2023年01月

反骨の女性ジャーナリスト(下)<本澤二郎の「日本の風景」(4701)

<憲法9条を先取りした松本英子の慧眼=A級戦犯の押し付け論崩す>

 昨夜Youtube動画で、防衛省が軍拡への情報と世論操作を、民間に資金を流して研究させているという恐ろしい話を目撃した。同時に、抵抗するジャーナリストを封じ込める動画を防衛省が作成し、それをYoutube動画で宣伝しているこざかしい事実も判明した。43兆円超軍拡工作は以前から進行していたのである。野党の徹底した追及を期待したい。

 いわゆる戦争準備のための政府・防衛省・防衛利権アサリの民間研究機関が連携して、防衛3文書の閣議決定から殺し合いのための43兆円予算獲得作戦を強力に推進しているのであろう。電通やNHK・読売主導の戦争体制の構築も、目前といえるかもしれない。


 こうしたことは明治期も同じで、英子はこれに果敢に抵抗して、天皇ファシズムによってしたたかな弾圧を受け、誇れる知性は徹底的に非難され、屈辱を受けてやむなく渡米した。反骨の女性ジャーナリスト・松本英子は、訪米後に第一次世界大戦のころのワシントンを目撃し、心を痛めると同時に死のベッドから、あらん限り非戦の声を上げ続けた。これもまたすごい闘争であろうか。毎日非戦の詩歌を詠んだり、日系新聞に小論を次々と発表して、おぞましすぎる戦争の非を訴えた。しかし、米国では官憲の被害に遭遇しなかった。

 彼女の叫びは、信仰していたプロテスタント系のメソジスト教会にも影響を与えたであろう。現に1945年に敗北したあとに誕生した日本国憲法9条の非戦の規定は、日米双方に非戦の思想が存在していたのであろう。日本の知識人の一部からアメリカの学者・法律家にも浸透していたものだ。安倍晋三らの押し付け憲法論は、彼らの世論操作のために意図的に用意された9条批判の戯言である。


 米国西岸カルフォルニア州から発信した非戦・無戦の思想は、子供や夫を失った欧米社会にも、深く影響を与えていたはずだ。1993年3月、1か月にわたる訪米取材でうれしかったことは、サンフランシスコで出会った白人弁護士が「9条がアメリカにもほしい」といってくれた時の言葉である。非戦の思想は、日本人女性ジャーナリストの叫びが、戦争国家のアメリカ全土にも静かに教会から日系人に浸透していたと仮定すると、松本英子の慧眼にただただ脱帽するばかりだ。一昨日、茅野の埴生の宿を訪れた日刊ゲンダイの峰田理津子記者は、非戦を常識と受け止めている反骨のジャーナリストだし、彼女の仲間たちの小塚・坂本の女性記者らもそうであろう。

 宇都宮徳馬さんの「日本人の平和主義は、財閥や利権アサリの機関や世論操作に耐えられる。いい加減なもんじゃない」との指摘も忘れてはならない。非戦は日本人の精神として昇華している。国民は自信をもって次回の選挙に一票を行使するだろう。


 戦争ごっこで暴利を得る米国の産軍複合体制とそこにぶら下がる日本財閥など死の商人たちは、機会さえあれば危機と緊張を煽る。宇都宮さんは「軍人は勲章欲しさに戦争をしたがる」と喝破した。


<戦争は政治・政府が引き起こす=ゆえに武器弾薬保持否定した9条>

 政府や官界・司法界の公人はすべて憲法に従わねばならない。当たり前である。立憲主義の憲法なのだ。だが、今の自公体制3分の2の圧倒的多数が、ゆでガエルのような野党を蹴散らして独裁政治を演じても恥じない。

 311の反省が微塵も見られない原発大作戦の強行策から、43兆円の戦争準備はその典型である。

 繰り返す、日本国憲法は非戦憲法だ。戦争そのものを否定して戦争を禁じて認めない。武器弾薬を放棄し、戦争を禁じた見事な憲法である。すなわち外交力で国民の財産と命を守るという、実にこの世の最高かつ崇高な憲法であって、財閥のための戦争そのものを否定した素晴らしい憲法なのだ。


