コケにされた宏池会・岸田文雄<本澤二郎の「日本の風景」(3574)

<河井夫妻に1億5000万+α投入した安倍晋三>

 文春が先の金権参院選において、河井夫妻に自民党本部から1億5000万円もの巨額、それは間違いなく政党助成金を投入した安倍晋三の、仰天するような不当な手口を暴露した。逃げ場を失った妻は、素直に認めた。

 彼女には、安倍も応援しているが、そのさい官房機密費からも出費しているはずだ。途方もない金権選挙で、彼女は岸田文雄の足元の宏池会現職・溝手顕正を叩き落したことがはっきりしたことになる。


 哀れ岸田は、飼い猫のように安倍に忠誠を尽くして、政権の禅譲を狙ったものの、現実の飼い猫は飼い殺しされていた!


<イエスマンに徹した岸田は沈没、第二の前尾繁三郎>

 宏池会は自民党保守本流派閥である。吉田茂の経済重視の軍事小国論を、池田勇人、前尾繁三郎、大平正芳、宮澤喜一、加藤紘一と継承してきたが、加藤が清和会の森喜朗に挑戦して敗北するや、小泉純一郎にも裏切られてしまった。


 かくして宮澤が期待した岸田文雄による宏池会で再生を期待したのだが、宏池会と清和会はもともと犬猿の仲だ。思想的に水と油。にもかかわらず、ひ弱すぎた岸田は、危うい安倍・日本会議の外交に屈してしまうのだが、それでも安倍は容赦なく岸田を叩き潰したことになる。


 宏池会に参謀不在を証明したことになる。そもそも永田町の権力抗争において、禅譲はない。同じ失敗をした人物は、佐藤栄作に屈した前尾である。田中六助ら若手が決起して、大平を会長に担いで政権奪取に成功した。


 中国との国交正常化は、大平の下で実現した。中国の経済の高度成長は日本のODA援助であるが、これを実行した人物は大平である。それから40年の歴史を刻んでいる。

 台湾派清和会によって、最近の中国人は日本の政府開発援助のことを、すっかり忘れて、記憶していない。それどころか、日本と日本人は嫌われている。韓国と変わりない。


<伝統のリベラル放棄の大罪>

 「中原の鹿を追う」という中国の故事を引用して、中曽根康弘に挑戦した宮澤喜一を政権から引きずりおろした人物というと、小沢一郎である。小沢の過去から、立派な足跡を見つけることは容易ではない。


 戦後の自民党史は、A級戦犯の岸が率いる戦前派の国家主義と、保守本流のリベラル派の攻防戦の様相を呈してきた。その争いの舞台は、大陸と台湾である。

 戦前派が台湾にのめり込み、リベラル派が大陸との友好関係を樹立したのだが、清和会は権力を握ると、戦争神社参拝を繰り返して、日中関係を傷物にした。これに公明党創価学会もなびいて、日本と大陸の関係は振り出しに戻ってしまった。

 目下のところ、双方の戦略的な思惑の下での関係で、本来の友好関係ではない。仕組まれた、作られた関係でもろい。


 元凶は宏池会の凋落と関係している。その点で、安倍外交に屈した岸田の罪は重い。選手交代するほかない。今回の河井への1億5000万円投入事件が裏付けている。宮澤喜一の遺言を死守できなかった岸田は、宏池会会長失格だ。その過程で、側近の溝手を落選させた。

 このことでは、菅と創価学会公明党にも嵌められてしまった。


A級戦犯の遺言守る晋三と宮澤喜一遺言放棄の文雄>

 この1億5000万円事件をだれが漏らしたものか。安倍と菅・二階の死闘からすると、菅サイドが安倍いじめに流布したのかもしれない。


 永田町を概観すると、A級戦犯の岸の遺言を実行に移してきた晋三と、それを許した新聞テレビに驚愕するばかりだが、他方、保守本流の宏池会の伝統を放棄した文雄の力不足、無力の文雄を証明して余りある。


 まともな自民党実力者不在の下で、安倍が3選した原動力は、宏池会の沈下が背景にあった。家の子郎党を養えない文雄の政治責任は重い。

 政界雀は「女たらしの安倍の罠にはまった岸田」とも称している。昭恵の反応に興味を持つものもいるらしい。

 この1億5000万事件を徹底的に洗い出しても、桜事件に匹敵する爆発力があろう。野党の女性議員は、中村格追及にこだわる必要があろう。今日は中国の大みそかである。

2020年1月24日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)