で、会長人事や経営委員会人事を独占して、安倍のための放送に切り替えてしまった。筆者はテレビを自宅から排除して、ずっと抵抗しているが、多くの庶民はテレビ人間を強いられて、NHKの世論操作に屈してしまっている。


 テレビ人間は分からないが、4割前後の内閣支持率の確たる理由である。

 そうして安倍・自公の政権が7年以上継続、暴政の限りを尽くしているのだが、国民の多くが政治不信に陥り、選挙を放棄することから、政権の存続を許している。

 テレビによる世論操作に現代人は、完璧に取り込まれてしまっている。ネットの反乱に期待したいのだが、政府は総力を挙げて、ネット工作にも布陣を敷いて、言論の自由を妨害して止まない。


 安倍の暴政は、過去の統治論からすると、前近代の一国一城の主である。形は主権者でも、実態は税金を納める奴隷扱いだ。城主には、血税との観念などない。自ら取得した資産だから、全てがやりたい放題だ。主君は、物差しで忠義ぶりを測定して、そこへと金を流すことに、全くのためらいがない。


 1、国民は森友事件の発覚で、そのことに初めて気づいた。国有財産のタダ同然の払い下げ。法律違反関係なしだ。教育勅語の教育に取り組む森友学園は、安倍夫妻にとって忠義の証だった。


 2、加計孝太郎事件は、身内のスポンサーとしての功労に応えたものだった。 3、TBS強姦魔にしても、安倍宣伝の先駆者として保護の対象者だった。そんな人物を強姦事件犯人として司法にゆだねることなど論外だった。


 4、桜を見る会の招待客は、自己を支援してくれる忠義の仲間たちである。主君の応援団は、朕は国家なりと勘違いしている安倍にとって、むしろ功労者として招待するのが、主君の道なのだ。


 5、河井事件の1・5億円は、ハエのようにうるさい宏池会参院議員現職を叩き潰し、合わせて岸に対抗した怨念のリベラル派閥を消滅させるため、加えて法務検察を主君防衛の親衛隊・近衛兵のための布石でもあったろう。

 稲田検察をねじ伏せれるかどうか、目下、民衆の関心事ではある。


 6、そしてコロナ対策にかこつけての大型予算は、日ごろの忠義に対してのお返しの機会なのだ。NO1は、いわずと知れた電通だ。財界を束ね、言論機関、とくにテレビを独占、毎日、安倍報道に徹しているテレビを操る電通である。

 血税予算も、一国一城の主にとって、それは家の子郎党に対する恩返し、日ごろの貢献に対する配分そのものなのだ。様々の給付金を采配する電通に、おこぼれの大半が流れて当然なのだ。主体のはずの事業者、貧しい国民は、彼らからすれば「刺し身のツマ」でしかない。

 予備費10兆円もまた、そうして配分されるだろう。


 1年前には、令和の天皇を誕生させて、次いで政権の威容を内外に誇示する1年遅れの五輪に賭けている。その後の憲法解体の夢を抱き続ける国粋主義者なのである。以上は誰も書こうとしない、日本政治の真実であろう。

2020年6月11日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)

霞が関は犯罪集団<本澤二郎の「日本の風景」(3710)

<長州の田布施町(jlj0011ブログ)だけではなかった!>

 昨日のブログで、中国新聞の特ダネ記事を紹介したが、それは町政の不正を通告した職員を、表彰するどころか、反対に異動・隔離している田布施町の違法行為事件である。首相官邸や霞が関は、今では「犯罪のるつぼ」と化していることを、国民は日々の報道で知っている。


 すなわち、霞が関や官邸で働いている国家公務員は、刑事訴訟法が明記する告発義務違反・通報義務違反者ばかりなのだ。神社の賽銭箱から10円盗んでも、警察は窃盗犯として犯人逮捕をする。


 法の下の平等を原理とする日本国憲法下で、霞が関全体が犯罪集団と化している可能性が高いことに、主権者は気づくべきだろう。新聞テレビが報道する重大事なのだ。



<刑訴法の通報義務を怠ると隠ぺいの罪にも問われる!>

 犯罪を詳細に明記している刑法、その手続法である刑事訴訟法の239条は、1項で、誰でも犯罪の疑いがあることが分かれば警察・検察に告発できる。筆者の場合、木更津レイプ殺人事件について、千葉県警木更津署に通報、告発状も出している。2項は公務員の場合、通報義務を課している。


 犯罪を知って通報しないと、犯人隠匿の罪を課せられる場合も出てくる。田布施町の勇気ある職員は、そうした行為によって、職場を異動させられるという逆差別の悲運に泣かされている。中国新聞の取材に対しても町長は、反省も謝罪もしていないらしい。「安倍そっくりさん」との評価を受けているようだ。


 たとえば、児童虐待について児童福祉法は、通告を国民の義務と規定している。沈黙すると、罪に問われるのである。病院での異常死は、病院として警察に通報しなければならない。警察は司法解剖して、事件性や医療ミスの有無を判断しなければならない。保健所も行動する責任を負っている。


 わが次男は、通報しなかった東芝病院で息を引き取った。入院数時間後である。にもかかわらず、それを怠ったことで司法解剖しなかったため、東京地検の検事・松本朗は、それを逆手にとって「死因が特定していない」として東芝に軍配を上げた。


 この事件に黒川弘務は、関与していなかったのかどうか。ここにきて、疑念を抱くようになった自身に多少驚いている。東芝―電通ラインに黒川が関与していないことを祈ろうと思う。


 政治記者はその後、政治評論家をしながら30冊ほど本にして、国民のために、少しは貢献してきたはずであると自負している。ところが、最近は社会部の記者になってしまった?


 それは、政治家が政治屋へ、官邸が犯罪の巣になっていることと比例している。新聞テレビは、思い切って軌道修正して、不正腐敗の本質を突く世論を喚起するようでなければ、主権者に貢献できない。特にテレビ電波は、国民のものである。それを金儲けや有産者向けに悪用してはならない。右翼的不公正なコメンテーターの起用は、厳に慎むべきである。




<法律家は声を上げよ!>

 刑訴法の大家というと、戦後の一時期、団藤重光が独走していた。東大は赤門である。対して白門の中央大学は、渥美東洋が主導権を握った。不肖、渥美ゼミ3期生に仲間入りした筆者は、渥美教授から「優」をいただいたが、もっぱら生きるためにアルバイト生活、法律の道は閉ざされてしまっていた。


 世の中、捨てる神ばかりではない。拾ってくれる神もいる。筆者の単行本のほとんどを、渥美ゼミ1期生の優等生が校正してくれた。幸い名誉棄損は全くない。


 それにしても、安倍内閣は自公連立によって国会の議席は3分の2を確保している。安倍自身は、A級戦犯で巣鴨に拘束された岸信介に、幼いころから薫陶を受けてきた。国家主義者より国粋主義者である。岸は東京帝国大学法学部に籍を置いていたころ、有名な国粋主義者の指導を受けていた。


 自公3分の2議席と国粋主義を掛け合わせると、不正腐敗と独裁が開花する。官邸・霞が関からの内部告発が作動するのかどうか。無力化した野党と衰退言論機関に、力は小さい。加えて、検察が官邸に屈すると、もはや真っ暗闇の日本である。

 小さいローソクは、広島地検の河井事件捜査にかかっている。役人の通報義務違反が、安倍晋三の心臓を、コロナ禍の日本を動かしている!

2020年6月10日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)

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