 非戦の憲法を死守する責任を政府・議会・裁判所に課している。これほど安心安全な国は存在しない。


<いま議会や官界に司法界に財閥など死の商人を阻止する反骨の人はいないのか!>

 日本で言論の自由がなくなっている。新聞テレビの世界に反骨のジャーナリストはいない。いても声を上げることが出来ない。特定秘密保護法・自衛隊参戦法・共謀罪の戦争三法が、言論の自由を封じ込めてしまっている。加えて電通による締め付けによって、日本の編集人たちは萎縮し、非戦を叫ぶことを自身で封じ込めている。

 それどころか、読売やフジサンケイなどは率先して政府の改憲軍拡を推進している。国民の知る権利を封じ込める新聞テレビに驚愕するばかりの日本国なのだ。例外が日刊ゲンダイである。自公内閣必読の夕刊紙という。報道を担当する記者たちは、全て反骨のジャーナリストらである。


 ただし、NHKが政府に完全屈服した10年前から世論操作・情報操作が悪辣すぎて声も出ない。安倍以降の内閣はNHKを駆使して真実を隠すことに見事に成功している。人々を偏狭なナショナリズムの世界に追い込んでいる。NHK記者の反乱が起きるか、起きないのか?


<人はすべて戦争嫌い!非戦の英子ばかりだ!声を上げ行動を!>

 岸田は息子を戦場に送り込むことが出来るだろうか。出来るはずがない。憲法は読んでいるだろう。読んでいなければ秘書官が教えてくれる。いえることは、自分が出来ないことを他人に押し付けるな、である。

 この世の人たちは、非戦の松本英子の叫びを理解するだろう。ロシア人もウクライナ人も。非戦の日本が、ウクライナを支援して、戦争を長引かせていることは憲法違反である。そこに大義はない。

 日本人は戦争を止めさせるため声を上げ、行動することを非戦の9条は強く求めている。 


<「全ての婦人が立ち上がれば出来る」と英子の枕辺の遺言に脱帽>

 英子は叫ぶ。「戦争を食い止めるための唯一の方法は、婦人のすべてが立ち上がることだ。婦人が決起すれば戦争を止めることが出来る」と叫び続けて63歳の若さで亡くなった。

 反骨の女性ジャーナリストの遺言は、戦争そのものを否定し、止めさせることだった。その秘策は女性が握っていると断じた。日本の婦人団体よ、立ち上がれ、そして連帯してプーチンとゼレンスキーに釘を打つのである。

 人々の命を守るために遠慮など不要だ。

2023年1月31日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)

反骨の女性ジャーナリスト(中)<本澤二郎の「日本の風景」(4700)

<21世紀の松本英子・日刊ゲンダイのM子記者が来訪>

 2023年1月29日の正午から我が老人夫妻の築50年の埴生の宿が華やいだ!21世紀の松本英子に違いない日刊ゲンダイの、目の大きな八頭身美人が、粗末な居間に陣取ってくれたからである。最近になって気付いた大型と思われるネズミも、天井裏で驚いたであろう。

 紫のコートでさえも似合う彼女の趣味は和服だと知った。出身は愛知県、徳川の三河出身。憶測だが、明治が誕生させた官僚養成の東京帝国大学、戦後の東京大学は、明治以降の藩閥天皇制国家主義や、戦後の自民党官僚政治を支えてきた。三河の識者らはそのことに屈服することはないだろう。

 同じ東大生でも愛知県のエリートは、従順に屈することなくそれぞれが考えるところがあるかもしれない。それにしても、我が家の来訪者・M子記者のセンスの良さは、服装からして抜群である。当方の取材で判明したのだが、彼女は特別な教育を受けたわけではなかったが東大に合格した俊才、その後に除籍された。理由がすごい。「マージャンばかりしていて講義も試験もパスした」という。想像しなくてもわかる。つまらない授業にやる気が消え失せた。その程度の東大に三下り半を突き付けたのだ。これはやはりすごい人物である。

 まさに21世紀の松本英子に見立てたことにブレはない。しかし、両親の衝撃はたとえようもなかったろう。親孝行に気持ちを切り替えてほしいのだが、M子記者の孝行とは、反骨のジャーナリスト・松本英子のような人間として生き抜くことなのであろう。健康管理を特に心がけるように忠告した。

