自公弱体・静岡参補惨敗<本澤二郎の「日本の風景」(4245)

<低投票率と反共攻撃で衆院選終盤突入=岸田の訪英危うし>

 山口と静岡の参院補選が実施され、注目の静岡で非共産野党共闘の山崎真之輔が大接戦を勝ち抜いた。岸田首相の2度の応援も成果を出せなかった。地元のテレビ映像で、大群衆の演説会場を見て、公明党創価学会の大動員の様子を知ったが、見掛け倒しでしかなかった。自公与党の弱体を裏付けた。野党に少し希望が見えてきた。


 静岡の投票率は45・57%。5割以上の有権者が棄権した。異様な政治不信とコロナ禍の低投票率が、10月31日の衆院選の死命を決することになろう。それも野党共闘いかんが、その鍵を握っている。与野党伯仲へと突き進む可能性が強くなってきた。


 野党攻勢次第では、まだ分からないが、岸田のイギリス訪問も怪しくなる。与野党の激突の勝敗の行方は、やや希望が見えてきた。


<山口補選は田布施の牙城に野党は参戦放棄の危うさ>

 山口では、野党が白旗を上げて勝負を逃げた。自民党は安倍晋三の牙城である。しかも、産経OBの田布施出身という。田布施に屈する野党に何があるのか。


 投票率36・54%と低い。安倍票もたかが知れている。山口や我が地元を眺めていると、政権交代はまだ夢でしかない。ここは事実上の参戦放棄である。


<共産アレルギーは相変わらず、課題残す静岡と山口参院補選>

 両選挙区での共通項は、日本共産党の孤立化路線の継続の危うさでしかない。小異を残して大同につくという大胆路線を、この期に及んでも断行できないという。合点がいかない。党名変更が不可欠ではないだろうか。


 要するに、日本での共産アレルギーは依然として強固である、ということを、票数が物語っている。党利党略は、自公を利することになる。身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ、であろう。


 これまでの共産党戦略から「自民党を利するだけ」との指摘が消えない。野党分断が自民党の基本戦略だが、現在もそれが継続している、と見られがちだ。今回の野党共闘は画期的といえるが、それでも十分とは言えない。


<立民・枝野幸男の力量不足は相変わらず危うい>

 思うに、野党第一党の枝野幸男の力量いかんに辿り着くことになる。


 全野党共闘に成功すれば政権交代必至という場面を考えると、党利党略・個利個略は、指導者としての適格性が問われることになる。


 安倍・傀儡政権と山口・公明党創価学会の一体化は、肝心の馬力が無くなって、国民の政治不信を払しょくすることが出来なくなっている。後者への期待度は著しく低下している。コロナ禍と組織体の老齢化と、組織内に渦巻く宗教的不信も輪をかけている。


 極右・維新が公明党と取って代わろうとしている、このことも注目したい。其の点で、公明と維新の与党競争も見て取れる。


 与野党伯仲時代の到来は必至か。そこでは、与党内の抗争を激化させることにもなる。岸田が安心して外遊できるか?赤ランプもついた格好である。


<原子力ムラ・清和会会長・細田博之の意外や姑息な選挙対策?>

 昨日のネットで、途方もない選挙区の存在に驚いてしまった。原子力ムラのボス的存在で知られる、細田の島根一区だ。ライバルの亀井亜紀子の猛追に仰天してか、同姓同名のおばさん候補が出馬している。それを選管が受け付けるという意地悪をしたらしい。やむなく亀井亜紀子という漢字名で立候補せざるを得なくなった。「原子力ムラの姑息な陰謀」と見られている。


 清和会OBは「細田は逮捕された秋元のカジノ事件関連で、かなりの大金を懐に入れている。そのことで本人は震え上がっているのだろう。それで亀井に恐怖心を抱いているはずだ」と明かしたものだ。


 今回の選挙で、原子力ムラの清和会候補は、大幅に落ち込むと見られている。そのため「票が減るのが分かっても安倍を応援に呼んで、票を減らしている若手が大半」と事情通も驚いている。総選挙後、安倍や細田が党内を動かせる勢力を維持するのは困難だろう。自民党派閥も大きく変わることになる。

 極右・清和会主導の政治がピンチを迎えている。国民にとっては幸いなことである。

2021年10月25日記(東芝製品不買運動の会代表・政治評論家・日本記者クラブ会員)