皇室の民主化を急げ!<本澤二郎の「日本の風景」(3302)

<元外交官・雅子皇后と秋篠宮に期待が集まる>

 4月30日に平成天皇が引退、5月1日に皇太子が新天皇になり、同時に令和が始まったが、ともに2019年で、あとはすべて同じ流れで、何も変わっていない。

 憲法の象徴天皇が、平和的に交代した、ただそれだけのことである。それに166億円の予算を投入した、このことに貧困社会の民衆が反発を強めて当然であろう。

 戦後最悪の極右政権の、皇室政治利用は極まっている。すでに令和と決めた過程で、憲法違反を指摘する専門家もいる。訴訟事になるかも。重大深刻なことは、主権者が油断すると、2019年危機が表面化、日本は戦争国家へと突き進む。その勝敗が、数か月後の衆参同時選挙で決まる。

 それはまず棚上げにして、皇室の新体制にまずは、国民を代表して、皇室の民主化を急げと、強く要望したい。幸い、元外交官として国際情勢にも明るい雅子皇后、憲法の政教分離原則を重視する秋篠宮に、皇室改革の期待が集まっている。宮内庁役人の時代認識・意識改革も不可欠である。

<宇都宮徳馬さんとの思い出の会話>

 昭和天皇の終わりごろか、平成の初めごろか、平和軍縮派で、反岸の急先鋒で知られた宇都宮徳馬さんと、天皇問題の在り方について、よく意見交換したものである。

 彼の実父、佐賀藩の陸軍大将・宇都宮太郎は、岸信介らが服従傾倒した長州の山形有朋に対抗した人物で知られる。有名な朝鮮半島の3・1独立運動では、現地の軍司令官として、東京からの「発砲命令」を封じ込めた、今でいう民主派・開明派のリーダー格でもあった。

 

 この場面で、参謀本部の指令に従っていたら、想像もできない悲惨な歴史が永遠に続くことになったろう。彼が軍事行動を阻止した最大の理由は、朝鮮民族の優秀さと文化の高さであって、それは明治以降の財閥政治をリードした福沢諭吉と正反対だったためだ。

 宇都宮さんは「うちの親父から、お前は大人になったら、朝鮮人の女性と結婚しなさいといわれてきた。ずっとそう思ってきたよ」と語っていた。

 宇都宮大将は、若いころの昭和天皇の養育係もしていた。父親から皇室の閉鎖性を教えられてきたものだから、戦前の天皇制を引きずる、戦後の皇室の民主化の必要性を強調するのが常だった。

<英王室レベルに開放的な皇室へ>

 大将はイギリス勤務の経験者だ。このころ、ロシアの革命派を支援していた明石大佐と連携していたことが、彼の遺産文書から明らかとなっている。また、中国革命のリーダーである孫文との交流も参謀時代の仕事だった。

 清朝にテコ入れする軍閥・山形とは、この面でも対立していた。世にいう開明派のリーダーでもあった。新天皇もイギリス留学経験者と記憶している。

 

 「せめてイギリスの王室レベルにならなければ話にならない。今のような檻に閉じ込められているような生活はかわそう過ぎる。精神がおかしくなる」と強く指摘していた。

 皇室の民主化は急務である。その点で、皇室の新体制は、これを実現するための布陣が確立した、と思いたい。

 閉じ込められた皇室から開かれた皇室に代わるべき好機でなければならない。議会の覚醒も必要である。極右・日本会議に振り回されてはならないだろう。

<憲法の国事行為に徹して、非公的な私的市民生活享受を>

 息苦しい生活などだれも欲しない。皇室も普通の人間である。普通の人間のような生活をする皇室を、主権者である国民も理解している。

 

 象徴天皇の役割は、非政治的なものである。その限りで、憲法は国事行為を具体的に列挙、それ以外は不要である。ここは厳格に守ることを、憲法は厳しく要求している。

 宮内庁の任務でもある。同庁の役人は、その点で、国民が厳しく監視をしていることを忘れてはならない。

<宗教行為は私的なもの、国家神道排除に徹せよ>

 166億円の使い道は、主に皇位継承に伴う宗教的行事のことであろう。憲法は20条で、これを厳しく戒めている。安倍の小僧をまねての神社参拝は、私的に行われねばならない。

 国民は、戦前の天皇家が莫大な蓄財をしていたことを知っている。宗教のための私的な行為は、血税使用は憲法に違反する。この点について、天皇皇后と秋篠宮三者の思いは、同じであろうから、戦前の国家神道を引きずることは禁じられている。宮内庁の意識改革を求めたい。

 

 今回の行事の中に、亀の甲羅を焼いたという占い行事に驚愕した国民は多い。そもそも「お祓い」という原始宗教そのものに、国際社会は違和感を抱いている。

 もちろん、当人がそれを私的に行うことを、憲法は禁じてはいない。

 ただし、戦前の侵略戦争は、国家神道と教育勅語による国民統制が、根本にあったという事実を考慮すると、ここは誤解を与えるような宗教行事は控えたほうがいい。この点で、開明派の雅子皇后の役割は大きい。彼女はもう、昔のひ弱な女性ではないはずだ。

 国民は彼女を強く支持するだろう。

<悪しき官邸の政治利用には声を上げよ>

 安倍晋三の声を、御用新聞が取り上げたらしい。反吐が出る思いをする国民は、これまた少なくない。田布施・極右の安倍にむかつく国民は、ぐんと増えている。

 嘘の名人に辟易している国民は多い。しかも、彼は皇室利用に長けた首相として、歴史に刻まれ、断罪されるだろう。「令和」元号を決めるという暴走に腹が立つ。

 

 役所に行っても「令和」と書けない、書かない国民が増えるかもしれない。国書からとったという大嘘、大宰府での大友旅人の悲壮な思いを無視していることも、本物の万葉学者が暴いている。

 皇室は、田布施の大陰謀に屈してはならない!平和憲法に違反する破憲内閣に屈してはならない。平和憲法は世界の宝物である!

2019年5月2日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)

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