シンゾウの罠<本澤二郎の「日本の風景」(3291)

<萩生田の消費税10%延期は心臓の意思>

 自民党幹事長代行で、二階幹事長のお目付け役の萩生田が、消費税10%10月実施の延期をほのめかして、波紋を投げかけている。あわてて「個人の見解。政府と無関係」と火消しに躍起となっているが、この安倍の茶坊主発言は、安倍晋三の意思である。(アベノミクスが崩壊したので)7月の日銀短観次第で延期するかも、と発言したものだが、これは衆参同時選挙への布石とみていい。

 財界や財務相などの批判で、安倍は仕方なしに大阪の補選応援で「消費税実施」を発言(20日)したものの、そこでは森友事件の籠池夫妻に押し返されてしまった。やむなく「新喜劇」に飛び入り出演して、かろうじて出番を作った。本日の投開票が見ものである。沖縄はあきらめたシンゾウである。

<国民は10月延期、廃止を歓迎する>

 増税を喜ぶのは1%の面々である。民衆はNOである。したがって、こと増税延期政策は、文句なしに歓迎される。消費税をゼロにしたら、消費の経済はよくなる。

 貧困化する日本の国民は、株や東北復興除染、五輪関連で、懐の膨らんでいる者以外は、消費税断固NOだ。物価も暴騰している2019年の選挙でも、二匹目のドジョウは大歓迎、自公与党が圧勝するだろう。

<野党はまた手玉に取られる?>

 このところの野党は、いかんともしがたいほど政治活動が衰えている。3分の1以下という議席配分のもとでさえも、野党は小党分裂している。

 せめて二つの民主党は合同して、与党に体当たりするしかないが、官邸の工作に惑わされて、一本化できずに自ら自己劣化に励んでいる。

 菅直人の一緒になれ、という提言は正論である。

 自由党と国民民主党の合同もとん挫している。共産党から民主党まで野党が一本化しないと、野党は間違いなく壊滅的打撃を受けて、二度と立ち上がれなくなるだろう。

 その結果、アジアに二度目の好戦的な国家主義・軍国主義の政府が誕生することになろう。

<地銀8割倒産か>

 それはそれとして、世界経済の深刻化は止まらない。そこで提携すべき経済大国同士が、角を突き合わせて喧嘩をしている。経済衰退に拍車をかけているのだから、お話にならない。


 他方、黒田・日銀のゼロ金利で銀行は苦戦している。地銀の多くは、アメリカの国債ならまだいいが、二流・三流の企業の社債を買ってしまっている。

 次なる不況の波が押し寄せると、どうなるか。地銀の8割が倒産する、と専門家は指摘している。

 アベノミクスは、多くの銀行を窮地に追い込んでいる。人減らしでは対応できない。

<投票に行かない有権者=自公与党の3分の2確保>

 清和会OBは、東京の区議会選挙に初めて行かない、といって連絡してきた。「50人も出ていて、知っている候補者が一人もいない。投票する者がいないので棄権するしかない」というのである。


 背景に政治不信が存在する。安倍政治に対して、とことん反発している御仁は、世の中にいっぱいいる。

 筆者は幸い「やくざに屈しない。水源地・大福山への放射能汚染物質1万トン投機を排除する」という要請に応じる人物を見つけたので、投票することに決めた。そうでもなければ、棄権しようと考えていた。

 なにしろ、市議の多くがやくざ代議士の息のかかった候補者が多い。告示前の公選法違反文書を大量にばらまく候補者が近くにいる。警察が取り締まるのかどうか、注目している。

<見てないテレビを処分>

 本日、友人が廃品回収業者を紹介してくれたので、見ることもなく居間で眠っていた、外観からすると、立派な大型テレビを処分する。NHKへの抵抗の証である。

 窒息するような2019年危機の到来に民衆は、それでも選挙無視という、無意味な抵抗をしている。結果、自公の3分の2議席作戦を可能にさせている。


 本日は、沖縄と大阪の衆院補選が実施される。安倍人気が露呈することになる。「自民党内部はガタガタ。それでも心臓は動いている」という不思議を明日紹介することにする。


 いいニュースもある。ライブドアの言論弾圧で、数千人の読者が「ジャーナリスト同盟」通信を見られなくさせられた。現在は、毎日10人前後だが、アメーバブログのほうが、数人から昨日は100人の大台に乗ることができた。当面の快挙である。

2019年4月21日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)