2019年07月

吉本興業事件<本澤二郎の「日本の風景」(3386)

<アベ官邸と深い仲のお目こぼし>

 昨日、日刊ゲンダイニュース編集部の小幡元太記者が、7月2日付の新聞を郵送してきた。念のため開くと、暴力団・やくざ者に詳しい溝口敦の吉本興業事件評が出ていた。

 「反社にも暴力団同様の判断をした吉本の新対応」と、吉本を身びいきするような見出しにがっかりした。芸能界とやくざの関係を多くの国民は知っている。反社会的勢力とは、イコール暴力団・やくざのことである。だからこそ吉本の芸人の犯罪性を国民は問題視しているのであろう。

 吉本といえば、安倍晋三との関係が深い。公正中立の捜査当局が、お目こぼしをする間柄だから、余計に国民の関心を集めたものだろう。

 「木更津レイプ殺人事件」を追及するジャーナリストは、やくざと入れ墨に関心が強い。先のG20では、吉本喜劇を拝借したアベのことを庶民大衆は記憶したばかりだから、余計に当局のお目こぼしと追及するヒラメ記者のことが気になるのである。


<やくざと一体関係の芸能界>

 やくざ取材は、社会部の仕事だと割り切ってきたジャーナリストも、それでも政界のやくざ代議士のいかがわしい活動に対しては、厳しく書いてきたものの、さりとて魅力的な女性を次々とレイプして、歓楽街の性ビジネスを仕切る入れ墨やくざの暴利を知ろうとしなかった。


 元警視総監・法務大臣の秦野章の発言でまとめた「日本警察改革論」(エール出版)でも、暴力団対策法をかすった程度だった。ただ、彼が「右翼・暴力団・総会屋は一体」と断罪したことは覚えている。

 肝心の無数の被害者の女性のことについて、当時まったく関心がなかった。やくざに強姦、性奴隷の挙句、半年後に逃げ出そうとしてドーカツ、その殺人的恐怖で即死状態、2日後に呼吸が止まってしまった「木更津レイプ殺人事件」の悲惨すぎる戦争遺児の重大事件は2014年4月28日。


 これの徹底取材から、強姦された女性、100%の日本人女性が、警察に駆けこむことがない、という途方もない真実に愕然とさせられたものである。ついでTBS山口強姦魔事件の官邸犯罪に関心を寄せる理由だ。幸い、清和会OBの友人が、この方面に詳しい。先日は「倶利伽羅紋々」という言葉を覚えさせられたばかりだが、彼は当たり前のように説明した。

 自民党の情報関係に席を温めていた人物の解説は、ジャーナリストのそれを優に上回っている。警察力の分析もすばらしい。貴重な人物は、創価学会の闇の部分にも通じている。

 そのやくざと芸能界が一体関係にある、とりわけ吉本とアベ官邸のかかわりの中で、この事件は表面化したものだから、本来は捜査当局が重大な関心と捜査を開始する場面であろう。


<意味不明の記者会見とヒラメ記者質問>

 数か月前になるが、テレビのない我が家ゆえに、息子が「アベマテレビ」という無料で見ることができるネットをセットしてくれた。ここでは朝鮮の王朝時代のドラマが面白くて、10代のころの時代劇にのめりこんだようにはまってしまった。

 ここにもテレビニュースも流れていることから、吉本事件の関係者の記者会見が生放送されていた。そもそも吉本興業さえよく知らない日本人だから、なんのことか現在も理解できない。問題を起こした芸能人の会見と、その会見に反対していた吉本社長の長々とした会見もあったが、ヒラメ記者の分かりにくい質問に辟易して、見るのを止めてしまった。


<芸能界とテレビ界とやくざ暴力団の深い仲>

 今朝の房総半島は、見事な陽光が大地を照らし出していた。梅雨空を吹き飛ばすような、午前6時の太陽の無限のエネルギーに圧倒され、目を向けることもできなかった。それこそ半島の隅々まで、公平に照らし出して、自然の恵みをもたらしていた。


 政治もまた公正・公平でなければ、社会は安定しない。この6年間の日本政治はおかしくなっている。公正でないためだ。

 官尊民卑・男尊女卑は言うまでもない。社会の隅々で不公平・不正が起きている。それを監視するジャーナリズムが腐敗してしまい、国連からも指摘される始末である。


 不正で手にした東京五輪が1年後にやってくると目下、NHKを先頭にして、世論操作に余念がない。独裁政治の脅威である。法治そのものが形骸化している。それでいて官邸は、昨日からゴルフ三昧の日程を強行して恥じない。


 やくざが跋扈して、警察がお目こぼしをする時代は、これからも続くのであろうか。やくざを退治する政府はいつのことか。健全な民主主義社会はいつの日か?