 とはいえ初の美人の訪問に普段は縁の薄い缶ビールを出して乾杯した。


<少数精鋭!きつい深夜勤務・全て反骨の男女ジャーナリストばかり>

 ともかく日刊ゲンダイの記者は、筆者同様に反骨の人ばかりで、悪しき権力に真正面から体当たりして追及する。居眠り野党に代わって民意を汲み上げて、容赦なく政府や自民党を批判する。小気味いい。


 昔はこんなことがあった。政府が新聞や雑誌に消費税をかけるといい出した。

新聞は読売新聞の渡辺恒雄らが抑え込んだ。週刊誌・雑誌は徳間書店の徳間康快を先頭にして、時の自民党幹事長の小沢一郎と総務会長の渡辺美智雄、政調会長の西岡武夫に陳情することになったのだが、東京タイムズ社長を兼務していた徳間が政治部長の筆者に段取りを要請してきた。

 週刊新潮の佐藤社長や講談社の服部社長ら雑誌出版連盟の面々が雁首をそろえて自民党3役に助けを求めた。この時の印象が遠慮知らずの渡辺が、講談社の服部にかみついた。日刊ゲンダイの発行元に圧力をかけたのだ。むろん、そんなことでひるむような講談社ではなかった。しかし、ことほど日刊ゲンダイの威力は、相当なもので政府自民党の耳目を揺るがしていたことの何よりの証拠と言えた。

 ついでに首都圏紙の東京タイムズだが、こちらは大平正芳首相は官邸で必ず読んでくれたことを確認した。大手紙はほとんど大差がない発表記事が中心だから、自宅で朝日に目を通せば済んでしまう。永田町のインサイドの記事をほぼ毎日書いた。政治部長時代の8年9か月は、反骨記事を書いて実に充実していて快適だった。そのせいかM子記者が「年齢よりも10歳若い」と誉めてくれた。


<次男正文の無念の死・読売元政治部長・多田実の自分史=本澤二郎の「日本の風景」10巻の製本>

 彼女の来訪目的は、2009年からほぼ毎日書き始めたblog「本澤二郎の日本の風景」を、昨年になんとか無理して10巻10セットに製本したことと、その事情を取材するためだった。彼女は製本費用を聞いて仰天した。現在市民活動家らが救済に知恵を出してくれる事情も説明した。

 なぜ製本したのか。一つには次男正文の医療事故による無念の死と、反省も謝罪もしない財閥病院のことから、それまでは「自民党のスポンサー」とだけ表現していたことが間違いだったことを、息子の死が教えてくれたこと。311のフクシマ東電原発3号機が問題の財閥製品だったこと、しかも核爆発だったこと。311の4日後の315に大量の放射能が首都圏に流れ込んだこと、このところの日本人死者数は飛びぬけて増えている事情とフクシマ放射能被ばくとの関連など新聞テレビが報道しない事実を、後世の研究者に伝えたいという思いなどを説明した。

 なぜ80代からなのかについては、大学の先輩・多田実さん(元読売政治部長)が80歳から「自分史」を書き始めたものの、間もなく亡くなったという厳しい健康事情に目を向けたこともあった。長命の家系なので「あと20年」を吹聴しているが、無理しない散歩も心がけている。筆者を育ててくれた人物は、平和軍縮派の宇都宮徳馬さんである。生涯ジャーナリストに徹する人間として人生を送ろうと思う。

 本日のこの記事も製本してゆく覚悟である。反骨ジャーナリストの文章に興味を持つ研究者が現れてくれるかどうか、やや賭けの部分もある。世界は情報が最大の価値を生む時代に突入して久しいのだが。

 その価値の決め手は真実だ。嘘情報は、すぐ馬脚を現す。反骨の勇気と正義のそれが、時代を主導していく。日刊ゲンダイの取材陣は、反骨の塊の記者ばかりだ。松本英子も泉下で拍手してくれている様子が目に浮かぶ。

 我が勇気と反骨も息子がくれたものである。仰天情報が飛び込んできた。安倍の「回顧録」?冗談ではないか?御用記者たちの嘘にまみれた回顧録なのか。日刊ゲンダイの反骨記者の評価に注目したい。

2023年1月30日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)


共同通信社の世論調査によると、細田博之衆院議長が、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を非公開の場で各党に説明したことについて「十分ではない」は84.2%、「十分だ」は11.9%にとどまった。


 【ワシントン=田島大志】米空軍のマイク・ミニハン大将が、2025年に台湾有事が起き、米中間で戦争になる可能性があるとのメモを作成し、空軍内で共有していたことが明らかになった。


