電通の深謀遠慮<本澤二郎の「日本の風景」(3843)

<護憲リベラル・宏池会つぶしが第一ラウンド>

 どうやら新聞テレビは、誤報の垂れ流しをしている可能性が高い。遠い先の謀を分析することは容易ではないが、昨年7月の広島での1・5億円事件を注視すれば、それが岸田文雄の宏池会つぶしであることを、多少の永田町を知る者であれば、決して困難なことではない。


 電通による大掛かりな深謀遠慮だった、と断じたい。自民党内から護憲リベラルを一掃する最終作戦だった。ほぼ断定できるだろう。9月14日の自民党総裁選の投開票が証明することになろう。


 それは宏池会を創設した池田勇人と、清和会の元祖・A級戦犯の岸信介の最終戦争を意味する。


 今から30年ほど前に遡る。宏池会二代目の会長・前尾繁三郎の秘書から、続く大平正芳、鈴木善幸の首相ブレーンだった安田正治が、しみじみと打ち明けてくれたことだが、彼は「護憲派の宏池会と中曽根・福田派の改憲派との最終戦争は、平和憲法をめぐる攻防戦となる」と予言したものだが、結果はその通りの展開を見せている。


 このことは、筆者が現役の政治記者をしていたころの自民党は、護憲リベラルの宏池会、準じる田中派経世会、三木派の、国民に目を向けた派閥が健在だった証拠でもある。


 隣国との歴史認識による対立は起きなかったし、たとえ起きても事前に火を消すことが出来た。中国・北朝鮮・韓国との軋みは、岸人脈のなせる業である。総裁選で、岸田が分断から協調を叫ぶ理由なのだ。


 参考までに池田内閣は、寛容と忍耐である。時の官房長官・大平正芳がぶち上げた。首相になった池田に対して、官房長官は「以後、ゴルフと料亭政治はご法度」とくぎを刺した。


 池田秘書から、前尾・大平・鈴木・宮澤に仕えた木村貢は、安倍内閣が誕生すると、徳間書店から「品格のある宰相」を出して、安倍に警告をすることを最後の仕事にした。


 河井夫妻に1・5億円を投入、案里候補に公明党創価学会票までつけて、岸田・宏池会の現職・溝手顕正を叩き落とした、まさに異様な宏池会つぶしに、改めて度肝を抜かれる。この1・5億円事件の主犯が安倍晋三、共犯者が菅と幹事長の二階俊博だった。この大掛かりな宏池会つぶしの作戦本部は、あえて大魔神の電通であると断罪しようと思う。


 うかつにも、党三役である岸田は気づかなかった。安倍禅譲に浮かれていたことになる。


<小渕恵三後継の密室談合を超えた超のつく密室談合>

 2日ほど前に、生長の家の谷口信者の村上正邦が亡くなった。小沢一郎と激しくやりあった、その夜に小渕は倒れて入院した。後継作りが、官房長官の青木幹雄と幹事長・森喜朗、幹事長代理・野中広務、政調会長・亀井静香、参院議員会長・村上の5人による密室談合で、森が自民党総裁・首相に就任した。


 これほどの露骨な密室談合を語れる人物は、いまでは青木・亀井・森の3人だけとなった。当時は家庭の事情で取材できなかったのだが、総務会長だった宏池会の池田勇人の娘婿の行彦がいない。意図的に外されたのだ。


 亀井の証言を聞いてみたい。サメの脳みそが首班に担がれたことで、永田町は清和会一色といえる政治環境が生まれた。「神の国」を唱える神道政治連盟・日本会議の森を、後継した小泉純一郎が、靖国神社を繰り返し参拝して、隣国の不信を買った。この森と小泉の右翼政治が、安倍の下で、さらに拡大して改憲軍拡論のラッパが鳴り続けた。


 つまるところ電通五輪は、安倍・森のコンビで、2020年に開催する予定だったが、コロナの襲来で沈没してしまった。安倍も力尽きた。そうして第二ラウンドが数か月前から始動した。


<菅義偉擁立独走が第二ラウンド>

 菅の後継は、にわかに浮上したことになっているが、コロナ襲来による五輪沈没に比例する。すでに総務会長・鈴木俊一は「五輪が政局になる」と半年前に予告していた通りの展開である。数日後に想定されなかった菅内閣・自公・日本会議政権が誕生する。第二ラウンドも完結したようなものだ。


 「芝居の幕が上がる前に、幕が下りていた」という今回の超密室談合の自民党総裁選挙の目的は、菅の下で、沈没した電通五輪の巨額損失処理が、最大の仕事となる。電通お抱えの菅に対しては、警察とやくざを従えての「ゴロツキ内閣」との評価が定着し始めているが、攻める野党議員は「清廉の士」という条件に合格する必要があるのである。

http://www.asyura2.com/19/senkyo267/msg/657.html

 もう一つの大事な菅任務が、安倍犯罪に蓋をかけるという、これまた不浄なものだ。法治・法の下の平等の日本で、公然の秘密となってしまった悪事を、無事に蓋することが出来るのか?電通から離脱しつつある?という朝日新聞が、安倍犯罪の真相解明に威力を発揮できるかどうか。この一点に絞られる。


 野党は、選挙屋「ムサシ」動員の早期解散に備えが必要である。それが可能だろうか。


 安倍後継の総裁選は、つまるところ「党員100万による予備選排除」「各派の菅支援一本化」で、石破と岸田を撃破・沈没させる。これが超密室談合の総裁選という名の安倍後継レースなのだ。


 自由と民主主義を喧伝する自民党総裁選挙も、実質は独裁政権のやり口を踏襲している。国民に対する背信行為であろう。

 


<電通操作の安倍院政で暴政責任回避>

 過去に、平和憲法に反し、反立憲主義に徹して、次々と憲法違反の悪法を強行した内閣を知らない。史上最低・最悪の安倍内閣だった。連帯責任者は、公明党閣僚と自民党と公明党である。公明党創価学会だ。


 菅を操るのは、退陣する安倍であり、さらには安倍を自在に操ってきた電通ということになる。安倍暴政は、戦前の国策会社で、政権の宣伝のみならず宣撫工作、利権独占企業の電通と繰り返し指摘したい。財閥の防護服なのだ。


<宏池会と信濃町の覚醒と再生>

 絶望の日本に希望をもたらすであろう潮流は、護憲リベラルの宏池会の再生である。このまま清和会化してしまうのか?池田勇人・大平正芳・鈴木善幸・宮澤喜一の、リベラルな政治資質と伝統を再生復活することが出来るのかどうか。


 もう一つは、戦争党に変質した信濃町が、再び池田大作の平和主義の理念に立ち返ることが出来るのかどうか。つまりは両勢力の電通離れである。米国との関係で問われている自立を、財閥との関係でも自立できるのか。ここに日本のわずかな希望と夢が存在する!

2020年9月13日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ

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