2019年7月26日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)

身を捨ててこそ<本澤二郎の「日本の風景」(3385)

<浮かぶ瀬もある 善正と太郎>

 選挙は金がかかる。その結果、今回も金持ちが国民の代表となって、利権アサリをする、財閥支援の悪しき改憲軍拡の自公政権が存続する選挙結果となってしまった。背後では不正選挙も行われているようだが、弱者は証拠をつかむことができない。そのような中での予想外の成果は、山本太郎らの、貧乏人からの浄財による選挙戦だった。貧乏人でも選挙に出られるという実績を示したことだ。


 日本の政治に新しい歴史、新風を吹き込んだのだ。「貧乏人の浄財」で天下を取れるという発想が、まさに民主主義のすばらしい点だが、それを実践で示したもので、これは既成政党が果たしえなかった見事な実績といえる。

 さらに比例で「特定枠」を利用して、政治とは無縁の二人の重度の障害者を国会議員に押し上げた、これまた快挙である。日本政治の新風は、沖縄の知事選である。玉城知事誕生の裏方の、創価学会の野原善正を東京に引きずり出して、池田大作の大衆のための平和党を、安倍のための戦争党に変質させた公明党創価学会にぶつけて、足元から揺さぶりをかけた戦略もすごい。

 池田親衛隊を政治の主役に引き上げた太郎も偉かったが、それに応じた野原善正も立派だった。

 「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」を現実に見せつけた、過去の日本政治では想定できなかった快挙である。


<財閥・労働貴族・宗教貴族に対抗、貧乏人でも国会議員>

 後世の歴史家は、今回の太郎と善正の政治成果を分析して、戦後の日本政治史に記録するだろう。その価値は絶大である。日本の民主政治の夜明けを意味する。

 過去の国会議員の多くは、財閥の配下として議員になれた。官僚は財閥の庇護のもとに自民党から出馬して国会議員になった。

 野党議員は、労働貴族が手を上げて、革新と称した。第三極が信濃町の宗教政党である。志を測定すると、労働貴族や宗教貴族が、財閥に勝っているが、民度の低い日本では、財閥支援の自民党が優位に立つ。


 貧乏人は政治とは無縁だった。この大きな壁をぶち破ったのが、山本や野原である。山本の功績は大きい。彼らが民意を体現している。


<年金福祉と消費税なしの平和軍縮反自公維勢力の大結集>

 次期衆院選挙が、新たな流れとなって、財閥と宗教・労働貴族の勢力を駆逐する、そうしなければならない。そこまで日本は落ち込んでしまった。

 年金福祉充実の日本にするためには、平和軍縮路線にギアを切り替えないと、そのための金が生まれてこない。財閥の400兆円、富裕層から税金として吐き出させるしか、国民は生きてゆけないのだから。そこまで追い詰められてしまっている弱者・貧乏人の日本なのだから。

 侵略の空母「出雲」を海底に沈没させて、帆船日本丸にするのである。自然のエネルギーで航海する日本にするのである。これこそが安全航海の秘訣である。台風が来たら、錨を下ろして通過するのを待てばいい。それだけのことである。日本国憲法の前文と9条を死守した日本丸である。


<日米対等路線=沖縄の基地撤去と北方領土返還>

 帆船日本丸は、自立する日本、独立国の日本である。

 沖縄から基地を撤去するのである。日米対等の日本である。軍事同盟の日米安保を、経済的な同盟に切り替えればいい。財閥が抵抗するだろうが、民意はこれを駆逐するはずである。

 沖縄を平和の島にすれば、ロシアは北方領土返還に応じてくれるだろう。抵抗すれば、国連の舞台で解決可能だろう。ロシアは応ぜざるを得ない。帆船日本丸は、徹底した外交重視である。武器弾薬否定国家を貫いてゆく。ここが重要である。