反骨の女性ジャーナリスト(上)<本澤の「日本の風景」(4699)

<財閥・天皇ファシズムに抵抗し足尾銅山鉱毒事件を徹底追及した松本英子は日本一の反骨の人=千葉県茅野村出身>

 府馬清著「松本英子の生涯」を手に取ってみると、本物の本物は日本男児よりも、平和主義の女性(大和なでしこ)であることに気付かされる。英子は恵まれた才能を、幼くして父親の漢学者によって見いだされ、書や詩歌にとどまらず東洋思想の真髄である四書五経にも手を伸ばし、さらに上京して英語力を駆使してキリスト教(プロテスタント)にも果敢に挑戦した。かのキリスト者の先輩・内村鑑三も彼女には一目置いたほどだった。


 その先に戦前の日本最大の公害で知られる足尾鉱毒事件の現場に、日本の新聞記者たちに先行して飛び込んだ。人も大地も死んでしまった常人では目や耳を塞ぎたくなるような鉱毒で暴利をむさぼる信じがたい財閥の獰猛さを、自らの目と耳で吸い取って、渡良瀬川の流域30万人の救済報道にペンをフル回転させた。

 食べるものはなく、住む家も失った骨と皮の農民、乳も出ない母親はそれでも乳飲み子を抱き抱え、むせぶ泣き続ける赤子をあやし続ける姿は、この世の地獄である。「真実を伝える」ことが新聞の使命である。そして政府・世論を動かして人々を救済する英子のペン先は、他の記者の誰よりも鋭く圧倒していた。毎日新聞は他紙をまず猛省させて反骨新聞の存在を高めた。

 時は明治の軍国主義が大英帝国の後押しをよいことに植民地・侵略主義に目覚め始めた天皇ファシズム期である。そこで一身を顧みずに政商から財閥にのし上がる古河市兵衛という悪魔と、背後の人民を奴隷化する天皇制国家主義に体当たりした松本英子の反骨のジャーナリズムは、歴史に名を残した革命派を優にしのぐ偉丈夫だったことが理解できる。

 松本英子研究を提案する理由である。彼女の生まれは木更津市茅野、当時は茅野村。


<当時の「毎日新聞」で見事な大連載「鉱毒地の惨状」は第一級の記録>

 松本英子編「鉱毒地の惨状」を国会図書館で調べるといいだろう。「松本英子の生涯」(府馬清著・昭和図書出版)を、先に3回連載したが、到底彼女の死闘を表現することは出来ない。府馬清・本名松本英一は、英子の身内に当たる。彼女の偉大さを身近に知る立場だった。もしも、英一がいなかったら、この不世出の偉大な反骨のジャーナリストは、この世に知られることなく蓋をかけられてしまったに違いない。

 確認できたことは、英一の妻・幼子は、今も87歳にして健在であることが分かった。知り合いの弁護士にせき立てられて電話をしたところ、本人が直接電話口に現れた。

 クリスチャン(プロテスタント)としてサンフランシスコで63歳の若さで亡くなった英子の墓地はどこなのか。茅野村の松本宅には20基ほどの墓地がある。そこに英子の両親の墓はあるが、英子にはない。父親の漢学者・貞樹の墓は高さ2メートルほどの立派な石碑となって、今も堂々と鎮座して周囲に威圧感を与えている。91歳まで生きた妻・ふさの墓石もあるが、同じようなものが数個並んでいて区別がつかない。


 偉大な人間になるには、必ず立派な両親が存在する。教育がいかに大事であるかを感じさせられる墓地であろうか。


<東洋と西洋の思想を体現した道義と博愛がほとばしる不世出作品>

 松本英子を日本一ともいえる反骨ジャーナリストにした原動力は、東洋と西洋の思想・哲学の共存だったことが分かる。仏学・儒学の東洋とキリスト的な西洋思想を体現したものであろう、そこから発する敬天愛人・慈愛・博愛の精神でなかろうか。


 余談だが、筆者の母方の祖父が亡くなる時のことを思い出す。無学の当時としては80余歳で長生きした祖父が、中学校を卒業する孫に向かって「偉くなれよ」と発した言葉を記憶している。祖父は婿養子で、母の曽祖父が「働き者」という基準で娘に押し付けた。黙々と働く祖父は、生涯祖母に対して文句ひとつ言わず働くような善人として人生を終えた。妻への暴力など想定もできない人だったと思う。

