安倍回顧録が法廷へ<本澤二郎の「日本の風景」(4744)

<郷原信郎弁護士が「名誉棄損に該当」理由を詳述=法廷闘争必至>

 多くの国民は、森友事件の渦中、籠池夫妻が安倍夫妻から100万円を受け取った事実を承知している。国会の証人喚問でもはっきりと証言した籠池泰典氏。この問題について刑事司法に詳しい郷原信郎弁護士は、安倍回顧録に重大な懸念を小論にまとめ公表し、新たな波紋を投げかけている。

 安倍と麻生財務相によるタダ同然の国有地払い下げ事件の鍵を握る証拠だ。現在、詐欺罪で収監された籠池夫妻に反撃材料を与えたようだ。はたまた死者に対する名誉棄損論争にも影響を与えかねない。

 首相退任後の安倍証言の数々を点検する必要性を専門家に投げかけてもいる。史上最低の内閣と認識し、批判してきた筆者は、問題の回顧録を読んでいない。読むに値しない代物と理解しているのだが、確実に籠池夫妻による次なる法廷闘争は、統一教会問題と共に国民の関心を呼ぶことになろう。


<昭恵未亡人の足元を揺るがす!=死者の名誉棄損も争われるか>

 100万円事件は、安倍から森友学園の理事長夫妻に渡った。昭恵からだ。

戦前の侵略戦争の原動力となった国家神道と教育勅語の心酔者夫妻は、戦後においても教育勅語を教えている森友学園に感激・感動し、これが火付け役となって国有地払い下げ事件は起きる。

 そのはずで籠池理事長(当時)は、かの安倍内閣を陰で操る「日本会議」のメンバーだった。全面的に国家神道を復活させたい極右・日本会議は、教育勅語教育によって、天皇を神と崇める「戦争国家」を志向している。まさに神道は戦争神社そのものである。A級戦犯の岸信介もまた同じく、それが根本理念、長州は田布施の野望であろうと推認できる。


 彼らが非戦の憲法を改悪させ、大軍拡による戦争国家を目指すことを、自民党のスポンサー・黒幕である財閥の期待・野望で知られる。財閥と神道の日本会議の同盟軍が、岸や笹川良一が育成した文鮮明の統一教会国際勝共連合なのだ。その岩盤は強固である。朝日新聞阪神支局襲撃事件もその過程で生じたものだろう。いい加減すぎる戦後教育は、政教分離の重要性を学ばせない。現在の自民党の政治屋や共闘を組む公明党も、さらには笹川一派の維新なども理解していない。安倍自民党と笹川一派と統一教会の連携は、まさに戦前の天皇制国家主義による軍国主義の完全復活にあると理解すべきだろう。

 平和を欲する日本人の最大の敵対勢力が、神道と統一教会と創価学会のカルトに懐柔された自民党・公明党創価学会・維新だといえる。この機会に、日本会議の反論を聞きたい。


<戦いにひるまない籠池夫妻の監獄からの大反撃=出版差し止めだけか

 森友事件の闇は深い、深すぎて検察の歴史認識で分析するのは困難であろう。その頂点に君臨してきた安倍長期政権の回顧録を精査する価値は大きいが、それにはA級戦犯の岸信介の時代に遡ってみないと判らない。この根幹の部分についての籠池夫妻の声を聞きたい。是非とも日本会議の心臓部を暴く責任があるだろう。

 隣国や欧米の日本研究者の一番の注目点である。

 収監された籠池夫妻はとても元気なようだ。日本会議も手を焼いている様子が垣間見えてくる。周囲の関係者を籠絡させても夫妻は無理だ。全世界が知りたい神道・日本会議の正体を暴くことが目下の役割であろう。

 安倍回顧録に対する名誉棄損事件から、安倍の60兆円バラマキ外交やプーチンとの深すぎた仲を明らかにする必要がある。安倍側近の今井やNHK記者の真実の証言にも関心が集まっている。

 中公新社の出版差し止めなどの処罰で、ことは終わらないだろう。


<渡辺恒雄の指示受けた回顧録出版?にも注目が集まっている!>

 「渡辺恒雄はもはや読売・日本テレビなどに影響力はない」と元幹部は断言する。確かに97歳では無理だ。しかし、安倍回顧録を出せと指示した人物は渡辺に相違ない。側近の橋本五郎らの内部告発本に興味が集まっている。

 今回の郷原小論を読めるかどうか疑問だが、渡辺会見したNHK記者なら語らせることが出来るかもしれない。日本国民はアベノミクスというとんでもない金融政策で、生活破綻を強いられている。黒田東彦の罪も重い。明らかにさせなければならない安倍内閣の闇の解明には、菅義偉もいる。キングメーカーになろうとしているが、とんでもない。「安倍犯罪の共犯者」との国民の判断は正しい。安倍回顧録の波紋は、安倍関連の高市早苗との言論弾圧事件にとどまらないだろう。

 まだいるかもしれない反骨のジャーナリスト・研究者の決起を期待したい。なんとしても日本丸の安全航海をするために!以下に郷原小論の一部を抜粋して添付する。

2023年3月14日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)


2023年2月上旬に、中央公論新社から、【安倍晋三回顧録】が出版された(以下、「回顧録」)。2022年7月8日に、参議院選挙の街頭演説中に銃撃されて死亡した安倍晋三氏が、首相退任後の202010月から202110月までの間に、読売新聞特別編集委員の橋本五郎氏と尾山宏論説副委員長の18回にわたるインタビューで語っていた内容を、安倍晋三氏自身の著書として公刊したとのことだ



回顧録で、森友学園元理事長の籠池泰典氏に関して、名誉棄損に該当する疑いがあるのは以下の記述である(252頁)。

理事長(籠池泰典氏)は独特な人ですよね。私はお金を渡していませんが、もらったと言い張っていました。その後、息子さんが、私や昭恵との100万円授受を否定しています。この話が虚偽だったことは明確でしょう。理事長は野党に唆されて、つい「もらった」と口走ったんでしょ。理事長夫妻はその後、国や大阪府などの補助金を騙し取ったとして詐欺などの罪に問われました。もう、私と理事長のどちらに問題があるのかは、明白でしょう。

この記述は、一次的には、安倍氏が、橋本氏らのインタビューでそのような発言をした、ということを内容とするものであるが、それによって、籠池氏の社会的評価を低下させる具体的事実を指摘したと認められれば、籠池氏に対する「名誉棄損」に該当することになる。同記述で書かれているのは、泰典氏が「(100万円を、安倍氏ないし安倍昭恵氏から)もらったと言い張った」という事実、そして、その話が「虚偽だった」ということである。