記録15号台風と防災ゼロM地帯(下)<本澤二郎の「日本の風景」(3441)

<自衛隊活用を忘れた極右政権>

 突風70メートルを、日本の気象庁は全く想定できなかったようだ。台風15号の進路でさえも。たとえ分かったとしても、70メートルに耐えられる住宅は少なかった。幸いなことは、それが深夜であったことで、人命の被害は少なくて済んだ。


 問題点は二つ、一つは安倍・自公内閣は、9・9を軽く見ていた。今でも、である。予定していた9・11の、党内閣の人事に暗闘を繰り広げていた。近く公表するが、安倍と側近の官房長官・菅義偉の死闘で、巨大な自然災害に対して、ほとんど無関心を決め込んでいた。政府の怠慢と無能・無責任にある。


 二つ目は、国土防衛に特化すべき自衛隊の有効・適切な活用を、ないがしろにしたことだ。自衛隊の最高指揮官は内閣総理大臣である。安倍は、この重大な任務を、適切に果たさなかった。それゆえに、台風が去った10日以上たっても、停電や水道被害が続いている。これは311の東北大災害における政府の棄民政策の連鎖である。


 大災害地の木更津市の自衛隊基地は、ヘリコプター基地で知られる。最近は危険な欠陥機・オスプレイ襲来で、房総半島に緊張を招来させている。

 たくさんあるヘリコプターを飛ばすことで、房総半島の倒木・停電現場を掌握、陸上の倒木処理隊に指示を出せば、数日で停電を解消することができた。筆者がパソコンの映像で確認したところでは、20人の自衛隊員が給水作業をしている現場だった。


 千葉県には、習志野や館山にも自衛隊の基地がある。有能な指揮官がいれば、直後から5000人、1万人を軽く動員できる。最大10万人も可能だろう。電力会社にその能力はなかった。こうした判断ができなかった、安倍・日本会議の、自公内閣の防災対応の無責任・無能力にあきれるばかりである。


 政府が政府なら、自治体も右に倣う。極右政権の恥部は「民に寄り添うことがない」という点で、古い歴史上存在した王政にも劣る。


 311で東電の無責任は、すでに判明しているではないか。東電を非難しても始まらない。


 自衛隊の適切な活用を阻害している要因もまた、極右政権ゆえである。彼らは、武器弾薬でもって、人殺しを強いる戦争する自衛隊という認識である。この7年、安倍は自衛隊の儀式には、必ず出席して、危機を吹聴して、戦う自衛隊に改編することに狂奔している。狂っている。まともな民意を体現する為政者では全くない。


 国民は、安倍・日本会議や財閥の思考と異なる。自衛隊を国土防衛隊・災害支援・救助隊として評価している。殺し合いの世界に追いやろうとする自公の認識と異なる。今回の15号台風での自衛隊は、持てる力の数パーセントしか発揮しなかった。このことを、声を大にして叫ぶ必要がある。


 戦闘する米国の艦船と共に戦争させる自衛隊参戦法制は、すなわち集団的自衛権行使は、憲法違反ゆえに廃止しなければならない。


 言及するまでもなく、安倍・自公内閣は、この7年有余、中国と北朝鮮の脅威論をわめき散らし、周辺国に60兆円の血税をばらまいてきた。ひとえに9条改憲のための環境づくりだった。どのような屁理屈を用いようとしても、日本列島に侵略するような国も地域も、想定さえできないにもかかわらず、である。


 戦前の日本は、軍国主義・侵略主義で破綻した。ソ連もほぼ同じ理由で崩壊した。次はアメリカの番かもしれない。武器弾薬で国民を幸せにすることはできない。財閥のみのための政府も、そう長くは継続しない。現に、安倍の疲労は、顔面で確かめることができる。


 今回の首都圏に襲来した、風力では、伊勢湾台風以上の超ド級の15号は、首都圏史上最大の家屋被害は、311の東電経営陣と同様に人災と弾劾できるだろう。


 吹き飛んだ屋根を5000人の自衛隊員が担当すれば、罹災者は感動して勇気をもって、再建に当たるだろう。やくざまがいの業者介入で、これができなかった日本政府だった。


 自衛隊員の息子という千葉県知事の森田健作も、10日ほどじっとして動かなかった。小屋を吹き飛ばされた筆者は、昨日の920日の時点で、ラジオニュースが、シートを公民館で配布しているとの報に接して、念のため富来田出張所に電話確認したうえで、無事に確保した。まずは小屋を建てる前に、丸裸になって雨水被害を受けていた中古の小型耕運機にかぶせることにした。

 感謝したい。農業と漁業の被害は、かなりあるだろう。

 なお、同日午前720分にも停電したので、再び電話とパソコンが使えなくなった。10時ごろ、木更津市災害対策本部に携帯電話をかけてみたものの、担当者は「東電に確認します」といったものの回答なし。午後1時過ぎに東電関係者から「ついた」との連絡が入った。


 今回の倒木で判明したことは、杉の倒木が多かったことである。その理由も判明した。我が家にも枯れた杉と虫に食われている杉が、電柱近くにある。東電に何度も催促したが、相手にしてくれなかったが、今回の大量の倒木杉ゆえに、事情変更の原則を理由に、再度要請した。916日にフルサワさんが「担当者から連絡させる」との約束を取り付けた。


 920日午後1時過ぎに東電から「復旧した」という連絡が入った際、この杉の伐採の件を伝えた。本日21日午前930分ごろ、応援部隊の方からは「電気はつきましたか」と問い合わせがあった。ということは、東電の内部混乱を印象付けていた。この時も杉の伐採を要請した。というのも、業者に依頼しても「電柱に触ると怖い」といって逃げてしまう。東電に頼るほかないのだが、果たしてどうなるか。

 近くの寺の杉の大木が、根こそぎ倒れている。夫が危ない屋根にのぼって瓦の入れ替えをしている家も。無事を祈るばかりだ。


 こうしたこまごまとした課題は、どこの家庭でも地域でも、まだまだ先延ばしされているのであろう。指揮官が無能だと、国民は安心できない。地球温暖化で、亜熱帯に入り込んでしまった首都圏には、第二の15号台風が襲来する確率は高い。


 繰り返す。国民は戦闘部隊としての自衛隊を望んでいない。防災の先兵としての自衛隊に期待している!目下、それが正常に機能していない。そのことが、日本の防災ゼロメートル地帯を裏付けているのである。日本は何よりも防災に目を向ける必要がある。そうする政府の樹立が優先されよう。国民の覚醒で可能である。

2019921日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)