春爛漫と北の戦争<本澤二郎の「日本の風景」(4400)

<小さな庭にも花、花が咲いて自然は幸せいっぱい!>

 近くに二人の息子を亡くした老婦人がいる。自宅脇のひと区画を草花で飾って、通りすがりの人たちの目の保養の助けにもなって、散歩する人たちと交流を深めている。うちも同じような不運に泣かされている。したがって、数年前から彼女が「これを持って行って植えなさい」という言葉に甘えてしまい、小さな庭にも千草が賑わいだして、目下、寒さで遅れた春を取り戻したところだ。

 亡き妻がプランターで楽しんでいた淡い紫の花を咲かせる千草も、今では次男正文の記念に植えた岩つつじの周囲を取り囲むようにして、沢山咲いている。無神論者も、故人を花で癒している?しかし、他方で、北国の硝煙が気になる。コロナ禍の日本経済に破局的な影響を与えて、自然の幸せをぶち壊している。日本の将来にも、無茶なアベノミクスによる円安政策が大きく外れてしまった。黒田・日銀も崩壊過程に突っ込んで危うい。


<梅も椿も散って水仙、すみれなど庭の千草やボケ、桃、桜など満開>

 庭先のフキノトウは、花が咲いて食卓から消えてしまった。梅の花も、間もなく満開だった赤色の花を咲かせてくれた椿も散る。代わっていろいろな花を咲かせる水仙が、今春、初めて小庭に彩を添えている。冬場でも咲いてくれたすみれは、今も咲いている。

 伐採してさえない桜に対抗するかのように、ボケや花桃の蕾が勢いよく膨らんで頼もしいし、美しい。心配するフクシマも、表の表情は房総半島と変わらないだろうが、臭いもしない、見ることもできない放射能が、大地に付着して痛々しい気分にさせられる。それはウクライナのチェルノブイリも同様であろう。

 気が付くと、両隣の君津市と袖ヶ浦市の産廃場や不法投棄の埋立地などにも、フクシマの放射能が持ち込まれていることが、ほぼ明らかになってきた。地元の住民の成果に感謝するばかりだが、肝心の市や県の役所の役人が、必死で蓋をかけている。この国の民度の低さには、いつもながら驚愕するばかりだ。


<戦後の平和体制封じ込めて戦争体制強行の危機迫る日本列島>

 フクシマもチェルノブイリも、確実に身近に押し寄せている。日本列島も危機がいっぱいだ。政府と東電は猛毒トリチウム汚染水を、太平洋に垂れ流す準備が本格化している。魚も食べられない時代を想定するほかない。

 戦後最大の恐ろしい時代の到来を予感させる2022年である。7月参院選で野党が衰退することは、分かりきっている。となると、民衆の平和悲願の声は掃き消されていくだろう。いまロシアやウクライナから何を学ぶべきか。

 平和憲法が風前の灯に晒される確立が高まってきた。改憲の嵐が吹きすさぶのだろう。今年の防衛大学校の卒業生の中から、任官を拒否する動きが表面化して当然であろう。カンボジアPKO活動においても、自衛隊員や家族から「行かせないで」という猛烈な運動に心動かされたことを思い出す。

 ウクライナ・ロシアの仲間内の戦争の真犯人は誰か、利口ものでなくても誰も分かっている。それが東アジアでも。死の商人は、改憲を不可欠としている。危機迫る日本を、春爛漫の中で、何人の日本人が認識できるのであろうか。

 月刊誌「月刊タイムス」の裏面の広告がなんと「日本会議肯定論」という、世論操作本の1ページ広告で埋まっていた。


<悲劇を通り越したウクライナとロシア市民に襲い掛かる悪魔>

 世界をナショナリズムが徘徊している!このことに気付いている日本人がいるに違いない。戦場で泣いている人たちは、決まって女性や子供たちである。「祖国防衛」というスローガンに屈して、二つとない命をミサイル攻撃に体当たりする、ドン・キホーテのような18歳から60歳の男たちも、悲劇を通り越して哀れである。

 ナショナリストは、人類にとって悪魔である。日本にもいっぱい出てきている。本人が気づいていないだけだ。戦争に善悪の物差しなどあろうはずがない。

 ナショナリストに人道主義者はいない。ウクライナの廃墟と化した都市の残骸は、Youtubeでも確認できる。しかし、プーチンもゼレンスキーの心は痛まない?違うだろうか。