 そのような祖父が「偉くなれよ」といった意味は、おそらく「いい人間になれよ」「他人に迷惑をかけるな」「悪に屈するな」という意味ではなかったろうか。

 ちなみに祖父の姓も松本である。英子の家から一里ほどの山奥で七曲りとか茅野七曲りと呼ばれている。母の曽祖父は山から竹を切り出して、東京・大森の海苔問屋に卸して多少の財を貯めた。母はそのおかげで、幼くして「ちりめん」という着物を着たという。部落では「御兵衛ドン(殿)」と呼ばれていたが、母を案内して「御兵衛ドン」の墓地を何度も行ったことがある。そこは山深い台地にある一族だけの墓地で、眺めると江戸期からの一族の栄枯盛衰の様子が見て取れる。

 御兵衛ドンも貞樹の寺子屋で学んだのかもしれない。このあたりは松本姓が、実に多い。

 筆者が「権力に屈するな」と繰り返し叫んだ宇都宮徳馬さんに「人間として当たり前のことですよ」と応じ、今も実践するのも英子と通じるものがある。

 日本のジャーナリストは、英子の生きざまを学んで実践することが、人類が安全航海する術であることであろうと信じたい。

2023年1月29日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)

G7戦争神社サミット再び!<本澤二郎の「日本の風景」(4698)

<安倍の伊勢神宮に次いで岸田は厳島神社=神社本庁日本会議の暴走>

 第二次安倍晋三内閣の指令塔は、いうまでもなく神社本庁日本会議だった。戦前の国家神道復活・神の国への野望を爆発させ、比例して改憲軍拡の音頭を声高に叫んできている。この極右の流れは菅義偉・岸田文雄内閣でも継承どころか急拡大して、目下国民や東アジアに不安と緊張をまき散らしている。

 深刻すぎる新たな問題は、広島でのG7サミットを、4年前の伊勢神宮に追随し、ことしは厳島神社で参拝や夕食会を計画している。「G7戦争神社サミット再び」と国際社会や宗教関係機関に衝撃を与えている。

 神社本庁日本会議が、岸田内閣を操っている証拠であろう。7・8安倍銃撃事件によって、隠れていた統一教会があぶりだされている2023年である。カルト教団に対する国民の目は厳しくなっている。既成の宗教界も黙ってはいないだろう。伊勢の場合は、外国メディアの批判をうまくかわしたようだが、一部の教団は現在も厳しく糾弾している。

 今年5月のG7サミットは、4年前と環境が違う。波乱含みといっていい。


内閣支持率激減で仏教界やキリスト教会などが強く反発必至>

 今年の「戦争神社サミット」は、4年前と大分様相を異にしている。

 安倍銃撃事件で表面化した統一教会問題と安倍の「国葬」強行に次いで、あろうことか43兆円の戦争準備予算案と311原発爆破事件に蓋をかけての、さらなる大規模な原発推進政策を強行するというのだから、極右・死の商人の課題を一度に始末する、まさに大暴走に次ぐ大暴走である。

 したがって、ゆでガエルの生活に甘んじてきていた多数国民の半数以上が覚醒した。内閣支持率は2割台。死に体内閣である。意図的なアベノミクスなる騙しの経済政策は、意図的な円安政策そのものだから、異常な物価高を招き寄せて国民生活は厳しさを増している。

 先日は散歩中に「子ども食堂」の案内を見て面食らってしまった。田舎町の子ども食堂は、大人300円、子供100円という。無料だとばかり思っていたものだから、お金を取る木更津市の子ども食堂を知って当惑してしまった。共産党天下が目の前にぶら下がっている光景ではないか。

 4年前と今年は、大分変わっているのである。そうだとすると神社本庁が権力を独占壟断する内閣に、人々や他教団が沈黙するとは限らない。

 欧米のメディアは、電通に操られる日本と違う。いま戦争で毎日兵士のみならず女子供も亡くなっている。戦争の悲惨さを理解しない宗教はまず考えられない。そうだとすると、彼らは大声を上げる。国際社会は戦前の国家神道、現在の神社本庁の神道に対して「戦争神社」と表現し、今も恐れている。