 国際社会や朝鮮半島、大陸の人々も、日本丸を評価するだろう。人口減は悩ましいどころか、願ってもない日本改造を約束してくれる。


<東アジアに平和と安定確保の希望社会実現>

 日本による侵略と植民地支配をした南北朝鮮の人々に対して、日本人は永遠に謝罪してゆく責任がある。ことほど責任は重い。過去を正当化しようとした自公政権の下で、日韓の対立が起きている。大義は日本にない。

 過去に欧米列強の侵略と植民地支配を受けたアフリカ・中南米諸国も、彼らに味方するため、歴史の正当化は悪魔の所業でしかない。

 帆船日本丸にアジアどころか世界の人々が、信頼を寄せてくれるだろう。各国にも帆船国が拡大するだろう。希望の日本・アジアとなろう。


<福田康夫・鳩山由紀夫・細川護熙らを擁立・受け皿に>

 反自公維の勢力結集の受け皿・帽子をどうするか。

 適任者は福田康夫・鳩山由紀夫・細川護熙らのうち、健康な人物を擁立するのである。日本列島救済の奥の手は、受け皿を人々に示せば可能なのだ。

2019年7月25日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)

野原善戦と信濃町激震<本澤二郎の「日本の風景」(3384)

<善正21万、ナツオ81万、公明653万>

 消費税10%の大増税と危機的な年金制度という、政府与党にとって致命的な悪材料下での参院選を圧勝したアベの自公連立政党は、いよいよ研ぎすませた鋭い牙を向いて平和国民に襲い掛かるのであろう。表向き、例によってブレーキを踏むようなポーズのナツオだが、それを信じ込むほど有権者は愚かではない。

 ともあれ、沖縄から忽然と東京に飛び出してきた三色旗の野原善正が、21万という大量の得票を得たことに、自民党本部職員・国会議員秘書・大臣秘書官、そして自ら出馬の経験のある御仁が、野原の戦果に驚愕した。野原大善戦である。


 議席は増やしたものの、公明党は757万から653万と大激減、1771万の自民も大きく落ち込んだ。自民の得票率はわずか17%程度。それでいて議席は38%。自公圧勝の中身は複雑だ。選挙制度の恩恵を受けた自公の議席確保である。


 事前に東京ドームに10万人集会を実施したナツオにしても81万、これは首都圏どころか全国の公明党創価学会の実力である。公称700万世帯の化けの皮が、改めてはがされてしまった。


<新聞テレビに無視された中での野原選挙の大ハンデ>

 ナツオの方は、公明党代表として新聞テレビで宣伝することができたが、野原は全く違った。筆者は山本太郎信者が、You Tubeをネット送信してくれたので、実に分かりにくい名前の「れいわ新選組」の様子を知ることができた。

 こうしたことをほとんどの創価学会員は知らない。第一、反ナツオのヨシマサのことさえ知らない会員ばかりだった。


 新聞テレビが無視した。一部に大金を集めた山本を報道しても、そこにいる池田親衛隊の野原のことを伝えようとしなかった。新聞テレビは、官邸と信濃町の金力に配慮した。

 しかも、野原が口にした「人間革命」とか「師弟不二」ということも、多くの聴衆は知らない。「今の公明党創価学会は、池田先生の教えとは真逆のことをしている」という野原の叫びさえも、山本集会に参加した人たちは理解できない。

 「せいぜい古参のインテリ学会員は理解できるが、人間革命を読んでいない一般の会員は池田の教えを知らない。そんな中での野原の選挙戦を考えると、それでいて21万の得票は大善戦だ。本当に驚いた」とはオリーブの木を支援していた選挙通の声である。

 野原大健闘であろう。平和を愛する国民は、野原の勇気に敬意を表すべきであろう。公明党創価学会の「戦争傾斜」に震え上がっていた大衆にとって、実に感動的な野原選挙だったのだ。

 

<池田親衛隊浮上は幻ではなかった!>

 特定秘密保護法は、戦争屋が興味を示す第一歩である。国家主義者が狙う危険な悪法である。以前はスパイ防止法として浮上したが、これは白川勝彦ら自民党リベラル派によって阻止された。


 まさかこんな悪法が成立するだろうか?大いに疑問を抱いた国民は多かった。2013年のことである。これが容易に成立してしまった。原因は公明党の国交相・太田ショウコウが、率先して支援したからである。