<ウクライナ政府支援の日本政府の大義ありやなしや>

 岸田文雄も宏池会の伝統を放り投げて、安倍ストロング・ナショナリスト(国粋主義者)の軍門に降って恥じない。言論界から憲法ジャーナリストが姿を消してしまって久しいが、この期に及んでも目を覚まさない。戦争の片方にテコ入れすることの非を、忘却する政治屋と言論界の不条理にどうしていいのかわからない。

 庭の千草の幸せそうな姿も、大義のない片方の支援に呑み込まれ、戦争を止めようとしない日本政府と現実の地球の争いごとに、本当は嘆き悲しんでいるのであろう。

2022年3月30日記(東芝製品不買運動の会代表・政治評論家・日本記者クラブ会員)

石原慎太郎の貪欲<本澤二郎の「日本の風景」(4399)

<「都知事で数千億円もうけた」と黒幕・朝堂院暴露=月刊タイムス4月号>

パトロンかタニマチか、大金を政治屋に貢いでいる人物か。日本の三文作家にして、反共ナショナリスト・石原慎太郎に10億円を献金したという朝堂院大覚なる怪人物が、月刊タイムス4月号で、知られざる慎太郎の不正腐敗ぶりを暴露している。伏魔殿・石原都政は本当だった。都民はとことんコケにされたのだが、大阪同様に政治の浄化はいまだ成果を収めていない。

 安倍晋三に比肩される石原慎太郎とオウム事件の関連は、残念ながらコメントしていないが、それ以外の石原都政の裏側をかなり暴いていて興味深い。

 石原も安倍も金に貪欲な点はそっくりだが、都知事時代に限ってみても懐に入れた金額は数千億円?隣国の腐敗官僚と肩を並べる。かの有名な政界のフィクサー・ナベツネの数百億円報道を軽く上回っている。

 このカネは無論、脱税されて海外の秘密口座に秘匿されているだろう。かのゼレンスキーでさえも、租税回避地に秘密口座があると同誌1月号で紹介されている。どこの国も、政治屋・官僚の多くが脱税魔なのだ。一銭一円を納税している民衆は、常に馬鹿にされている。

 羽田空港拡張工事利権や秋葉原再開発利権も、数千億円の中の一部に過ぎないだろう。石原家の遺産相続の行方が、注目を集めるゆえんである。悲憤にかられた東京都民の中には、なんらかの行動を起こすだろう。この機会に政治屋や腐敗官僚、そして財閥関係者らの秘密口座を徹底して洗う必要がある。


<産廃の捨て場の豊洲に魚市場移転=鹿島に頼まれて>

 一度徳洲会事件で、フジテレビの取材を受けたことがある。その時、石原のことは排除、触れないでください、と頼まれたものだが、石原は徳洲会からもかなりの金を献金させている。「都立病院の民営化」が徳田虎雄の要望だったという。むろん、闇献金として処理しているので、国税の網に引っかかることはなかった。

 築地市場を豊洲に移転させた黒幕は、何と鹿島建設だったという。鹿島というと、中曽根康弘の親類である。原発の建屋はほとんど鹿島が受注している。政商・鹿島も中曽根と石原を足場にして、莫大な利益を上げていたのだ。

 「鹿島が築地市場を追い出して、そのあとにマンション建設で大儲け」という図面を書いた。それに石原が応じて、豊洲への移転が決まってゆく。小池百合子が暴露するという公約に期待したが、小池も都民を裏切った。

 「豊洲の東京ガスの用地は、ドブの上に廃棄物を投棄した有害物資のところだった」と暴露している。驚いた。都民は知っていたのであろうか。もっとも衛生的な魚市場を、有害物資の山のような泥地に現在の魚市場が移転したことになる。なんとも恐ろしい。ナショナリスト・三文作家の正体が見て取れるだろう。自身の金儲けのためには、手段を選ばないナショナリストの恐怖を知らしめているのではないか。


<覚醒剤中毒の浜渦を副知事に起用の仰天!>

 この不正を強行するために起用した人物が、確か浜渦というイカサマ人物だった。秘書から副知事に起用したことにも、都議会が屈服したことも仰天するばかりだ。工作資金はいかほどだったのか。鹿島は知っている!

 朝堂院の浜渦評が衝撃的である。「覚醒剤中毒」だったという。元巨人軍の清原と同じ病ではないか。覚醒剤使用者はセックス魔と知ったのだが、浜渦もそんな人物だったのか。小池は知っていたのか?

