危うし平和憲法<本澤二郎の「日本の風景」(3923)

<電通仕掛けの改憲大宣伝の不公正な国民投票法に屈する野党>

 二度と戦争させないと宣言した平和憲法が、厳しい局面に追い込まれたことが、自民党の二階幹事長と野党第一党の立憲民主党・福山幹事長との会談(12月1日)で明らかになった。来年1月召集の通常国会で、自公維の改憲軍拡与党の、戦争国家に向けたシナリオが進行することが現実味を帯びてきた。


 改正国民投票法は、莫大なコマーシャルによるという、不公正極まりない投票制度で、いざ実施ともなれば、世論は分断から金力のある与党の改憲へと主権者を誘導する、極め付きの電通仕掛けの悪法も悪法である。


 危うし日本国憲法である。財閥・電通による軍国主義が、本格的に復活する可能性が出てきた。「金に転んだ野党」なのか。そう言えば、解散に追い込むどころか、内閣不信任案さえも引っ込めてしまった立憲民主党の裏切りに、平和国民とアジア諸国民は、とうとう崖っぷちに立たされてしまったかに見える。


<新聞テレビの圧倒する大量CMで多くの国民は洗脳される!>

 そもそも平均的な日本人は、改正国民投票法について詳しくない。CMやりたい放題の中で、金に糸目を付けない自公維と背後の財閥・電通は、新聞テレビを独占して現行の平和憲法の弱点を大々的に宣伝する国民投票法である。


 これに改憲軍拡のNHKから読売・産経・日経の新聞テレビが、土砂降りのように平和憲法叩きと東アジアの緊張や中国や北朝鮮のあらぬ危険性を吹聴することも、確実に予想される。


 世論は、一遍に改憲論が台頭、自暴自棄になっている人々の脳裏を洗脳するだろう。21世紀の特務機関・電通の仕掛けに対抗できる団体や野党は、あっけなく押しつぶされることが目に見えている。


 既に平和憲法の9条は、半壊の状態にある。改憲成立ともなれば、日本とアジア諸国は、覇権の海にたたき出され、血税は核武装化に呑み込まれる。核戦争も想定される地獄が現出することになりかねない。


 ただでさえも、主権者は右翼の暴走で、政治の中枢からはじかれている。官僚も腐っている。統治機構が狂い始めて、暴走に歯止めがかからない。改憲軍拡の強行ともなれば、国民が求める安倍事件や菅事件は消えてゆくことになる。



<内外の戦争反対派は怪しい立憲民主党を包囲せよ!>

 敵は本能寺なのだ。護憲リベラルの立憲民主党と信じ込んできた主権者は、それこそ重箱の隅に追いやられるだろう。声も出せない独裁政治に気力を失い、不運な人々は戦場かその周辺で右往左往するばかりの愚民・棄民に貶められるかもしれない。


 筆者は、昨年正月の枝野の伊勢神宮参拝を記憶している。進歩的な野党の指導者の伊勢参りは、想像を絶するものである。続く靖国参拝へと「神の国」に飛び込むかもしれないようでは、もはや健全な国民は、まともな政党を見つけることもできなくなる。

 与野党第一党の党首が「神がかりの道に迷い込んでしまっては、およそ近代と無縁な国でしかない。


 枝野を引きずりおろせ、の合唱が聞こえてきているが、それも大きくなってきている。期待する政党を持たない多数派の無党派層は、モグラのように土の中で息をひそめて生きるしかないだろう。まずは枝野と福山を引きずり降ろしてしまう運動が急務かもしれない。


 それが駄目なら、健全な民衆のための近代政党を立ち上げないと、この国の将来はないだろう。ことほど二階と福山の会談は、民衆にとって許しがたい合意内容である。

 


<官房機密費・国対費工作に屈する危うい野党第一党?>

 自社二大政党時代にも、双方の幹事長・国対委員長が、こともあろうに癒着する場面があった。その先に社会党委員長が、自民党に担がれて首相になったのだが、さらにその先に社会党は消えてなくなっていた。


 与党の強みは金力である。野党はその逆である。金をちらつかされると、腰砕けになる野党幹部は、まずほとんどといっていい。永田町はいわば、スポーツのようなゲームといっていいくらい、いい加減なのだ。必ず国民は、政党に欺かれる運命にある。


<疑心暗鬼「枝野・福山らが金に転んだ」は本当か>

 自民党の二階の懐は、金が唸っていて音が聞こえてくる。その金に群がる政治屋と御用評論家を見ていると、正直、この国の先が見えてこない。


 今回の二階・福山の会談内容は、菅も枝野も納得しているわけだから、党内外に憶測が流れることになる。「枝野・福山が金に転んだ」とする風評が気になって仕方ない。

 以下に通信社が流した記事から読めることが、以上の懸念である。平和憲法を餌にして、与党にまとわりつく野党第一党に反吐が出る思いである。


 来年は主権者が油断すると、コロナ政局・コロナ五輪政局どころか、本当に平和憲法が死ぬかもしれない。そんな予感がしてならない。


 河井夫妻事件から、今は吉川元農水相事件発覚と、事件は決まって二階派が独占しているが、どうして自民党老いぼれ幹事長は、安倍晋三を叩く一方で

野党懐柔にも成果を上げているのだろうか。


 内外の関係者も、国民投票法の行方と平和派の防御戦線に注目が集まっている。事態は深刻過ぎる!

2020年12月3日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)



自民党の二階俊博、立憲民主党の福山哲郎両幹事長は1日、国会内で会談し、憲法改正に関する国民投票の利便性を高める国民投票法改正案について、来年1月召集の通常国会で「何らかの結論」を得ることで合意した。与党側は採決する方針。2018年6月に与党や日本維新の会が共同提出後、立憲などが質疑に消極的で継続審議を繰り返してきたが、成立の公算が大きくなった。

与党、国民投票法の通常国会成立目指す 2年半経て実質審議入り

 会談で二階氏は「今国会の採決は見送るが、一日も早く結論を得たい」と表明。福山氏は「この国会は新型コロナウイルス対策に集中すべきであり、採決見送りは評価したい」と述べた上で、通常国会で結論を出すことを「承知した」と答えた。(時事)