風景」(3301)

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大樹深根<本澤二郎の「日本の風景」(3301)

<平成最後の戦い=2019年4月30日を忖度すると>

 平成最後の日となった2019年4月30日の退位儀式を、官邸が大好きな忖度をして解説してみると、平成天皇と安倍晋三首相が、真正面から対峙した結果、国民にしっかりと根を張った前者に軍配が上がった。これを大樹深根という。

 我が家の居間に二枚の色紙が飾ってある。その一枚が宮澤喜一元首相の「大樹深根」である。偶然、ネットでの民放テレビの生放送で、宮中での儀式を目撃したものだ。緊張するシンゾウに対して、天皇はやや憮然とした表情を見せていたように感じ取った。清和会OBに言わせると「もうこれっきり小僧の顔を見ることもなくなった。やれやれ」という。「安倍長期政権でなければもっと長く務めたかもしれない」とも解説した。

<憲法順守の象徴天皇と憲法破壊の極右首相>

 この6年間の天皇は、平常心で国務を遂行したとは言えない。ハラハラドキドキの日々を過ごしてきたといっていい。

 第一次安倍内閣では、民主的な教育基本法を改悪した。第二次に入って、公明党創価学会を「下駄の歯」にして、戦争法制にのめりこんだ時点で、強い衝撃を受けた。それは2013年12月の「特定秘密保護法」の強行と、靖国神社参拝だった。

 憲法を尊重し、擁護する義務を果たしてきた「象徴天皇」に対して、これを真っ向から否定、国民を欺いて憲法破壊に突っ走る安倍・自公・日本会議の強権政治にがくぜんとしたろう。

 平成天皇と安倍晋三は、文字通りの水と油の関係にあった。「安倍からの内外政の説明を聞く時が、一番つらかったはずだ。退位は安倍小僧が押し付けたものだ」と清和会OBは断罪した。

<国民感謝に力点、内閣総理大臣感謝は官邸が押し付けた言葉>

 最後の天皇発言を、国民は国民の代表である国会議事堂において、あるいは憲政記念館で思いのたけをぶちまけてほしいと願ったが、天皇の国事行為は「内閣の助言」に従わねばならない。

 その文言も内閣の決めた文言を発しなければならない。官邸は、天皇の口から「内閣総理大臣感謝」を言わせて大満足であろうが、この場の様子を目にした国民は、天皇が心の底から愛した国民、主権者への感謝の言葉だった。

 憲法破壊の安倍の政治利用を突出させた一連の儀式にしても、古代の記録映画を見ているようで、ピンとこなかったが、これまた官邸の押し付けの成果だから、皇室も動きが取れなかったろう。

 この場面で「宗教儀式に公費を使うのは適当でない」との秋篠宮の正論、これまた憲法順守の立場で、天皇の思いでもあった。

 ことほど天皇家は、国民の身近な存在だった。象徴天皇を立派に成し遂げたものである。この立場は、今日からの新天皇も貫くだろう。とりわけ、神社神道を軽視する新皇后に拍手を送ってゆきたい。彼女は、国際常識を身に着けた国際人でもある。

 右翼のバッシングを跳ね返すだろう。国民が支援するだろう。国民は決して右翼ではない。

<皇室の政治利用極まれり>

 それにしても、安倍の、皇室政治利用は、度がひどすぎる。令和なる文字は、安倍の小僧が押し付けたもの、という見方は、世論になってきている。そして、これが国書ではなく、出典は漢籍であることも判明した。

 米トランプ大統領は有力紙のワシントン・ポストによると、もう1万回以上の嘘を発してきたと報じた。安倍はもっとかもしれない。日米トップの嘘競争というのも前代未聞であろう。

 166億円を乱費しての衆参同時選挙圧勝狙いには、世界的不人気のトランプを東京に呼び込むのも、その一つというのだが?

 

 不動産屋丸出しのトランプ人気は、アメリカでもそう高いものではない。国際的にみて評判は良くない。

 

 重大なことは、日本の新聞テレビの報道姿勢にある。NHKに問題がある。

<お茶の水女子大付属中学校の右翼騒動>

 ついでに、解説しておきたい事件がある。お茶の水女子大は聞いたことがあるが、付属の中学校もあるという。そこに皇室の子供が入学している。その机の上に凶器が置いてあった、という事件について、右翼問題に詳しい事情通が、その狙いを教えてくれた。

 「犯人の目的は、右翼として認知してもらうこと。そうなれば、いっぱしの右翼として飯を食っていける。そのためだ」と断定した。素人は、そこまでは理解できなかった。

 「犯人は足がつくように転々と証拠を残した。最後は、自ら警察に垂れ込んで御用。これで大成功」というのだそうな。

 

 我が家のことだが、昨年、自民党本部からもらった楠の大木(樹齢40年)とこれまた枯れてきた杉の大木二本を友人のI君とO君が伐採してくれた。数日前は、父親が将来の家の建築材として植えてくれたヒノキ二本を切り倒した。樹齢55年。大金かけての伐採となった。我が家の大樹深根は、悪政のために二束三文にもならなかった。

2019年5月1日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)