混迷の公明党<本澤二郎の「日本の風景」(3341)

<永田町の生き字引と元公明党市議の対話>

 皇位継承やトランプ大接待のいかさま報道に助けられて、なんとか内閣支持率を維持している安倍晋三だが、参院選大勝利を確実にするためには、票集めの宗教政党の体調いかんが決め手である。その公明党と創価学会という政教一致の違憲集団が、相当混迷のさ中に追い込まれていることが、事情通の報告で判明した。永田町の生き字引と元国会議員秘書から長く公明党市議を歴任した公明党員とのやり取りから、組織の底が見えてくるようなのだ。

<「先輩、公明党はどうなっているか」と不安質問>

 岡山県の元地方市議は、4年前に引退した。池田路線の平和主義を放棄して、アベ・国家神道の靖国派と提携した太田ショウコウ・山口那津男の公明党本部に衝撃が走って、もう6年以上も経っている。


 まもなく参院選挙だ。総選挙の可能性がある。老齢化した宗教組織の信者にとって、ただでさえ参院選地方区と比例区の区別さえ混乱の種だ。そこに衆院の選挙区と比例区が重なると、だれかがそばについていないと、目標の候補者に投票することもできないらしい。

 公明党が同日選に反対する理由となっている。この現状をどう判断するのか、アベの悩みでもある。五分五分の同時選挙と、やや下火になっているようなのだが。

 当の公明党は、2013年あたりから平和党を完全に放棄して、安倍に従属して戦争党に変身した。永田町の生き字引に相談の電話をしてきた元市議は、そのことで衝撃を受けて、地方議会を引退したらしい。だからといって公明党に反旗を翻したわけではない。なんとか再生を願っているというが、ストレスはたまったままだ。


 「先輩、ご無沙汰してますが、信濃町の様子はどうですか。何か明るい材料はありませんか」

 彼の質問を分析すると、信濃町の公明党本部と創価学会本部の様子がまるで分っていないことがわかる。秘密主義は相変わらずの宗教政党といっていい。

<「もう、どうにもならんよ」にため息>

 池田大作が立ち上げた公明党は、仏教の平和主義を基礎にして創設しもので、創価学会の政治部門に過ぎない。しかし、池田の体調が悪化すると、

公明党が権力を乱用して、創価学会を操作する事態になった。こうして今は、太田ショウコウがアベの腰ぎんちゃくとなって、違憲違法の戦争法制を次々と強行した。反池田政策である。自衛隊参戦法に多くの国民は驚愕したものだが、その前の特定秘密保護法について反発する信仰者も多かった。声を上げたのは、たった一人、木更津市の戦争遺児のKT子さんだった。


 たった一人の反乱だったが、池田の人間革命なる宗教小説を読んだ婦人部を中心に、あたかも燎原の火のように日本列島に燃え広がった。KT子さんは、無念なことにやくざ浜名にレイプ・性奴隷の挙句に殺害された「木更津レイプ殺人事件」の被害者だ。おそらく、創価学会史を飾る悲劇として記録されるだろう。犯人も共犯者も判明しているが、やくざに甘い千葉県の捜査当局は、公明党創価学会の出方を見ているようで、まことに情けない。


 「太田ショウコウは裏切り者だ。池田先生は決して許さないッ」というKT子さんの叫びは、いまや創価学会婦人部も共有している。当の太田は、それでも自身の身を守るために、公明党の定年制を破って生き残りを図っている。

 「太田と池田の決戦は、まだ勝負がついていない」といっていい。


 要するに、平和主義の池田党は、太田や山口に乗っ取られて、結果、極右勢力に塩を送ってしまい、それが混乱・混迷の原因となって、信濃町を覆いつくしてしまっている。もはや「どうにもならん」ような深刻な事態なのだ。

<「原田の沖縄行きに反発した池田信者」に致命的な混迷原因>

 沖縄の知事選が、信濃町を直撃している、と永田町の生き字引は、分析している。それはKT子さんの怒りの延長戦で起きたものだ。


 「沖縄は、池田の人間革命本の冒頭を飾った戦争否定に出発点がある。これに沖縄の池田信者が決起したもので、原田ごときが説得出来ようはずがない。余計に油をかけてしまった」

 「なぜ原田は道を誤ったのか。官邸の安倍と菅の意向を受けた太田や山口に押し切られ、それを谷川が突き上げて、原田は池田道を踏み外してしまったものだろう。信濃町の公明党と創価学会の首脳部が、池田を葬り去ろうとしたわけだから、もうどうにもならない事態に追い込まれてしまったものだ」


 以上の解説に対して地方の元市議は「いわれるように、事態は確かに深刻そのもの。なぜ原田が沖縄に入ったのか。理由はわかりました。内部でも、これが大問題という情報は、私の耳にも薄々届いてますよ」と応じた。

<「選挙・選挙で功徳なしに反発が」と嘆く元市議>

 KT子さんもそうだったが、年中、選挙に縛られて、自由な生活を拘束されていた。彼女の娘婿が公明新聞幹部だったことから、公明新聞まで読んでいた。自宅の塀は、戦争未亡人の母親の代から公明党の宣伝ポスターが数十年も貼られていた。

 ある意味では、これが女性一人の生活の防波堤だったのだが、例のやくざには効果はなかった。彼も同じ信仰者だったのだから。


 「ともかく学会員は、年中、選挙で忙しい。市議選から県議選、そして国政選挙もあるので、自由な時間などない。信仰する時間もない。こんなに選挙ばかりやっていると、信心する時間がない、と反発もすごい」と元市議は口を滑らせたようだ。

 生き字引は「いま党本部と学会本部では、参院選一本に絞るべきだ。衆院選は止めなければならない、という声が台頭してきている。選挙をしても功徳が出るわけがないので、これは大きな力となってきているようだ」と指摘した。


 本来は、政教分離原則からすれば、選挙は個人の自由に任すべきである。教団が政党を組織して政治活動をすることは、憲法が禁じている。「信教の自由に徹することが好ましい。戦前の国家神道が侵略戦争の原動力だったことを考えると、政治から手を引くことが好ましい。重大深刻な問題は、その先にあるので、いつか話す」といって電話を切った。


 外交失態が続くアベは、イランを訪問して国会を留守にする。アベのストレス解消法の一つであるが、妙案があるわけではない。単なるメッセンジャーボーイに過ぎないのだが、会期末を留守にできることが、史上最低首相の心臓の健康にプラスすることは間違いないだろう?


 国民は年金について、真剣に考える必要があることを、昨日の参院決算委員会で悟らされた。多くの国民は、2000万円預金にうなされる夜になるのだが、比例してワシントンの不動産王は、問題のF35やミサイルの押し売り成功で笑っている。

 これも戦争党のおかげである!

2019年6月11日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)