米大統領選挙の教訓<本澤二郎の「日本の風景」(3896)

<金持ち課税強化の民主党・バイデンが史上最高得票を記録>

 米大統領選挙は、民主党のバイデン候補に軍配が上がるだろう。彼は史上最高の7000万の大台に乗せる得票を手にした。コロナ禍も幸いしたであろうが、これまでは投票しなかった無党派層が動いた。むろんのことで、弱者貧困層が決起した。


 有権者が、外交政策で動くことは少ない。内政でも、所詮は自身の懐具合で動く。洋の東西を問わない。懐が温かいと、それが信念信条を超えて、ぬるま湯に浸かって満足する。ヒラメ記者やヒラメ判事、ヒラメ検事、ヒラメ警察ということになる。改革は進行しない。


 コロナ禍のアメリカ経済の衰退が、失業と貧者の大量生産を作り出した。他方で、金持ち優遇のトランプ政策に対して、バイデンは真っ向から金持ち課税強化という、公正な公約を掲げて、無党派層と貧者の決起を促して、見事に成功したものである。


<アジア系など少数派の金持ちはトランプ支持だったが>

 金持ちのアメリカ人は、白人に傾斜しているが、アジア系にも沢山いる。彼らはトランプ支持である。

 「アメリカ・ファースト」政策を強行したトランプを、それでも支援した日本メディアや一部のライターは、金持ち優遇に酔いしれていたのであろう。


 金持ちは、より金持ちにさせる、というトランプに肩入れした米財閥企業も、その労働者をトランプ支持につなげることは出来なかった。偉そうな人間でも、金で動く。庶民首相でデビューした菅義偉は、毎日朝昼晩の食事を高級レストランで食事をしているが、これは官房機密費の無駄遣いであって、国民は税金泥棒と決めつけて、眉をひそめている。



<財布の中身で判断する有権者は日本も同じ>

 人間は生きるために働く。そして手にした金で食事をして生きている。その繰り返しである。

 同じ人間でも権力者と民間人、国会議員と庶民、地方議員と市民の間には、金の面での落差・格差が存在する。昨日友人が教えてくれたことだが、文化功労者になると、毎年360万円の生涯年金がもらえるという。彼は「彼らは優雅な生活をしている。それでいて、なぜ年金を生涯支給するのか。おかしい」と怒っていた。初めて知る筆者も驚いた。


 恵まれた人々は、なんであれ自分の孫や子供を戦場に狩り出されない限り、体制に盾突くことはしない。財布の中身の具合で判断する国民が、すべてといっていいだろう。


 アメリカの大統領選挙の教訓は、日本の選挙でも同じなのだ。


<安倍や菅支持層は財閥1%+日銀で踊る株屋の面々>

 安倍・自公が戦争法制を強行しても、それでも政権は倒れなかった。常時4割前後の支持者が存在した。この中にはカルト的な宗教支持者も含まれていたが、他には、懐具合の良い人たちである。


 当然、平和を吹聴してきた公明党創価学会に大きな副作用が出た。沖縄の反乱は、関西の反乱、東京でも21万人が、信濃町執行部に抵抗した。当然、東北や北海道でも執行部離れが起きている。創価学会の原田・谷川体制も、公明党の山口と太田ショウコウの体制も揺らいでいる。木更津市の戦争遺児は、地獄から太田ショウコウを突き上げている。

 http://www.asyura2.com/20/senkyo277/msg/168.html


 菅の地元・横浜でも、カジノ反対運動が拡大してきている。それでも、倒れない原因は、金持ち優遇策に満足している一部の企業や株屋の存在である。超格差が、政権を浮揚させているためだ。


 日銀の黒田のお陰で、実体経済など無関係に株高を操作している。株で潤っている一部の人たちにとって、安倍や菅は強力な味方なのだ。反対に円の大暴落に怯えている年金生活者は少なくない。あまりにも危険で、冒険的な日銀の株価操作に、国民の怒りのマグマが蓄積している。


<財閥内部留保金課税+高額所得者課税=消費税ゼロ=貧者覚醒>

 そこで、くっきりと見えてくるのは、財閥1%の内部留保金500兆円に国税のメスを入れるのである。彼らは、個人的にもパナマ文書などの秘密の口座を隠し持っている。パナマに関して、国税当局はデータを入手、いつでも動ける態勢にあるともいわれる。


 この中には、既に創価学会やNHKなども露見している。税金逃れにメスを入れると、莫大な宝の山が見つかるだろう。

 このほかたとえば、年収1000万円以上の高額所得者に5%から10%の課税を強化すれば、消費税ゼロでもお釣りがくるかもしれない。


 野党が消費税ゼロ政策・高額所得者課税強化を打ち出せば、有権者の4割から5割の無党派層が覚醒するだろう。投票率が上がり、自公の組織票を撃墜することが可能となる。貧者を覚醒、投票所に行かせることで、政権はあっさりと交代するだろう。


<与野党逆転は格差是正=次期総選挙で実現必死!>

 国民の懐から打ち出した公約が、政権交代の核心である。一時、山本太郎の消費税退治に人気が集まったものである。

 格差を是正することで、先進国最悪の借金大国を軌道修正させる、健全財政実現に大きく前進させる。今の財務省や金融庁は解体させればいい。一大行財政政策もまた、喫緊の課題である。


 ハンコやFAXを止めることなどは、行革に値しない。行革とは議員・役人の半減や報酬の半減を意味する。そうすれば、必然的に金持ち優遇策は消えていくであろう。忍耐が次なる日本再生に不可欠となるが、その先に孫子の笑顔が見えてくるだろう。


 米大統領選挙の教訓を生かすことで、政権交代は間違いなく起きる!

2020年11月6日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)