乱の時代(その5)<本澤二郎の「日本の風景」(4475)

<原子力ムラの野望を明るみに出した旧動燃もんじゅ西村成生謀殺事件>

 日本政府の秘密というと、いまでは原子力ムラと称される闇の世界のことであろう。ヒロシマ・ナガサキの原爆投下に続く、極め付きの重大惨事の311福島原発大爆発にもかかわらず、原発再稼働に突進する日本政府に誰しもが重大な懸念を抱いている。


 その秘密が今ようやく見えてきた。旧動燃(動力炉・核燃料開発事業団)の高速増殖炉もんじゅナトリウム重大事故に絡む、中堅幹部・西村成生氏を生贄にした当局の謀殺事件を究明していくと、凡人ジャーナリストも納得することが出来るのである。


 多くの国民は、1995年12月に発生した福井県敦賀市の動燃(現在は日本原子力研究開発機構に変身)の深刻極まりない事故のことを忘れてしまっているだろう。当時、動燃の闇が暴かれようとしていた当局は、原子力ムラに人生をかけてきた西村氏を謀殺し、自殺に仕立て上げて、マスコミの追及をかわし、危機を脱した、その陰謀の全貌が見えてくる。


 村山富市内閣の科技庁長官の田中真紀子、続く橋本龍太郎内閣の官房長官の梶山静六、当時動燃の職員で、西村氏の後輩だった息子の前経産相も、謀殺の事情を知っていると見られている。


<命がけの未亡人の法廷闘争と反骨の弁護人・大口弁護士>

 以前にも記事を書いた。命がけで20年以上もの間、法廷闘の争をしている未亡人の西村トシ子さんはすごい。夫の殺害の真相を暴くために現在も戦っている。アメリカであれば、記録映画になっているだろう。

 もう一人が自らの健康も顧みずに弁護人となって、血を吐くような壮絶な法廷闘争を続ける大口弁護士。反骨の同士である。

 「夫の遺品を返してほしい」という当たり前単純な要求を拒絶する動燃、現在の機構に「おかしい」と感じる。なぜ遺品の返還を断るのか、謀殺が明らかになるからだ。謀殺した理由は?と追及すれば、核兵器開発がばれるので、ということなのだ。


 大口弁護士が控訴のためにしたためた理由書は、まさにそれを裏付けている。このような正義・不屈の塊のような弁護士が、この日本にいることに敬意を表したい。それにもまして、未亡人の人生をかけた決死の法廷闘争を知れば、多くの善意が集まるに違いない。西村トシ子さんを守れ、と叫びたい。

 日本国憲法が断じて拒絶する核武装のための核兵器開発を、阻止する義務が日本国民に課せられている。主権者の義務である。立憲主義に違反する政府の蛮行を許してはならない。54基もの原子力発電所を設置した日本が万一、争いごとに巻き込まれると、ミサイル攻撃に太刀打ちできない。核兵器開発は悪魔の所業である。


A級戦犯の岸信介主導の原子力・核開発政策だった!>

 資料を調べると、戦後の日本政府が右傾化したのは、想定できることだが、吉田茂内閣が敗戦後の経済復興を成し遂げた後、同内閣を打倒したA級戦犯の岸信介と、戦前の文部大臣だった鳩山一郎の時代に、核開発の野望が芽を出す。表向きの口実は「原子力の平和利用」である。

 政権を担当した鳩山内閣が保守合同で安定多数を確立した自民党幹事長の岸のもとで、歴史の逆転が始動する。その一つが原子力研究所だ。1955年11月のことだった。読売新聞の正力松太郎や青年将校の中曽根康弘らが、これの推進役であったことが容易に想像される。

 翌1956年に日本原子力研究所と原始燃料公社が設立された。その目的は高速増殖炉と新型転換炉の開発と核燃料物質生産とウラン濃縮など。

岸のツルの声で誕生したとされる茨城県東海村の原子力研究所は、1957年に原始力の火が灯った。核兵器開発・核武装のための原発乱舞へと突っ走ることになる。巨大地震に耐えることは物理的に不可能だ。311の東電原発崩壊は、必然的に起きた重大事故である。

 第二、第三のフクシマも必ず起きる。廃炉を強行しないと、日本列島は太平洋に沈下する。


 本連載の「乱の時代」とは、財閥の官僚である岸信介の「大日本帝国」復活への野望、にほん軍国主義の復活である。軍拡改憲に走る岸の後裔たちによって、その大半が実現している。岸の孫の安倍晋三のプーチン接近は、ロシアの核技術入手作戦と理解したほうが分かりやすい。オウム真理教による核開発は、地下鉄サリン事件によって挫折した。米国の核の傘に懸念を抱く国粋主義者による、プーチン懐柔作戦とみたい。政治論で分析可能である。


<311フクシマ東電原発爆破を契機に台頭した原子力ムラの猛威>

 戦後最大の乱は、すべて岸政治に発する。そのことを一人でも多くの国民に知らせたい。そのための連載である。

 岸は福田赳夫が首相を降りると、清和会の後継者に娘婿の安倍晋太郎をするように催促した。安倍が総裁選に出馬すると、福田は中川一郎も出馬させた。岸と安倍の政治に不信感を抱いていた証拠である。両者の出自を嫌っていたのかもしれない。しかし、岸になびく森喜朗が自民党内の談合で運よく政権に就いた。神の国で倒れると、後継者に小泉純一郎が田中真紀子人気で継承すると、長州と薩摩の田布施同士の結合が浮上した。安倍の二度目の総裁選では、清和会の町村信孝を蹴落として勝利すると、岸の遺言実現に突っ走る。


 既に小選挙区制は実現していた。残るは戦前の教育勅語の理念を挿入する教育基本法改正を第一次で強行、そして二次では自衛隊参戦を可能にした戦争三法を強行、原発再稼働へと舵を切った。さらにフクシマ隠しのための4兆円賭博五輪を、コロナ禍にもかかわらず強行した。嘘と五輪役員買収で。不浄きわまりない安倍の岸政治は、他方で平成天皇を引きずり降ろし、自ら令和の新天皇を強行した。


 安倍内閣以降の官邸を原子力ムラが支配している!そのレール上を宏池会の岸田文雄が走っている。欧州の戦争に加担して恥じない。他方、日銀総裁・黒田東彦のアベノミクスというゼロ金利と超金融緩和路線による急激な円安で、庶民は泣き叫び、国力低下によって日本列島は太平洋上に沈んでいる!

2022年6月15日記(東芝製品・サントリー・トヨタ不買運動の会代表・政治評論家・日本記者クラブ会員)