<日本は神社本庁・日本会議の野望を電通が新聞テレビ操作>

 先般仏教界の日蓮正宗富士大石寺の顕正会が、安倍の神の国と言論界を封じ込めて支援する電通に対して、公然と批判する顕正新聞の記事を紹介した。おそらく広島の厳島神社サミットに対しても警鐘を乱打するに違いない。

 神社神道は原始宗教のカルト教団である。戦前の国家神道の甘い夢を復活させようとして、自民党の支持母体となって改憲軍拡の銅鑼を打ち鳴らしてきた。電通の圧力に屈した新聞テレビは、昨今露骨なほど神社宣伝に力を入れている。これにも他教団は反発している。


 問題の電通は、例のフクシマ隠しの4兆円五輪賭博を強行したが、東京地検特捜部は、電通OBの高橋を大腐敗の一環として逮捕した。無論、電通本体の重役逮捕に至らなかった。「岸田がブレーキをかけた。見返りに五輪利権の大元締めの森喜朗は岸田支援へ。清和会の岸田降ろしはなくなった」と永田町でささやかれている。

 したがって電通の魔力は多少は落ち込んだと見られている。本来はここで新聞テレビが目を覚ませばいいのだが、肝心の編集人の信念が揺らいで、反骨と無縁である。


<二匹目のドジョウ=欧米諸国首脳と随行記者団を再び騙せるか?

 海外のメディアはどう出るか。海外の反発を封じることに成功した4年前の電通が今年も?果たしてどうなるか。おそらく二匹目のドジョウ狙いは、成功しないのではないだろうか。

 またしても電通は血税を懐にして報道センターに大金をはたいて記者団を格別に優遇するだろう。国民が事前に気付いたら大変なことになるだろうが、それでも電通は、報道人を優遇・歓待して「戦争神社サミット」を無難にやり過ごそうとする。どうなるか、見ものである。


<日本会議・神社本庁による政権操作は政教分離違反>

 国家神道復活にかける神社本庁は、古くから自民党本部に神道政治連盟なるカルト教団組織を付着させてきた。吉田茂・自由党時代にはなかったが、岸信介らの民主党と合流した時点で、神道の政治部門は、自民党の正式な組織となった。政教分離違反である。

 そして近年、日本会議という右翼団体を組織した。財閥とも連携しているため資金は豊富という。「ベトナム華僑崩れのおばさんを広告塔にして改憲や台湾有事を叫んでいる」と消息通は指摘している。地方の神道信者の氏子を巻き込んでの、神社による改憲運動も昨今の特徴である。むろん、統一教会と連携しているようだ。なんとも不気味な日本会議である。

 国民の知らないところで暗躍し、政権を壟断する反民主的な組織と見られている。公安当局がどこまで実態を掌握しているのか、注目したい。

2023年1月28日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)


(朝日)広島で5月に開かれる主要7カ国首脳会議G7サミット)で、政府が世界遺産厳島神社広島県廿日市市)がある宮島で各国首脳とのワーキングディナー(夕食会)を開く方向で調整していることがわかった。首脳間の連携に加え、観光地もアピールする狙いがあるとみられる。


(共同)政府が、5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の際、世界遺産・厳島神社で知られる広島県廿日市市の宮島への各国首脳の訪問を検討していることが分かった。厳島神社の視察や、食事しながらの討議の開催を想定している。関係者が19日、明らかにした。

衆参議長人事に重大懸念<本澤二郎の「日本の風景」(4697)

<細田博之は清和会・統一教会・原子力ムラ、尾辻秀久は神社本庁・靖国参拝派のボスという不気味な布陣>

うかつにも昨日昼前に参院議長の尾辻秀久の声を聞くまで気付かなかった。衆参議長と官邸の主の人事を決めたであろう安倍晋三・神社本庁・日本会議の布石に舌を巻いてしまった。正に戦争準備の予算その他憲法違反の悪法を成立させるための危険な体制である。

 そうした中で、お尻に火のついた共産党の志位和夫は、財閥500兆円問題に触れたが、財閥という言葉をまだ使用していなかった。財閥はいくらでも賃上げが出来るが、99%の中小企業はどうなる?格差の拡大が庶民レベルで進行するが、財閥の方は43兆円の戦争準備金で笑いが止まらない。武器弾薬の輸出に意欲満々であろう。