 石原に10億円も貢いできた人物の指摘である。事実に相違ない。警視庁や厚労省の麻薬捜査官は、昼寝でもしていたのか。石原はそのことを承知で、浜渦なる人物を副知事に起用していたことになろう。首都での大事件である。

 警視庁は今からでも遅くない。捜査を開始する義務がある。 


<「新銀行東京では都民の金2000億円をすった」疑惑などいっぱい>

 新銀行東京という石原が立ち上げた都民銀行のことを、都民はすっかり忘れている。この負債はどうなっているのか。朝堂院大覚は「都民の金2000億円をすった」と決めつけている。

 自身の金儲けと、選挙買収に使用したものであろうか。ナショナリストの正体についての研究が、今後とも不可欠だろう。憲法が容認しないナショナリズムに心酔する人物は、やはり警戒すべきだろう。議会の怠慢も大きい。


<愛人の5万円家賃けちる、金集めに執着した三文作家=国税の出番>

 石原の愛人がどこにいるのか?「安倍の愛人は麻生太郎が面倒を見ていた」とする情報が、以前から永田町でくすぶっている。筆者も麻生周辺の人物から聞いている。

 さて石原はというと「愛人の家賃5万円も払わない。愛人の子供の面倒も見ない」という。本人が名乗りを上げると、石原家の4人の息子たちも、遺産相続の場面で戸惑うことになるだろう。既に動きがあるのかどうか。


<中曽根も汚い、後藤田とは天と地の違い>

 朝堂院大覚のまともな点は、彼が師事した人物が警察官僚の後藤田正晴だったことである。「5000万円包んで自由にお使いください」といって運んだが、本人は受け取らなかった。後藤田の潔癖な性格を裏付けている。

 彼が中曽根内閣の官房長官に就任したのは、田中角栄が中曽根の監視役として官邸に送り込んだのだが、当時、こんなことがあった。在京政治部長会が、江東区の料亭に中曽根と後藤田を招いた時のことである。宴たけなわの場面で、中曽根と後藤田が政治部長の席に割り込んできた。たまたま後藤田が酒をついできたので、咄嗟に大事な質問を投げた。「中曽根に仕えるのもいいけれど、自ら政権を担ってはどうか」との直球に、彼の反応を試してみた。

 「少し歳をとりすぎたよ」が後藤田の本心だった。筆者は護憲リベラルである。ナショナリストには屈しない。後藤田もそうだった。「ワシが目の黒い間は、断じて改憲はさせない」という彼の信念を知っていて質問したものだ。

 彼は宏池会の宮澤喜一内閣の時に法相としても、宮澤に仕えた。共に護憲リベラルだ。護憲リベラルは戦争しない。戦争を阻止する憲法政治家だ。岸田文雄は宮澤の薫陶を受けていたのだが、いま安倍に屈して恥ずかしい。隣国との関係を重視する政治である。戦争ほど残酷なことはない。


<代議士を辞めた原因はオウムについて、なぜかコメントなし?>

 石原慎太郎の面倒を見ていた朝堂院大覚は、安倍や石原のオウム真理教との関係について知っている?しかし、これについての発言はなかった。臥龍点睛を欠いている。いつかおしゃべりする機会があれば、真相を聞いてみたい。石原の4男は麻原彰晃の側近だった。また安倍の神戸製鋼時代の部下が麻原側近だった。オウムの黒幕追及とこれを暴いた島津洋一レポートは、さらなる続報を期待したい。

2022年3月29日記(東芝製品不買運動の会代表・政治評論家・日本記者クラブ会員)

サハリン2巨大利権<本澤二郎の「日本の風景」(4398)

<「安倍・森利権水先案内人鈴木宗男にも」と清和会OB断罪>

 世間では、プーチンの悪口が一般化している。日本にもナショナリズムがこの10年の間に、深く浸透していたことを物語っている。ゼレンスキーの日本の国会議員向けの演説のさい、原子力ムラの衆院議長・細田博之は、ウクライナ大統領を普段使ったことのない「閣下」という別格の敬語で持ち上げた。ナショナリスト・山東昭子の挨拶も話題となったが、閣下に対して国会議員全員が二度も起立して拍手していた。こうした仕草は、しばしば戦前回帰を印象付けるだろう。歴史の教訓を学んできた日本人には、ナショナリストは怒るだろうが、物事を公正に見ようと努めているリベラルな日本人には、残念ながら違和感を覚えるものである。


