右翼に転向した渡辺恒雄独白本?<本澤二郎の「日本の風景」(4739)

NHKは右翼大好き捏造記者ばかりか、安倍ファンは渡辺ファン>

 史上最低の安倍晋三の宣伝に、20年間も女性記者をはべらせたNHKに驚く国民は今も多い。人権派弁護士は問題の人物による最近の文春記事をよんで「男女の関係」と直感した。すると今度は、あろうことか賞味期限切れの読売の渡辺恒雄を宣伝する人物が現れた。元大手出版社のX氏がメール送信してきたので書評一に部目を通した。NHKは公共放送であるはずだが、今は全く違う。ごますり記者ばかりだ。ジャーナリストがいない。泉下で平和軍縮派で、ナベツネの恩師で知られる宇都宮徳馬さんがびっくりしている。「ツネは忘恩の徒だ」と断罪した宇都宮さんは、A級戦犯の岸信介や児玉誉士夫・笹川良一・文鮮明の岸・福田の清和会政治による、目下の戦争体制構築の憲法違反に対して、目を吊り上げて怒っている様子が瞼に浮かぶ。

 それにしてもNHKの安井とかいう人物は、ナベツネの正体を知っているだろうか。左翼から右翼に転向した元読売記者をほめちぎっているのであろうが、送信されてきたメールには、田原とか後藤とかの、いわゆるテレビを腐敗させたようなテレビ芸者のべた誉め書評もうんざりする。むろん、読む価値はない。

「独占告白 渡辺恒雄~戦後政治はこうして作られた~

NHKチーフ・プロデューサー安井浩一郎の「独占告

白 渡辺恒雄〜戦後政治はこうして作られた〜」(新潮社)

<戦後政治を語る資格なし=左から右へ転向した忘恩の徒を「体制にぶら下がっていると楽なんだよ」と宇都宮さんの酷評>

 言論界にジャーナリストが消えて久しい。特に新聞人に人がいない。穴埋めに週刊誌が活躍しているが、注目記事のすべてが枝葉ばかりで、自公を揺さぶるような本丸を追及する記事はない。

 左翼運動から足を洗ったツネは、平和憲法を足蹴にして一挙にA級戦犯の岸の暴力装置となっていた児玉誉士夫に食らいついて、彼の側近となった。児玉の軍事利権に関与していた可能性を否定出来ない。NHK記者はここを徹底的に追及したのであろうか。本を読まなくてもわかる。

 岸と共に原発推進に猛進した読売の正力松太郎の知恵袋となって何をしたのか。ここが知りたい。311福島東電原発の遠因である。

 次は大野伴睦のスポークスマンだ。訪韓した大野に同行した特派員に「ワタツネがカネを配っていたと部下から報告を受けて驚かされた」とはツネの前任者の政治部長・多田実さんの、筆者への証言である。派閥の親分のカネを同行記者に配る!どう考えてもおかしい。彼は政治記者時代から、記者の道を踏み外していた落第生だった。大野から目撃した政界の裏側について知る立場とはどういう中身だったのか。児玉から見た岸はどうだったか。60年安保に暴力団を動員した下りを証言したのか。この点は筆者も注目するが、安井NHK記者は、厳しく厳しく問い・追及したのであろうか。この様子は、テレビ芸者にも理解できない点であろう。

 ツネは中曽根の知恵袋にもなっていく。児玉を従えて。中曽根・児玉・ツネの怪しげな行動も伝えられているが、どう告白しているのか。そして彼と中曽根と児玉を窮地に陥れたロッキード疑獄こそが、戦後政治史として価値ある点である。自宅での児玉証人喚問の直前に主治医が児玉邸を訪問して、彼を眠らせた手口・経緯にも興味がある。

 このころ、読売社内でも「ツネの人生は終わった」とされていたのだが、この最大の危機的壁をどう乗り越えたものか、その手口も知りたい。多田は「ワタツネの周囲には児玉の配下がまとわりついていて、社内は騒然としていた」とも証言した。ロッキード事件の本丸は、児玉と中曽根だった。中曽根危機を救ったのはツネなのか。野党を篭絡させた手口にも興味がある。

 彼は中曽根政権実現へと必死となる。そのために読売を中曽根新聞化するのである。政治部から反中曽根記者を窓際に追いやり、社内体制を中曽根派一色にしてゆく。左翼から右翼に転向した人物の権力的な対応は、尋常ではなかったが、そのワルの手口を告白したであろうか。

 そうして中曽根新聞と中曽根向けの読売改憲論へと、公平公正な新聞を右傾化させる世論操作の武器にしてゆく。財閥との連携・電通との連携と広告取りにも手腕を発揮していく。創価学会も攻略、もはや敵なしの読売と他方でライバル朝日新聞の凋落。朝日新聞阪神支局襲撃事件と統一教会についての読売報道は?

 ツネの改憲軍拡原発への策略は、新聞テレビを活用した世論操作でもって、国民の目線を変えてゆく。自公体制構築にも成功し、そしていよいよ悲願目前に、車いすでの岸田文雄との最後の接触?問題の本の贈呈式?だったのか。



<「権力に屈する記者はジャーナリストではない」と繰り返し叫んだ戦闘的リベラリストの宇都宮徳馬さんは真の愛国者>

 宇都宮さんが「ツネは忘恩の徒だ」と厳しく断罪したことを、生涯忘れることはない。ツネは右翼に転向し、体制に癒着することで新聞経営を無難に処理し、社内の体制を強固にした。それは新聞協会や日本記者クラブまでも。筆者はもう記者クラブに顔を出していない。時間の浪費になる。

 体制に媚びる新聞は、もはや新聞ではない。左翼転向組は、新聞ではない新聞でもって、体制のための新聞に徹して権力に食らいついてきた。宇都宮さんは「権力に屈することなかれ」と口を酸っぱくして筆者に訴えた。むろん、当たり前にそれを貫徹してきた。ツネは莫大な資産の後始末で悩んでいるだろう。どうするか見聞してみたいものだ。

 ジャーナリストの権力監視機能は、主権者に対する崇高な義務である。宇都宮さんの叫びは、永遠の人類の原理・鉄則である。テレビ芸者もまたツネの傘下の人であろう。

 以前こんなことがあった。共同通信に内田健三というリベラルな記者がいた。宇都宮さんのことを「戦闘的リベラリスト」と評した御仁で、大いに評価した。ところが中曽根政権になると、彼はその輪に加わった。なぜか?ツネの仕業だった。

 彼がいかに中曽根・国家主義の改憲軍拡政権に奔走したか。というのも筆者の東京タイムズOBで田中角栄秘書になった早坂茂三にも土下座して「中曽根の面倒を角さんに頼んでほしい」と直訴した。

 彼の金儲けを紹介したい。宇都宮さんは「軍縮問題資料」という月刊誌で、改憲軍拡の流れに抗した。大手の新聞の題字下に広告を出した。読売にも出していたが、あまりの軍拡新聞に怒った宇都宮さんは、読売から広告を外そうとした。すると「忘恩の徒」ツネが直接宇都宮さんに電話してきた。「外さないで」と恩師に哀願・直訴してきた。小さな広告にも目をとがらせて、新聞の金儲けに徹していたツネの一面である。

 改めて言う。ツネは恩師を裏切った人間失格者である。そんな人物に戦後政治を語らせたNHK記者の衰退が気になって仕方ない。テレビ不要ジャーナリストは今後も続くことになる。他にも書きたいことがあるが、本日はこれだけにする。

2023年3月9日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)

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