 この場面で、木更津市の栄養士のKT子さんが声を上げた。池田大作の教えとは真逆の、悪法に手を染めた太田を「裏切り者」と断罪したのだ。おそらく沖縄の野原も同じ思いであったろうが、この時点で公明党に反撃を開始したのは、池田を心酔するKT子さんが一人立ったことになる。


 彼女の勇気を知って、以来、うさんくさいと感じてきた太田の動向を注目するようになったジャーナリストである。中国の友人らにも警鐘するようにした。彼女は、戦後50年の1995年の南京・盧溝橋の日中友好平和の旅計画に一緒に参加してくれた同士でもあった。松村謙三と周恩来と池田大作の友情を、信じて疑わない平和主義の戦争遺児でもあった。中国蘭の収集家だった松村のことを、清和会OBが教えてくれた。彼らは心の美しい人間だったのだ。


 翻って、木更津港にたたずむ母親が帰ろうとすると、二歳の遺児は「おかあちゃん、お父ちゃんが帰ってくるから、もうしばらく待っていようよ」と戦争未亡人の袖を引いて、岸壁の母を泣かせたKT子さんのことを、最近学会関係のの本で知ったばかりである。


 無念にも彼女は、デーサービス「かけはし」のオーナーであるやくざ浜名の歯牙にかみ砕かれて、4か月後の2014年4月28日、木更津市の君津中央病院で亡くなった。腐りきった池田のいない創価学会事件である。創価学会やくざ経営の介護施設に政治が関与していないのか?日本共産党もようやく関心を示し始めた?


 池田親衛隊は、この悲劇を注視、取り上げるはずである。はっきりしたことは、野原の今回の勇気ある行動によって、池田親衛隊は幻ではなかったことになる。多くの創価大学OBやまじめな池田信者が、親衛隊を形成して、太田ショウコウやナツオの監視を強めるだろう。


 公明党創価学会の凋落は、アベの地位を弱体化させる。参院議長人事から、内閣・党人事では、自民党の内紛が表面化するだろう。

 日韓の激突、日朝関係の攻防戦とワシントンからの農産物攻撃がまもなく表面化する。日本農業切り捨てが自民党内に争いを巻き込むだろう。

 10月からは、途方もない10%消費税が強行される。日本経済は確実に沈むだろう。総選挙では、池田親衛隊がさらなる大掛かりな隊伍を組んで、ナツオに襲い掛かる。


 総選挙では、池田親衛隊から野原以外の勇気ある新選組が抜刀して太田とナツオに刃を向けることになる。戦国時代さながらの内憂外患の日本とアジアで、経済と年金危機は、むろん財政を窒息、破綻させてゆくだろう。

2019年7月24日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)

悪の華<本澤二郎の「日本の風景」(3383)

<どうなる憲法冒とく首相の次なる謀略>

 主権者である日本国民は、今回の参院選で、特定秘密保護法・戦争法制・共謀罪を強行した自公政権を圧勝させるという意思表示をしたことで、2019年危機は本物になってしまった。他方で、温泉気分で「ゆでガエル」になってしまった人々は「3分の2に届かなくてよかった」と安どしている。この認識は政治を知らない人間の楽観論でしかない。


 岸信介がどんな人物かさえも知らない世代が増えていて、しかも歴史を学んでいないために、歴史は繰り返されようとしていることに、国民の警戒感はすっかり薄れてしまっている。

 しかし、岸の孫の安倍晋三は、参院選後の記者会見で「与野党の枠を超えて、(改憲に必要な)3分の2を得られるよう、これを練り上げていきたい」との大本営作戦を、進んで打ち明けている。


<野党議員への買収工作本格化で3分の2確保>

 これは堂々の中央突破作戦である。戦争国家への野望は、7年以上前からだが、いよいよ本格化させる、そのための自公圧勝選挙であった、とのアベ認識を公然とひけらかしたものである。

 自公維三党の改憲極右勢力は、いまや3分の2議席の大台に手を伸ばせば届く距離にある。数人の不足分は、買収すれば事足りる。安倍の言う「与野党の枠を超えて」という意味である。


