政権末期の症状<本澤二郎の「日本の風景」(3667)

<法務官僚・黒川弘務疑惑を「月刊タイムス」が決起報道>

 月刊タイムス5月号が自宅に届いた。注目の記事は、ジャーナリストの山岡俊介の「黒川弘務検事長に新たな疑惑」だろう。彼は録音データという逃げられない証拠まで提示しながら、犯罪もみ消し人の正体を暴いている。為にする報道であれば、即座に名誉棄損の網をかけられるはずだが、それがない。筆者が追及する「木更津レイプ殺人事件」の犯人、やくざ浜名追及においても、加害者は泥棒猫よろしく姿を隠して反論がない。事実報道に、犯人はたじろいでいる、そのためだ。法務官僚・黒川弘務も、油断してわきが甘すぎたのだろうが、それにしても犯罪処理に絡んでの500万円授受疑惑浮上!は、この政権の末期症状といってよい。


<政治にまとわりついて出世する法務事務次官>

 犯罪もみ消し人というと、最近では真っ先に元官房長官秘書官・同警視庁刑事部長から警察庁の頂点をうかがう中村格であることを、全国民が知っている。


 彼は政府の政治的横やりを、法治・法の下の平等に反して、堂々と処理する能力に長けた人物である。伊藤詩織さんを強姦したTBSの安倍側近を、いとも簡単に逮捕を止めてしまい、不起訴にしてしまった。強姦魔は居丈高になって、法外な損害賠償訴訟を伊藤さんに対して起こしたが、裁判所は逆に強姦事件を正当に判断した。

 最近、伊藤さんが、あのNHKの番組に登場したと報じられている。NHKの安倍側近記者も形無しだ。


 元千葉県警捜査二課長の経歴もある中村が、千葉県警の徳洲会医療事故捜査にも横やりを入れた、との疑惑も清和会OBが指摘している。なんと「木更津レイプ殺人事件」捜査にもブレーキを踏んだ、との憶測さえも。


 中村は警察官僚であるが、東京高検検事長の次期検事総長候補?は法務官僚であって、真っ当な検察官僚ではない。にもかかわらず、安倍内閣への貢献が著しかったことから、法務官僚の頂点に立った。それどころか、いまや飛ぶ鳥を落とせる検察の頂点が目の前にぶら下がっているという。


 そこに山岡爆弾が落ちて、検察内部の良識派に怒りと衝撃が走っている。

 議会・世論は、黒川「検事総長」に強く反発している。自業自得とはいえ、桜事件からモリカケなど、安倍関連の何から何まで、もみ消すだろうと信じ込まれているからである。



<小選挙区制と独裁的長期政権の腐敗は底なし象徴>

 民意が著しく反映しない小選挙区制に、関心と実行を求めた最初の人物は、A級戦犯容疑者となった安倍の祖父である。比例制を絡めることで、自公に爆発的な威力を付与させている現在の制度だ。そうして3分の2議席体制が実現した。野党のアホさ加減を裏付けている。朝日世論調査で、野党第一党の支持率が、公明党に及ばない泡沫政党という。昨日の静岡での衆院補選での敗北も頷けよう。


 それはさておいて、小選挙区制は独裁的長期政権の元凶なのだ。言論の自由を封じることが出来る特定秘密保護法は、それ故に実現してしまった。


 戦争放棄の憲法の下で、自衛隊が参戦する義務を強いられた集団的自衛権行使の法律も強行された。


 政府を監視する言論人も、健全な野党議員も、容易に拘束することのできる共謀罪も、あっけなく成立した。さらには、博打を国・自治体が推進するという、破廉恥なカジノ法も強行されてしまった。


 すべては、過去に平和を吹聴してきた公明党創価学会の、かくかくたる戦果なのである。平和主義者だったはずの池田大作も、目を覚ませば驚いているだろう。


 かくして不正腐敗の政権のそれは、底なし沼そのものである。自業自得の民度の反映であろう。昨日のNHK討論会でも、与野党がコロナ対策に「PCR検査の拡大」をわめいていた。もう5か月、6か月も経っているというのにだ。


 信じがたいことだが、安倍長期政権の腐敗を、次期検事総長も、その恩恵を受けていたことになろう。疑惑を指摘された黒川は、声を上げなければなるまい。できるか、稲田検察は動けるか、本人任せなのか。


 政権末期とはいえ、ここまで腐っていたとは。まずは月刊タイムスの勇気をたたえようと思う。日刊ゲンダイ・東京新聞・毎日新聞は報道出来るのか。しばらく注視することにしたい。朝日新聞はどうだろうか?

2020年4月27日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)