車谷・東芝の非人間性<本澤二郎の「日本の風景」(3813)

<2010年から10年、いまだに反省謝罪なしの東芝経営陣>

 8月13日は盆入りという。故人を偲ぶ仏事という。真っ先に、東芝病院の救急医療体制大欠陥による院内孤独死を強いられた、次男正文のことが10年経っても、胸をかきむしる。反省も謝罪もないためだ。多くの医療事故の、遺族支援と教訓のためにも、継続して書き続けなければならない。


 現在の車谷という銀行マンによる東芝体制は、10年前の原発派と変わらない。人間の道を知らない、非人間性の塊でしかない。修身斉家の人ではない。家庭は壊れているだろう。銀座組か。年収2億円と守銭奴ぶりも明かされた。二日前に、10数年使用した炊飯器を日立に切り替えた。値段では東芝だったが、さすがに東芝製品に目を向けることはなかった。



<人間性・社会的責任なしの企業存続は21世紀至難>

 最近の報道によると、三井住友銀行マンから東芝経営陣のトップに立った車谷の評判が悪すぎる。株主の信頼が薄い。

 国もそうだが、企業・組織体もトップが狂ったりすると、国が傾き、企業体も衰退してゆく。いまの安倍の日本と、東芝がそうである。電通の政治力で回復しても、それは見せかけに過ぎない。電通もあぶりだされてきた。


 思い出すと、信越化学には、トップに有能な人材がいた。思想信条がしっかりとしていた。いまも元気なはずである。


 頭がしっかりとしていれば、すなわち人間性に長けていれば、働く労働者も真剣に会社を支える。当然、社会的責任を果たす、消費者に歓迎される商品を提供するため、企業経営も上昇することになる。


 ここには因果の法則が貫徹されている。頭が腐ると、社員の働く意欲は激減する。腐ったトップの年収に労働者は怒り狂う。

 21世紀の東芝の隆盛は、もはや車谷では想定できないだろう。 



<電通・東芝・松本朗の手口がくっきり見えてきた>

 正文が命を奪われて10年、遺族は東芝と東京地検・松本朗のほかに、東芝の防護服・電通の存在を知った。

 弱者は、世論の力を借りようとしたが、相手が電通では手も足も出なかった。言論を封じ込められてしまった。東芝経営の東芝病院(現在は東京品川病院)に対する初の刑事告訴に、警視庁記者クラブの記者連は色めき立って取材をしたが、電通が蓋をかけてしまった。


 電通は、法務検察にも蓋をかけた。弱者の思いは、こうして大魔神に封じ込められてしまった。それに東芝の政府との癒着は、元から強かった。加えての電通の魔性は、岸信介の満州・朝鮮人脈で支えられていた。最近まで知らなかったことだ。里見機関は岸人脈そのもので、直接に結びついていたのであることも判明した。


 息子は、無知な父親のために、身を捨てて、電通・東芝・松本朗の正体を暴いてくれたのだ。ここまで理解できるジャーナリストは、まだ少ないだろう。


 検事・松本朗は「司法解剖をしていない。よって死因が不明」と切って捨てたのだ。担当医の「痰がのどに詰まっての窒息死」という常識論を排除して、東芝に軍配を上げた。



<警察に通報しない=司法解剖回避=死因不明=不起訴>

 その仕掛けは、単純で明快である。

 入院直後の窒息死の場合、東芝病院は直ちに警察に通報する義務を負っていた。しかし、それを意図的に無視したのであろう。通報すれば、警察は司法解剖をしなければならない。通報しないことで、司法解剖をまんまと回避したのである。


 検事の松本朗は、通報義務についての追及はせずに、司法解剖しなかったことによって「死因が特定しない」という悪党の口実を設けて不起訴にした。単純なのだが、いざ当事者として直接対峙していると、検察・電通・東芝の罠を見抜けないものだ。



<解剖医師157人、専門医に非ず、死因特定困難>

 そこで問題は解剖医の側にもあった。

 身内の医療事故で2度目の体験者となった元福田赳夫秘書の中原義正は、徳洲会病院での急死事件において、すぐさま千葉県警に司法解剖を要請した。ここまではよかったのだが、司法解剖で死因を特定できなかった。それをよいことに千葉県警は「捜査打ち切り」を決めて、病院を喜ばせて、遺族の期待を裏切ってしまった。

 背後に警察と病院の不条理疑惑が浮上している。

 問題の本質は、解剖医の数と質という二つの点で、大きな壁にぶつかっているのである。体を切り刻むことはできても、死因を特定できるためには、あらかじめ患者の病状と急変の様子を、事前に掌握できなければならない。


 これには、相応の専門医レベルの知識と豊富な経験が前提となる。いまの解剖医には、これが著しく不足している。このことは、医療事故の当事者である病院と医師には好都合なのだ。


 しかも、解剖医不足である。日本に157人しかいない。人材不足も極まっているのである。14の県では解剖医がいない。


 医療事故多発国家日本は、今後とも継続する。比例して医療ミスの医師や病院を安心させることになる。



<おまけが保健所の医療無知による逃避>

 まだある。病院の不始末を処理する保健所が、全く機能していない。食中毒に関与する保健所はよく知られているが、病院の医療事故に対する保健所のことを知らない。


 つまり病院の欠陥・ミスをチェックしなければならない保健所に、その機能がない。これもまた問題病院を安心させている原因である。


 能力のない保健所を、いまのコロナの猛威の前面に立てた政府・厚労省・御用専門医の、これまた恐ろしい野望を見て取れるだろう。


 日本・アメリカ・イギリスの順番で、コロナ対策が最悪という一部の評価も頷けよう。能力のない保健所をPCR検査の前面に押し立てている今の政府の対応が、いつまで続くのであろうか。


 素晴らしい発見もあった。正文のことについて、初めて一人、真剣に受け止めてくれる心の美しい人が現れた。正文も喜んでいるに違いない。他人への思いやりは、言葉で言うほど簡単なことではない。一人でも現れてくれれば、それは素晴らしいことに違いない。そのことを泉下の息子と妻に伝えようと思う。


 合わせて東芝・電通・松本朗との戦いも、機会あるごとに継続すると約束しようと思う。





東芝社長、薄氷の選任 賛成率58%で最低―株主総会

202008041510


 東芝は4日、7月31日に開催した定時株主総会で、車谷暢昭社長の取締役選任案に対する賛成が57.96%だったと発表した。賛成率の公表を始めた2010年以降、同社社長では最低。同社関係者は「経営陣にとって予想以上に厳しい結果で、薄氷の勝利だ」と危機感を募らせている。

物言う株主、攻勢強める コロナ禍で投資加速へ―西村あさひ・太田弁護士

 株主総会では、会社側が12人の取締役選任を提案し可決された。ただ、車谷社長をめぐっては、議決権ベースで約3割を占める「物言う株主」の大半が反対や棄権に回ったもようだ。
 筆頭株主で旧村上ファンド系のエフィッシモ・キャピタル・マネージメントなどシンガポールに本拠を置く二つの投資会社が企業統治の強化などを訴え、それぞれ推薦する取締役の選任を要求。いずれも否決されたが、エフィッシモ創業者の今井陽一郎氏への賛成率は43.43%と過半に迫る勢いだった。東芝の経営陣は今後、ファンド側との対話に加え、株主還元の強化などを迫られる可能性もある。(時事通信)

2020年8月13日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)