<金で動く政治屋ばかりの永田町>

 ネット掲示板には、それなりの情報や判断がちりばめていて、多少の興味をひいたりしているが、所詮はど素人の域を出ていない感情論が多数だ。

 国会議員と政党についての、本性を分かっているとはいいがたい。善人の集まりではない。野心と野望の世界、利権と悪しき名誉の世界である。生き馬の目を抜くケダモノの世界である。


 本など読んだこともない、憲法を知らない獣だらけというと語弊があろうが、当たらずとも遠からずだ。国民の代表者としての自覚のない輩が、特に政権に近い政治屋の中に目立つ。

 金で動く政治屋ばかりといっていい。したがって3分の2の壁は、容易に突き崩せるのである。それが大きければ大きいほど「国民の意思で」との大義を振り回すことができる。

 2019年危機とは、憲法破壊のことである。日本と人類の宝である日本国憲法を破壊すると、この地球から正義が消滅、戦国時代を世界規模で招来させる恐ろしい環境が生み出されるだろう。東アジアだけの問題ではない。

 アジアの平和と安定の基礎は、ひとえに日本国憲法の成果と実績である。このことに日本国民とアジア諸国民は、とことん理解すべきであろう。最近は知らないが、70代以降の中国の学者や言論人は、なによりもこのことに深く留意していたものである。韓国にも、そうした研究者はいるはずである。


A級戦犯の遺言と日本会議のクーデター計画>

 東条内閣の商工大臣ゆえに戦争犯罪人として、巣鴨の刑務所に収監された安倍の祖父・岸信介は、米謀略機関のCIAと連携するや政界に復帰、首相の座を射止めた。このころから新聞は揺らいでしまったのだが、岸は日米安保改定を強行後、国民の怒りと反発で退陣を余儀なくされた。その後は憲法改悪に執念をたぎらせた。

 彼の目標は小選挙区制にあった。幸か不幸か小沢一郎・河野洋平・土井たか子らの努力で、これが細川内閣で実現してしまった。この恩恵を、今のアベ自公内閣は受けている。少数の民意で多数の議席を確保できる、この選挙制度によって、現在の衆院はすでに3分の2を確保、参院もあと一歩のところに来ている。

 武器弾薬国家を志向する1%財閥の悲願は目前なのだ。ゆでガエルは理解不能だろうが、まさに平和を愛する人類の危機といっていい。

 岸の遺言を全面的に支援する神社本庁や天皇教の日本会議の改憲工作は、いわばクーデターそのものである。


<新聞テレビは真実を国民に伝える義務がある>

 最初のクーデターが、公共放送のNHKを懐柔することだった。いまや改憲報道の主体は、読売からNHKに移行して、その破壊力は絶大である。

 繰り返しNHKからのアベ発言と世論操作報道によって、日本国民は翻弄されている。安直な改憲論を口にする若者も増えてきている。今回の自公圧勝も、突き詰めると、NHKの成果というべきだろう。

 放送法に違反するNHKを何とか本来の公共放送に改革するか、それとも解体するのか。今度の選挙で、NHKから国民を守る政党が1議席を確保した意味も大きい。NHK内部に支援者が多い証拠でもあろう。

 国連も警戒信号を発して久しい。

 新聞テレビは、真実を報道する義務が、最低限求められている。2019年危機は、新聞テレビによって、もたらされたものなのだから。

2019年7月23日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)

2019年危機到来<本澤二郎の「日本の風景」(3382)

<自公維の金力戦に敗北したバラバラ野党の自業自得>

 正月以来、2019年危機の到来に警鐘乱打してきたのだが、結果はほぼ予測通りの参院選挙結果となってしまった。166億円の天皇継承費と100億円近いG20、オマケが韓国との対決による排外主義化が功を奏した極右勢力の莫大な金力戦に軍配が上がった。それは形だけの共闘戦略も、実態はバラバラ野党の党利党略選挙が、墓穴を掘ってしまったものである。


 自公維の改憲軍拡戦争勢力は、改憲に必要な3分の2議席に手の届く議席を確保、いよいよ2019年危機到来に、真っ当な国民と隣国の人々は、震え上がることになろう。それもこれも、自由と民主主義を貫徹しない新聞テレビの偉大な貢献を忘れてはならない。そのための5割に届かなかった低投票率が、改憲軍国派に莫大な塩を送ってしまった。



