呪われた財閥政治<本澤二郎の「日本の風景」(3374)

<アジア蔑視の歴史の改ざんー従軍慰安婦ー徴用工問題噴出!>

 歴史は直視しなければならない。過去に自民党清和会議員の中には「朝鮮の植民地支配でいいこともあった」と暴言を吐いて、大臣を首になったものもいたことを記憶している。ちなみに自民党は、歴史を直視する戦後派と反対の戦前派が合同して誕生した政党である。いま前者は消されて改憲一色となってしまい、スポンサーの財閥1%が事実上支配している。霞が関では、財務省に代わって経済産業省が前面に出たことから、財閥のためのアベノミクスや原発推進論が台頭、崩壊に向かっている。しかも、福沢諭吉のアジア蔑視の清和会政権が、森喜朗ー小泉純一郎ー安倍晋三と長期間継続して、隣国との厳しい対立を表面化させてきた。現在は中国から韓国・北朝鮮へと矛先を移している。


<過去を正当化する財閥傀儡政権>

 過去を正当化する財閥長期政治の下で、まさにそれゆえに従軍慰安婦問題を大きく表面化させた。朴前政権の下では、ワシントンの圧力を利用して、いったんは合意にこぎつけたものの、韓国の国民と野党は逆に反発を強めた。その後の政権の交代で振り出しに戻ったものの、清和会と財閥のおごり高ぶった極右政治は、事態の深刻さを直視せずに強行、その結果、新たに徴用工問題を噴出させた。これを裁判所が、当然のことながら受け入れて、戦前を引きずる日本財閥は窮地に立たされてしまった。


 かくして財閥政権は、韓国に報復措置を取り、そのため、もはやにっちもさっちもいかなくなってしまった。自業自得の財閥傀儡政権である。清和会OBは「在日の40万の票は反自公に流れる」と分析している。


<36年植民地支配の怨念計り知れず>

 東アジアは、小泉内閣の相次ぐ靖国参拝問題から、今や安倍内閣下、従軍慰安婦と徴用工問題で、報復という恐ろしい貿易戦争にまで発展、新たな抜きがたい不信の火種を抱えてしまった。根源は、すべて歴史を直視しない財閥傀儡政権ゆえであろう。

 日本に大義はない。国際的評価は最低・最悪である。新聞テレビが、こうした現状を冷静に伝えないことが、日本を窮地に追い詰めている。


 ドイツとの落差である。ドイツでは、隣国とのこうした深刻な対立は皆無である。久しくドイツは、欧州の代表となって世界政治を主導している。賢明なドイツの1%を印象付けていよう。

 日本の財閥1%のおごりは、福沢諭吉レベルであろう。とりわけ福沢のアジア蔑視は朝鮮半島の人々の精神を破壊してきた。今も1万円札は福沢なのだから、この国の為政者の本質をあぶりだしている。


 そもそもは、中国も南北朝鮮も日本文化の源流である。日本人として尊敬すべき対象であろう。ましてや安倍夫妻など、半島にルーツを有する日本人は多い。大事な先輩国である。歴史を学べ、といいたい。

 そこでの侵略と植民地支配ゆえに、その怨念は計り知れないほど大きい。半島の人たちを蔑視する日本人の気が知れない。


 平和軍縮派の宇都宮徳馬は、実父朝鮮軍司令官の太郎に「お前は決して朝鮮人を馬鹿にしてはいけない。文化は日本より、はるかに高い。大きくなったら朝鮮の女性と結婚しなさい」と言われた。太郎の慧眼に感服するばかりだ。


<文政権は歴史を重視する国民の政治>

 38度線は日本の植民地支配が元凶となった結末であって、依然として日本の政治責任が消えることはない。深く反省していかねばならない。

 この政治的な境界線が、韓国に長く軍事政権を可能にさせてきた。このことに棹差した最初の政治屋が岸信介である。宇都宮徳馬は生涯、岸を許さなかった。

 朴前政権は、軍人大統領の娘であることの制約を受けていたが、現在の文在寅政権は、文句なしの非軍事政権・民主政権である。三権分立を重視する民主政権と、波長が全く合わない日本の極右政権の対応は、今回の報復措置に、説明を求めてきた韓国政府の代表に、経済産業省は倉庫のような狭い会議室で応じた。


 外交的儀礼を失するもので、日本国民に恥をさらしたもので、怒りを覚える。トップの世耕は安倍側近で知られる。安倍の意思を霞が関に押し付けたもので、情けない。

 空母「出雲」の故郷の出雲空港への、韓国のチャーター便が打ち切られた。韓国の世論調査会社の最新のデータによると、日本に好感を持っていない国民は、77%に膨れ上がっている。


<南北和解は歴史の趨勢>

 他方で、朝鮮半島の情勢は天地がひっくり返るほど変化が起きている。なによりも好ましいことは、南北間の軍事的衝突がなくなったことである。人々は安心して暮らせる。


 極端な変化は、日本の財閥傀儡政権が想定さえできなかった米朝対話が、繰り返し行われていることである。しかも、非核化に向けてというのだから、これはすごいことである。

 時期はともかく、金正恩をトランプがホワイトハウスに招待したのだから。両者が38度線をまたぐという場面を、誰も予想できなかった。東アジアは激変している。いい方向に、である。


 日本は完全にそこから見放されている。過去を正当化する財閥傀儡政権ゆえである。

 北朝鮮の素晴らしい点は、民族が勤勉で清潔であることだ。ここに経済投資をすれば、あっという間に北朝鮮は、爆発的に経済成果を手にするだろう。誰もが投資の機会を狙っているが、その一番手がアメリカである。

 鉱物資源が豊富であることも、欧米諸国の経済界に魅力的である。中国・ロシア・南北朝鮮の東アジアの繁栄は、火を見るよりも明らかなのだ。


<北朝鮮が歴史の表舞台に立つのは時間の問題>

 かつて世界の中心は、大陸の中国だった。中国の高い文化を取り入れた半島の文化も豊かで繁栄を、人々にもたらした。

 天皇族はもはや疑いの余地などない。半島から日本に渡来したもので、身に着けた服装などすべてが朝鮮からのものである。

 天皇陵墓を開くと、そのすべてが証拠の品々といえるだろう。朝鮮と日本は文化的にも民族的にも一体である。現在のアベ内閣の経済的報復など、異様で論外である。

 いよいよ北朝鮮が、東アジアで檜舞台に立つ時で、それは歴史の趨勢、時間の問題であろう。


 日本は侵略戦争で敗北した。そこで手にした平和憲法を大事にする政府を誕生させる責任が、これまで以上にある。アジアの平和と安定の基礎だからである。

 財閥のための武器弾薬などいらない。日本国憲法はアジアと世界に公約したものだ。帆船・日本丸が安全航海を約束させる。空母「出雲」はいらない。それよりも消費税ゼロにして、消費を促し、年金で暮らせる日本にすることが、2019年危機を回避する手段であろう。

2019年7月14日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)