 衆参の代表質問に興味などないが、やはり日本共産党のそれが野党らしさを誇示していた。立憲民主党は安倍や笹川の別動隊のような維新と共闘を組んでしまいお話にならないが、何と1年生議員を登壇させたという。世の中のことも議事堂内のことも知らない1年生議員起用という、奇をてらう手口を見せられては、もはや野党第一党の資格を自ら放棄しているかのようだった。


 そして大問題なことは、中立公正の議会運営の責任者が、統一教会まみれの細田博之と靖国参拝派の尾辻秀久だが、この布陣はきわめて危ない。官邸の主は「忘恩の徒」だ。案の定倅の坊主が先の長旅中、遊びほおけていたことが週刊誌にすっぱ抜かれた。同行記者が売り込んだもので、よほど腹に据えかねていたのであろう。同行記者の叩く相手は、ワシントンのポチ・岸田文雄本人ではないか。反骨のジャーナリストがいない。電通にすべて頭をなでられてしまっているのであろうか。


<細田の統一教会派、非公開で死んだ安倍になすりつけるしたたかさ>

 安倍内閣時代ずっと清和会の会長を務めてきた島根の細田は、統一教会

と安倍を取り持つ間にすっかりカルト教団の支援を受けて選挙をしてきたと見られている。

 父親のマージャン好きを聞いているが、息子は萩生田光一のようなはったり演技は出来ない地味さが持ち味。世襲議員はそれを武器にして、教会との関係の深さは知る人ぞ知るだ。原発派の第一人者だから反原発派の抵抗も強い。

 度胸がないため雲隠れが得意だ。無力野党を幸いとばかりに釈明会見をすると思いきや、非公開での偽り発言の連発で逃げ切った。


 問題がなければ、堂々とテレビの前で会見すべきだが、それも怖くて出来なかった。なんとしてもあと3年議長の座に居座りたい、ただそれだけに執着する政治家失格の細田博之だった。死んだ安倍に擦り付けた嘘発言は、後世の語り草か。


<尾辻は靖国300万人の死者を増やす大軍拡推進の指揮棒?>

 一見して実直そうな尾辻秀久も、なかなかの曲者だと一部の専門家は指摘している。どこの派閥に所属しているか知らないが、毎年8月15日になると、靖国神社を昂然と闊歩する姿を思い出す。

 300万人の死者を祀るという靖国のトリックに呆れてしまうが、近代の合理主義を学んだ現代人は、理解不能である。むろん、歴史の教訓を知る者たちにとっても、侵略戦争を謳歌してやまない靖国・戦争神社に出向くことはないだろう。そもそも原始宗教の占いに拘泥する日本人は、本当のところいない。

 「天皇のために命を捨てる日本人」は、国家神道と教育勅語、天皇制国家主義に羽交い絞めにされない限り、死んで靖国に逝こうとする現代人はいない。安倍晋三・小泉純一郎・森喜朗らの「神国論者」はそうそう探しても見つけることは不可能であろう。

 尾辻の靖国参拝は、戦争準備の危険きわまりない大軍拡法案成立に期待する財閥や官邸にとって好都合なのだ。


<政府の大原発推進に国権の最高機関も悪用か>

 「忘恩の徒」岸田文雄は、安倍に劣らないほど暴政にのめり込んでいる。与野党が拮抗している政治環境であれば、即退陣に追い込まれるのだが、女性の自立や国民の覚醒が期待できない中では、日本の財政が破綻しようがしまいが、戦争に巻き込まれようが、正にやりたい放題である。


 311のフクシマ東電原発大爆破事件は、いまや世界最大の公害となってフクシマから全国へと拡大している。プラスチックごみに加えて、核のゴミが日本列島から太平洋印度洋に広がろうとしている。

 先日ヒジキを食べた。おいしい。しかし、今春からの猛毒・トリチウム汚染水の海洋投棄で食べられなくなると思うと、余計に愛おしくておいしかった。どこの家庭でも魚・海産物とお別れだ。

 それでも衆院議長の細田を先頭に岸田内閣は、原子力発電所の大拡大路線も打ち出した。岸や正力、中曽根の核兵器計画と連動している。史上最大の悪政が、岸田・細田・尾辻の三馬鹿トリオのもとで強行されるのか。2023年危機は2022年危機を越える。「落ちるとこまで落ちろ」の悪魔のささやきが聞こえてきている!

2023年1月27日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)

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