 ナショナリストの行動は、寄らば大樹で身の安全をはかろうとする。時には卑怯者であって、見方を変えると本来の小心者との評価を受ける。そこで日本的ナショナリズムをどっぷりつかってきた清和会OBは「プーチンは終わった」といいつつも「ゼレンスキーはプーチンを倒して自分一人英雄になろうとしている。自分のことばかりで、市民の死は考えようとしない。尊敬などできるものか」と喝破した。筆者は「戦え」と堅固な官邸でハッパをかけるゼレンスキーよりも、女子供の命を守ろうとしないことに怒る。


 首相官邸や自民党本部で働いてきた、怖いもの知らずの清和会OBは「清和会を潰さないと日本は本当につぶれる」とも嘆いた。読者諸兄姉はどうだろうか。リベラル・自由主義は、寛容を大事にするが、皮肉や嫌みに付き合っている暇はない。安倍がまとわりつくナショナリストの官邸は、危険極まりないと思うばかりだ。


 彼は、ついで「なぜ新聞はサハリンの莫大な石油天然ガス利権のことについて報道しようとしないのか」と怒り出した。石油・天然ガスの推進に3000億円も拠出した安倍利権を、国民にしっかりと伝えない新聞テレビをぼろくそに叩いた。

 確かにネットを開くと、サハリン2プロジェクトについての説明が出ている。安倍の27回のプーチンとの会談で「前進した」と息巻く理由が、ここにあった。島津レポートから類推すると、核兵器開発も、ということになろうか。


 永田町を知らない日本人は多い、というよりもほとんどである。政治屋はカネと票で動く。財閥はよく理解している。安倍のプーチンへの徹底した入れ込みは、父親の晋太郎の時代からだが、その前に森喜朗がいた。彼によると「サハリン・ロシア利権が森と安倍の巨大利権である。水先案内人が鈴木宗男だ。特に安倍の利権獲得の成果は大きい。必ず露見する。プーチン後に発覚するだろう」と決めつけた。なるほどそうか、と頷ける。


 ちなみに言論人は、すべからく日本国憲法を重視する憲法ジャーナリストでなければならない。それゆえにA級戦犯の岸信介を源流とする保守傍流・清和会の取材は苦手だった。もっぱら反安倍で、福田赳夫側近の田中龍夫(田中義一の息子)の胸を借りて、清和会を取材してきたが、まさか安倍晋三が出てくるとは思わなかった。その点で、小泉純一郎の罪は重い。


<「実力者Kのコカ・コーラ利権は、1本いくらの収入が懐に」>

 清和会OBは、元農林大臣の自民党実力者Kについての利権話をしてくれた。「コカ・コーラを日本で販売する利権を、Kが握っていた。その利権はコーラ1本について、いくらという約束になっていた。それは莫大なものだった。現に知り合いが、彼の目黒の豪邸で結婚式を挙げたとき、K豪邸を見たがすごかった」と述懐したものだ。


 サハリン2巨大利権の行方は、目下の安部も森も気が気ではないだろう。欧米の石油会社は、撤退してしまった。残る三菱商事と三井物産は、どう始末をつけるのか。三菱商事は、安倍家とは格別の関係がある。安倍の実兄が勤務した会社ではないか。


 「石油天然ガスの4割を日本に持ち込んでいるサハリン2の利権が、安倍が清和会に復帰する資金に化けたものかもしれない」と清和会OBは推測している。この時を予想していたのか?安倍は側近の萩生田を経産省に送り込んでいる。鈴木は娘を外務省に。

 人事とは、利権で動くものなのだ。注目したい。

2022年3月28日記(東芝製品不買運動の会代表・政治評論家・日本記者クラブ会員)


(追記)我が家のソメイヨシノが咲き始めた。電線に引っかかるとの不安から、太い桜の木を随分切ったので、さえなくなってしまった。しかし、桜前線の様子を伝えてくれる。梅もそうだったが、寒さで遅れた。異常気象は常態化している。ウクライナの原発を含めて、原発の廃炉は不可欠だ。地球を子孫に残すことから逃げるな。サハリン2の環境被害も心配だ。貪欲人間を一掃する社会にする責任が、人間誰にもある。

↑このページのトップヘ