3分の2議席の恐怖<本澤二郎の「日本の風景」(3337)

<史上最低の首相=歴代3位の長期政権がまだ続く>

 2019年6月5日でアベ史上最低の内閣が、伊藤博文と肩を並べたと報じられた。この国の置かれている厳しい現実と、これが継続されるとの恐怖を裏付けて居ようか。肯定できる何物もないが、それを可能にした民度・議会に3分の2議席を与えた主権者に、ツケは回ることになる。国民の資質いかんで、民主主義は暴政へと変質する。そのことで、日本の前途に希望は消失して、暗闇が覆ってしまっている。

 犯人は3分の2議席にある。それゆえに、安倍晋三という長州は田布施の人間が、明治のさび付いた刀を腰にぶら下げて「富国強兵」にいそしんでいることに、肝心の国民は、まだ気づいていない。そんな日本人が半分もいるという世論調査結果である。

<財閥向けの大軍拡政治で借金の山>

 人生は無情である。昨日は、横浜の友人のお通夜に行ってきたという知り合いの悲しい話を聞いた。若くして離婚した50歳の美貌の女性が、風邪からばい菌が脳に入って、それが原因で亡くなったという。残された幼い女の子の運命も厳しいだろう。


 市民は無理して働いている。働けど働けど暮らしは楽にならない無数の民が存在しているのだが、そこに政治の光は当たらない。

 政府による血税は、1%の財閥向けである。その一つが輸出品には消費税がかからない。支払った消費税が戻ってくるため、財閥輸出業者は毎日がボーナスである。そうして500兆円を貯めこんだ。

 極端な例が、財閥向けの武器弾薬購入による戦争準備である。隣国との戦争向けだから、これは本当に恐ろしい。明治と同じ大軍拡路線である。そうして天文学的な借金が、さらに膨れ上がって、人民大衆の生活を困窮させている。

 格差の拡大は、貧困の増大である。貧困は年金生活者だけではない。この苦しみを年収2000万以上の国会議員や最高裁、NHK・朝日・民放の高給取りは理解できない。

 貧困層を取材している報道が極端に少ない。それは棄民化した東北の民にも言える。

<国民生活にはそっぽ向くアベ自公政権の独裁と暴政>

 武器弾薬にのみ興味を示す田布施の首相は、民のカマドに関心などない。ご自分は、毎日血税を使い放題で、毎夜美食に酔いしれている。それでも、この国の民は、目を吊り上げようとはしない。

 物価は高い。財閥のために年金と日銀が株を買い占めて、株価を支えているアベ政治だから、財界の不満は皆無だ。


 我が家の近くには、70代の夫婦は今も働いている。息子夫婦も。最近になって、さして立派でもない家のローンを払い終わったという。しかし、働いている。老後の預金をわずかでも貯めようと、小柄なおばあさんは、介護施設で70キロの高齢者の面倒を見ながら働いている。

 わずかな収入のために、夜働いている母子もいる。息子とは会ったことがない。自衛隊員と離婚した女性も働きに出ている。時々老いた両親が家の面倒を見にきている。

 幼い二人の娘を置き去りにされた友人の息子は、子供のために現在も独身だ。成長した娘さんが庭に出ている姿を見たことがない。

<病んだ社会の5・28川崎殺傷事件>

 とことん病んでしまった日本社会で、若者の目が輝く様子を見ることは少ない。そこでは至る所で、いじめ・差別がはびこっているのだが、まじめな人間ほど抵抗力は少ない。

 窓を大きく開けて彼らを受け入れてくれる家庭・地域・企業も少ない。どこに飛び込んでも、ノルマが課せられて、これにまじめな人間ほど耐えることができない。

 自殺願望者の氾濫である。中には、少しでも世の中に事態の深刻さを知らせようとして、列車に飛び込んだ。サリンを製造し、使用したオウム事件は何だったのか。

 そして5・28川崎殺傷事件である。犯人はその日の早朝、すっきりとした口調で隣のおばさんに対して「おはようございます」とあいさつして、犯行現場へと躊躇なく向かった。彼にとっての「死への旅立ち」は、健康な人間のすることではない。この国の闇が事件の背後を押し包んでいる。単なる引きこもりではない。そのことを、真正面から受け止める政府ではないことも判明した。

<公明党創価学会の偉大なる成果>

 それでも史上最低の内閣は続く。理由は3分の2議席にある。それを可能にした犯人は信濃町である。主犯は太田ショウコウである。「木更津レイプ殺人事件」の被害者・美人栄養士のKT子さんの2013年12月の叫びだった。

 太田が、安倍の腰ぎんちゃくとなって戦争法制を次々と強硬した。それを支援した山口那津男の公明党だった。そして戦争法制を受け入れた創価学会首脳部だった。

 この絶大な実績と成果が、現代史から消えることはない。

<野党と言論界の重大責任>

 そして問題なのは、これと真っ向から対決しなかった議会、特に野党の無責任にある。それに追従した言論機関は、いま国連からも指弾される有様だ。

 信濃町の大きな壁、無力の野党、そして権力に屈した言論が、この国を沈没させている。結果として史上最低の政権は、さらに延命して、日本と世界の宝物である平和憲法に襲い掛かる!


 深刻な事態の幕開けも近い。それでも議会・言論・国民は覚醒しないのか。1万トンの麻薬・覚せい剤が日本列島に密輸されるやくざ大国のまま、衰退を繰り返すことになる。情けない。涙もでない。

 それでも平然として、史上最低の政府を支えていくのは、間違いなく悪魔である。悪魔の所業であろう。

2019年6月7日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)