往生際が悪すぎる心臓<本澤二郎の「日本の風景」(3837)

<安倍と河野太郎の許されざる野望・安倍軍拡の最後っ屁>

 安倍改憲失敗に安堵している、国民とアジア諸国民は少なくない。だが、既に戦争法三法を強行して、事実上の憲法違反法を強行した。それでも安倍晋三の改憲軍拡への誘惑は、退陣表明しても止まらない。新たな敵基地攻撃ミサイル艦隊構築を、子分の菅義偉に残すのだという。


 昨日のANNの報道がそれである。要するに、陸上型のイージスアショアを中止する見返りに、それを海上から発射する攻撃ミサイル艦隊を誕生させたいということのようだ。空母「出雲」では満足しないのだ。野蛮な河野防衛相と打ち合わせたうえでの安倍談話を、やくざまがいの後継者に指示するのだという。


 日本の借金を山のように積み上げながら、個人的な乱暴狼藉の数々で、日本国民は怒る力も喪失してしまった。せめて往生際の良い心臓で欲しかったのだが、とんでもなかった。飛ぶ鳥跡を濁さずというきれいな退陣劇を見ることも出来ない。



<専守防衛を反故「中国・北朝鮮向けの敵基地攻撃核ミサイル艦隊」>

 日本は75年前に敗戦、亡国の憂き目にあった。国際社会復帰を目的に二度と戦争しない憲法を誕生させ、民主主義国家として再生の道を歩いてきたはずだったが?


 中曽根内閣が軍事費1%の殻を破るや、この8年では軍国主義の殻を着て、覇権主義をちらつかせ始めている。米中対立を好機と捉えて、晋三内閣の軍拡攻勢は著しいものがある。


 財閥商社は大喜びだ。米有力投資会社は、航空機の株をすべて売り飛ばし、日本の商社株を買いこんでいるという。日本軍拡の先を読んでいるのであろう。


 インチキ過ぎた陸上型のイージスアショアの身代わりが、敵のミサイル基地を先制攻撃する艦隊を構築、唯一の歯止めだった専守防衛を放棄しようというのであろう。そのための談話が安倍の最後っ屁というのだ。


 かつて河野洋平が、日本右翼の軍拡批判に対して「ミニアメリカだ」と指弾したが、まさにインド太平洋での覇権主義国家を目指しての軍事作戦が、佳境に入ったことを裏付けている。



<インド太平洋での大日本帝国化の覇権主義>

 中曽根・国家主義政権は、後継内閣に対して消費税の導入を確約させた。竹下内閣はそれを実直に強行したものの、そこにリクルート事件が発覚して沈没した。


 菅義偉が専守防衛を反故にすれば、日本は東アジアの孤児となろう。窒息経済も災いして、必ずや政権が窒息死するだろう。


 長州は山形有朋の軍閥には、三菱財閥が蛇のように絡みついた。それが心臓内閣に電通が、いま菅にも絡みついている。五輪の清算と軍拡利権の行方

に、言論界は憮然自失の体である。目標はインド太平洋における覇権主義だ。戦前の大日本帝国の復活であろう。


<ワシントンも腰を抜かすような日本会議政権の野望>

 戦争三法は、日本が戦争のできる国になった、法的な裏付けが出来たことを意味する。自衛隊員の家族の複雑な心情を、第三者は理解していないが、彼らの精神は戦前に回帰して、痛々しいことを知るべきだろう。


 以前、沖縄の自衛隊基地を見学したことがる。隣国の戦闘機接近に緊急発進(スクランブル)する若者は、物事の判断ができるような成人者ではない。咄嗟のことで、何をしでかすかわからない。偶発的な戦闘は日常茶飯事である。


 これが今、尖閣から南沙などで米中間で繰り広げられている。中国では、空母を攻撃する一発必中のミサイルを保有している。おそらくは、米艦隊向けのミサイル基地を叩く攻撃ミサイル艦隊が、戦争知らずの河野と安倍の狙いであろう。むろん、これも机上の空論であって実現不可能だが、そうすることによる巨額の血税投入も狙いの一つだ。


<日本人は台風・災害と安倍・菅の戦争路線にも警戒を>

 戦争三法については、ワシントンの要求に安倍が答えたものだという受け身の論理が、右翼の論陣などが吹聴しているが、本当は逆だ。東京の要請が最初なのだ。これが心臓の改憲論の核心であって、米CIAの手足となった岸信介の遺言に違いない。


 米国防総省(ペンタゴン)の日本支部が防衛省、米国務省が日本外務省という結びつきは、この8年で深まっている。ワシントンが東京の日本会議に振り回されているという実情を、ボルトン証言から読み取れる。


 東アジア諸国は、この深刻きわまりない事態から、いい意味での逃亡が可能なのかどうか。危うい、危うい!


ミサイル防衛に関する新たな安全保障政策について、安倍総理大臣は近く談話を発表する方針を固めました。  政府は地上配備型の迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画を6月に断念したことに伴い、敵基地攻撃能力の保有を含めた新しい安全保障政策を検討しています。安倍総理はこれまで「新しい方向性を打ち出し、速やかに実行していく」と強調してきましたが、政府関係者によりますと、任期中に結論は出せないことが分かりました。議論は次の政権に引き継ぐ方針で、安倍総理は近く「年内に結論を得る」などと記した談話を出すということです。ANN


2020年9月7日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)