不思議な国<本澤二郎の「日本の風景」(3817)

<万死に値する昭和天皇ヒロヒトと占領政策>

 「日本は二度と戦争をしてはならない」-1993年3月、1か月間の米国取材訪問の途中、出会ったトクノ・シロウさん(日系二世)の、この重い言葉を思い出す75年目の8・15である。彼は敗戦時の占領軍通訳として、廃墟の祖国・日本列島を、くまなく見聞した日系アメリカ人として、日本人ジャーナリストに語り掛けた。


 「戦争が終わったこと、新憲法が誕生したことに人々は喜びであふれかえっていた。私はこの目で見たのだ。右翼の言う、押し付け憲法だといって、反対する日本人はいなかった」とも指摘した。


 平和軍縮派の戦闘的リベラリストの宇都宮徳馬さんは、8月になると「日米戦争は回避できた。大陸や半島から日本軍が撤退すれば、戦争はなかったのだ」と指摘した。一連の半島・大陸への植民地・侵略戦争は、財閥・軍閥・昭和天皇の三者が一体となって推進した点で、とりわけ最高責任者の昭和天皇の責任は万死に値する。


 日米開戦責任も重い。加えて、1945年7月26日のポツダム宣言を受諾しなかったことも、である。もしもヒロヒトが必死で、これを受諾していれば、二発の原爆投下もソ連参戦による60万のシベリア抑留もなかった。優柔不断の極め付きの裕仁を、占領軍・ワシントンが都合よく、日本支配に利用したことは言うまでもない。その中に沖縄の悲劇も継続された。


 このありふれた史実を、日本国民は知っている。知っていて口にしない。活字にもしない不思議な日本人である。


 あいまい・いい加減・出鱈目・無責任・歴史を直視しない日本人の、戦後社会の見本となった。霞が関の官僚のみならず、永田町の政界・司法界に、怒りで狂う識者は少なくない。よたついても辞任しない、今の安倍晋三の好見本であろう。


<8・15靖国参拝閣僚と右翼の天皇万歳の異様風景を韓国紙報道>

 インターネットを少しでも操作することが出来ると、実に便利な道具となるが、せっかくのすばらしいネットを、歴史の分かる高齢者の多くは利用しない。利用できない。

 したがって、ネット掲示板のコメントにまともな指摘は少ない。政治を知らないものが、床屋談義のレベルでわめいている。人間はいい先輩やいい本と出会うことがないと、なかなか真人間になれない。

 憲法もそうである。学生時代に学ぶ機会を得た人間と、そうでない人間では、その理解度は大きな差が開く。小局にこだわる者と、大局を重視する指導者の落差もまた、大きい。

 もしも、戦前の天皇が賢明な人物であれば、日本国民の過ちは半減したであろう。悔いても悔やみきれない、日本の敗戦と戦後の日本であった。その悪しき政体が、今の自公連立ということになる。自民党の責任は言うまでもなく、信濃町の責任もまた、万死に値しよう。


 いまだに中国に行ったことがない石原慎太郎や清和会関係者が、歴史を無視して中国・韓国アジアを非難、論じている。公然と、8・15靖国神社参拝を強行した安倍側近の右翼閣僚が4人も現れた。

 右翼が軍服を着て「天皇万歳」を叫ぶ、狂気の再現を、韓国紙が詳しく報道、世界に発信した。それを昨夜目にした。


 「靖国は戦争神社」として今も隣国のみならず、国際社会から恐れられ、嘲笑されているのだが、この異様な風景も不思議日本を象徴している。  


<日本会議支援で浮上図る小泉の二匹目のドジョウ>

 小泉純一郎は中国で嫌われている。靖国参拝首相として一躍アジアで注目、恐れられた。狙いは、神社本庁や生長の家などの、天皇教団が組織した日本会議という右翼の支援を得るためだろう。


 日本会議と小泉から安倍へ、そして小泉の倅も、ということなのか。第二の安倍狙いなのであろうが、日本国民もアジアも再び騙されるのであろうか?


 米のジャパン・ハンドラーズで知られるマイケル・グリーンの弟子で、CSIS

で特訓を受けてきた若者に騙されてしまうのか?政治に無知な大衆の怖さが、また噴き出すのであろうか。


<歴史の教訓を学ぼうとしない民族の将来>

 ヒトラーのドイツと裕仁の日本は、よく比較されるが、自害したヒトラーのドイツの歴史の教訓は、隣国のフランスやポーランドの人々がしっかりしていたとはいえ、ゲルマン民族はまともで優秀である。


 他方、命乞いをして戦争犯罪を免れたヒロヒトは、新聞テレビがヨイショしても、毎年の8・15は夜も眠れない、深刻複雑な思いで過ごさねばならなかったろう。たとえ特殊な教育で、その地位をつかんだとはいえ、300万人の死、その10倍する死傷者をアジア諸国にまき散らし、あまつさえ沖縄戦や東京大空襲、二発の原爆投下、60万人のシベリア抑留という、およそ表現できない責任の山脈を構築した最高責任者である。


 ヒロヒトの真実は、消えてしまうのであろうか。多少なりとも、事情を知る平成天皇の記憶を記録すべきではないだろうか。「天皇はロボット。何もできなかった」という右翼の出まかせは排除すべきだろう。


 報道によると、アメリカでも「原爆投下の必要はなかった」とする当たり前の意見が浮上しているという。日本でも裕仁責任論が、史実として当たり前のように

、教育の場で語られる時であろう。


<靖国参拝を拒否し続けた木更津の戦争遺児の正義>

 池田大作の平和主義を堅持、元日教組の平和運動と連携しながら活動してきた戦争遺児の叫びは、まともである。


 やくざに殺害されるという悲劇に見舞われた戦争遺児は、いずれまともな公明党創価学会が再生する時代が来れば、彼女は特別に顕彰されることだろう。彼女の叫びは、その後に沖縄にも伝染した。


 沖縄の野原善正の信濃町改革の信念に変化はない。彼の信濃町に巣食う鬼退治は、これから第二ステップへと進行するだろう。日蓮の辻説法再現に裏切り集団に対抗策はない。


 ちなみに戦争遺児は、靖国参拝を拒絶した。漫画のような「英霊が眠る」という出まかせを信じられようがなかったのだ。ついでに言うと、公明党創価学会

の指令にもかかわらず、やくざ候補ややくざまがいの自民党候補を支持しなかった。


 日本の戦争は、財閥と国家主義政権が一体化している、戦前体制の今が危ない。自衛隊関係者は、日々緊張を強いられている。再選が危ぶまれているトランプの、ワシントンの暴走(戦争)の行方に神経をとがらせている安倍である。


 コロナで緊張を強いられている2020年8月、それでも歴史と向き合おうとしない政府に対して、国民は片時も油断してはなるまい。

2020年8月17日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)