<大増税と年金危機を生かせなかった党利党略>

 増税選挙では、選挙には勝てない。10%消費税の大増税で、日本経済は底が抜けるわけだから、政府与党がこれで選挙戦を戦えることなど想定できなかった、が従来の選挙通の認識である。

 同じく年金生活を危機的状況に追い込んでいる現状を、有権者に納得させることは、これまたほぼ不可能である。


 野党が一本化して、100万人集会を敢行すれば、無党派の山を突き動かすことができたのだが、それを具体化できなかった党利党略のバラバラ野党に終始してしまった。

 加えて、1人区での野党共闘は、実態が伴っていなかった。複数区での共闘など彼らの眼中になかった。


 筆者は、昨日はいつもより早い9時過ぎに投票した。若者はいない。昼過ぎから、友人に誘われて清見台混声合唱団第16回定期演奏会に出かけた。音楽会無縁の人間なので、満足できるのか、怪しいものだった。

 予想が的中した。モーツァルトの宗教音楽だ。騒音でしかなかった。わかったことは、失礼ながら、歌を歌っている30人ほどの老壮男女は、それこそ持てる声を振り絞っている。つまりは歌い手にとって、最高のストレス解消策である。

 聞き手は美しい音楽を理解できるが、高級すぎる?曲は公害でしかない。聴衆と演奏者の乖離は甚だしい。日本の政治も同じではないか。

 友人に選挙のことを聞くと、普通の反応を示した。「家族に山本太郎のれいわに投票したい、というと、当選しない政党にいれてもだめだと止められてしまった。どこに入れていいやら全くわからない」と悲鳴を上げた。「是非ともれいわがいいよ」と推薦してあげた。投票したのかどうか?

 いえることは、これが庶民・大衆の政治意識なのだ。他方で「地元の議員は世話になったので」といって、やくざ代議士秘書だった市議の名前を挙げた。「やくざ関連はよくない」と言ってあげたが、悲しいかなやくざアレルギーがない。やくざが議員になってしまう土壌が存在する日本なのだ。レイプ文化の日本を象徴している。


 音楽会は君津市文化ホールで行われた。少し早めにつくと、展示会場で書家の米寿記念書展が開かれていて、来場者に「令和」を書かせていた。「令は命令、軍国主義の平和なのでNO」といって、素直に平和と書いた。記念に持ち帰った。まずまずの平和文字には満足した。


 言論が衰退すると、日本の民主主義が弱体化する。選挙結果はその通りとなってしまったため、政治や民主主義に無知な多くの日本人が、再び歴史の逆転に棹差していることが怖い。


<権力服従言論に眠る無党派の山>

 敗戦後の日本は、それ故に政治に活力が見られた。歴史を正当化する輩は、新聞で叩かれてしまう場面が多かった。いまその新聞と連携するテレビが、権力監視という大事な役割を喪失してしまっている。


 言論人のはずが、首相の官房機密費という血税に媚びへつらってしまっているのである。筆者の時代にはありえなかった事態である。権力に屈する言論は、もはやジャーナリズムではない。


 言論が腐敗すると、多くの国民は盲目の世界に追いやられてしまう。2019年危機は、そうして到来したものである。


 無念だが、ドイツはうらやましい。フランスやポーランド、イギリスなど欧州の国の人々も、ドイツ政治を監視してくれるため、日本のような事態は起きない。

日韓対決は、その逆の現象である。政府はそれを悪用して恥じない。


 朝鮮半島の人々の無念を押しつぶすことが、現在の日本の言論の主流となっている。3分の2議席に手が届く場所につけた安倍晋三と山口那津男と維新にとって、そして背後の1%財閥は笑いが止まらないだろう。極右団体の日本会議の次なる駒はどう動かすのか。

 2019年危機とは、無党派の山が動き出すときは、もう手遅れになるのかもしれないという危機である。東アジアも大変なことになろう。自衛隊のホルムズ海峡派兵もそこまで来ている。


 南沙への常時派兵も具体化するかもしれない。むろん、竹島にも。反対する国民には、特定秘密保護法と共謀罪が準備されている日本である。自公政府の偉大な実績が、ばく進するかもしれない。


 ああ日本、ああ東アジアよ!民意が反映されない選挙結果に「悪法も法なり」という言葉が脳裏に浮かんできた。

2019年7月22日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)


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